槍と別れ
ミラさん…バイバイ
次の日、僕は質屋に行った。
僕の持っていかない物を空間拡張袋に入れてきた。
僕が持って行くのは料理道具、何本かの槍、父さんと母さんの形見、生活必需品を持って行く。
それ以外の物を売り全部で百万コールになった。
その後僕は魔買いに訪れた。
カウンターにいる受付さんに尋ねる。
「すいません。」
「なんでしょうか?」
「ミラさんに会えますでしょうか?」
そう言うと少し驚いた顔をした。
「ミラ所長ですか、少し待っていてください。ちなみにお名前は?」
「スランです。」
「スランさんですね、わかりました。」
そう言って上に行く受付さんをしばらく待つ。
そうしていると受付さんが戻ってくる。
「お会いしてよろしいようです。」
「わかりました。」
すぐに上に行きミラさんの所へ行く。
「失礼します。」
そう言ってドアに入るとミラさんが仕事をしていた。
「スラン君どうしたのかな、何かあったのかい?」
仕事をしながら聞いてくる。
「実は今回この国を離れることになりまして…」
そう言うとミラさんの手が止まる。
「…どういう経緯でそうなったのかい?」
ミラさんに聖女の事を話す。
「護衛騎士に選ばれたんだね、おめでとう。」
そう言って祝福してくれるミラさん。
「それで頼みたい事が二つほどありまして…」
「何かな?」
「一つはこの証明書を消して欲しいのと、休日を教えて欲しいです。」
そう言うとミラさんがビックリする。
「最初のはわかるけど、休日はなんで?」
「前に家事を教えると言っていたじゃないですか、それが出来なさそうですし。」
ミラさんがビクッとする。
「だっ大丈夫だよ、別に僕は出来なくても…」
「いえ、ミラさんには結婚して欲しいんで。」
「いや別に私は…」
「お願いします!」
全力でお願いする。
「いや、でも。」
「お願いしますっ!」
十分間粘りつずけると、
「わかりました、教えますから。休日教えますから!」
ミラさんに降参させて休日を教えてもらう。
ちょうど明日から二連休らしい。
「わかりました、明日行きますね。」
「はっはい。(掃除しないと…)」
次の日の朝、僕は秘密でミラさんの家に来た。
ドアの前に立ちドアを叩く。
しばらくして、
「はーい、なんです…か。」
ミラさんが出た瞬間にウインドスピードを発動して中に入る。
「あっ待ってください、まだ…」
中を見るとそこにはゴミ屋敷みたいな部屋になっていた。
「これは…」
「うぅ、見ないで。まだ掃除してなかったの。」
その言葉を無視して全ての部屋を見て行く。
なんというか…これは酷い。
全ての部屋が荒れていた。
「…今から掃除しますね。」
「はい…」
昼まで掃除してミラさんの部屋以外が終わった。
切りがいいのでここでお昼を作ることにする。
「ふぅ、ここらでお昼にしましょう。材料は持ってきてますので。」
「…わかりました。」
ここまで掃除の事を教えてきたが崩壊していた。
もしかして才能がないんじゃないかと一瞬疑ったほどだ。
まあ最後の方は出来てきたのでやればできるのだろう。
料理をしてご飯を食べた後、最後の部屋を片付ける。
「ミラさんの部屋を掃除しますが、ミラさんに全てやってもらいます。」
「わかりました、頑張ります。」
意気込みは十分にあるようだ。
しばらく掃除しているのを見ていると、
「キャァァァァァァ!」
ミラさんが転んでしまった。
その時に何かが飛んでくる。
「うわっ!これはなんだ…」
黒色の布だ、何かわからないので広げようとすると、
「イヤッ!」
そう言ってミラさんが僕の手から黒い布を奪い取る。
「うぅ…」
ミラさんが顔を赤くしてるがどうしたんだろう。
「どうしました、疲れたんですか?なら少し休憩を」
「…て」
「すいません、なんて言いました?」
「私の部屋から出てって!」
そう言って僕を部屋から追い出す。
しばらくしてミラさんが出てくる。
「すいません、取り乱してしまって。」
「いえ、こちらこそすいません。男の人を部屋に入れるなんて無理でしたよね。」
そう言うとミラさんが顔を赤くする。
「うぅ、ちゃんと入れとけばよかった。」
よく聞こえない。
「すいません、なんて言いました?」
「いえ別に、スラン君なら入っても…」
「ごめんなさい、最後なんて言いましたか?」
おかしいな耳悪くなったのかな?
「何にも言ってないので平気です。」
「はぁ…」
取り敢えず中を見て綺麗なことを確認して、休憩する。
「ミラさん、わかりました?これで一人でできます?」
「勿論出来ますよ、安心してください。」
そう言って胸を張るミラさん。
「期待してますよ、後ミラさんの料理も食べたいので練習しといてください。」
「うっ…わかりました、頑張ります。」
外が夜になったので晩御飯を食べる。
食べ終わった後家に帰る。
「今日は色々、ありがとうね。スラン君に見せれるくらいの腕にはなるから。」
「わかりました、ではまたいつか」
「はい、またご縁があったら。」
そう言って僕は帰る。
その時の僕はミラさんが泣いていた事を知らなかった。
「…っグスッ、グスッ」
そのまま家に帰り、僕は家も売る準備をして寝る。
後一回出たらしばらく出番ないかな?
KHRBよろしくお願いします。