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槍と休日

料理をします。(料理シーンは無い。)

その後ゴーラーダ王国から条件付きで許可が出た。

条件と言っても王都に訪れてくれというものだ。


元々行くつもりだったので問題ない。

それで今僕は何をやってるかというと…


「ふぅ…出来た!」


料理をしている。

訓練でもしようかと思ったが寝てる時にこの国が料理大国だというのを思い出して七の時位に起き、興味があった料理の食材を買った。


今作ったのは魚の蒸し焼き。

この国だと一般的な料理らしい。

早速食べようとすると誰かが入ってくる。


「いい匂い…あれ、スラン?」


「聖女様、なぜこちらへ?」


「いい匂いがしたものでつい…」


いつも聖女様は質素な食事を食べているのに?


「いつも質素な食事ですよね?」


「私だって好きであの料理を食べてる訳では無いですよ!」


話を聞くと聖女だからと言って美味しいものは基本食べさせてくれないらしい。

あんな料理よく食べれるなと思ってたけどそうゆう事か。

納得していると聖女様が物欲しげそうに見てくる。


「…流石にまずくないですか?」


「でも… (食べたい)


小声でこちらに頼んでくる。


「くっ…分かりました、食べてもいいです。」


「えっ!いいの!」


あまりの食い付きに驚くが話を続ける。


「但し、一つ条件があります。」


「何々!教えて!」


「国王陛下に許可を取ってください。」


流石に僕だけではこの料理を出していいか分からない。

だからこの国の最高責任者の国王陛下に話を通して貰う事にした。

なんだけど…


「えっ…」


聖女様が絶望した顔をした。

そんな…みたいな顔して見てきている。

どれだけ絶望的なの?


「無理ならあげれません。」


「… (国王陛下のあれを言え) (ば…)


僕は何も聞いていない。

そう、何も聞いていない。

今のは空耳だ、絶対にそうだ。


「スラン。」


「はい!」


僕の名前を呼んだ。

なんだろう…


「絶対にお魚さんは残しておいてくださいね?」


「勿論です…」


…なんだろう寒気がする。

聖女様が出て行くのを見て保温魔法を使う。


三十分程待っていると聖女様が帰ってきた。

ルンちゃんと国王陛下と共に。


「スラン、お魚さんは残ってますよね?」


「はい、まぁ保温魔法は掛けましたけど…」


「あら?気が利きますね。ありがとう。」


笑顔で礼を言う聖女様がどこか怖い気がする…

聖女様から怖さを感じていると国王陛下が聞いてきた。

ここには他の料理人が少しいたので威厳を持ってだが。


「…スランよ、これは魚の蒸し焼きか?」


「はい、材料はシンプルですけど。」


「どんな物を?」


僕が材料を言い終わると国王陛下が言ってきた。


「ふむ、まぁいいだろう。食べても良い、料理係には伝えておく。」


「ありがとうございます!いっただきまーす!」


そう言って用意していたナイフとフォークで食べ始めた。

いつもより少し早いが綺麗に食べている。

それを見ているとルンちゃんがこちらに近づいてきた。


「スラン、セフィに料理食べていいって言ったの?」


「言ったけど…」


そう言うとルンちゃんが困った様に手を頭に当てた。


「はぁ…あのね、セフィは小さい頃から殆ど美味しい物を食べてないの。」


それはなんとなくわかっている。

確か五歳から聖女をやってるはずだから相当食べてないだろう。


「しかもセフィは食べる事が昔から大好きなのよ。」


あっ、つまり…


「久しぶりに食べれるからあんなに?」


「そう、つまりあんたはセフィに見せちゃいけない物を見せたのよ。」


成る程…


「今言っとくわ、食べ物は絶対に見せちゃダメよ。わかった!」


「わっ分かりました…」


ルンちゃんの気迫に押されながら頷く。

そんな話をしてると聖女様がお願いしてきた。


「ねぇスラン?」


「なっなんでしょうか?」


「これから私の料理担当になりません?」


「えっ?」


料理担当?


「料理担当ですか?」


「そうです!スランが料理担当になれば私のご飯がとっても美味しくなって楽しみが増えます!」


聖女様が目をキラキラさえながら頼んでくる。

僕は国王陛下に助けを求めたが、


「まぁ休日をちゃんととってくれたらいいだろう、頑張れ。」


裏切られてしまった。

いや、まだルンちゃんが!


「頑張りなさい、セフィの為よ!」


あっ…わかりました。


「でもそうしたら僕が休日の時はどうするんですか?」


「作ってください。」


「はい?」


「スランがご飯を作る時に私のも作ってください。」


「えっと…」


「わかりました?ちゃんと作ってくださいね?」


怖い…何これ、脅されてる?


「わかりました…」


「やったー!」


とても嬉しかったのだろう、聖女様が両手を挙げて喜んだ。

それも聖女様が顔を赤くして手を下げた。


「すいません、つい嬉しくて…」


「セフィは食べる事が好きなんだからしょうがないでしょ?」


「そんな事ありません!最近美味しい物を食べられてないからです!」


聖女様が少し怒った顔をした。


「因みにどんな物を使っちゃダメなんですか?」


そう言うと国王陛下が答えてくれた。


「油物はダメだ。」


「わかりました。」


「後は量が多くない、野菜が入っている、食料が偏ってない事が条件だな。」


まぁ妥当かな?聖女が食べるイメージにぴったりだ。


「本当は油物も食べてみたいんですけどね、仕方ありません。」


「聖女の仕事が終わったら食べたら?最近は終わった後の最初の食事が油物らしいし。」


「何年後なんでしょう…気が遠くなります。」


そういえば、


「いつ頃ゴーラーダに出発ですか?」


「えっと…確か船の予定とかがあって明後日に出発予定でしたね。」


「それまでに準備しといておいてよね。」


「わかりました、後…そろそろ魚を食べ終わってくれるとありがたいんですけど。」


「あっ、すいません。私食べるのが遅くて…」


少しだけ残っていた魚を食べて席を立つ聖女様。


「ではこれから食事係、お願いしますね?」


「今日からですよね?」


「はい!今日は期待してますからね?」


「今までの料理担当にも今日からは元に戻るように言っておこう。」


そう言って皆が出て行く。

料理した物を片付けて外に出る。

自分の部屋に戻って出国する準備を始めた。

食いしん坊聖女様、的な感じ。

KHRBお願いします。

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