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槍と傲慢

「悪魔に受肉されてる?」


「えぇ、今の所聖女以外は確認出来たわ。」


僕は今、カトレアさんから相手の新しい情報を貰っていた。

現状聞いたのは


・協力してくれそうな人は一人を除いて協力してくれている事。

・今の所悪魔側の方が不利という事。

・セフィ以外が悪魔に受肉先として使われている事。


この三点だ。

少なくとも、まだ勝ち目はありそう。


「まぁ、多分聖女も受肉されているでしょうけど。」


「えっ?」


「傲慢だけ見当たらないの、だからされてるだろうなって予想よ。」


「成程……」


まぁセフィなら平気だろう。

天使と同じ属性なら、そう簡単に受肉は出来ない……と思いたい。

正直これは願望でしかないし、そんな簡単な話ではないだろう。


「うーん……」


「どうしたの?」


「ん?あぁ、悪魔の受肉が不完全で少し変だなって、思っただけよ。」


「不完全とかあるんだ。」


「えぇ、本来受肉されたら肉体は悪魔の物になるけど、そういう感じじゃないの。」


「じゃあ、まだ助かりそう?」


「そう、ね。完全に受肉されなければ一定の攻撃で肉体から引きはがされちゃうし。」


取り敢えず、今から何をすればいいのかは見えてきた。

完全に受肉される前に皆を助ける事。

それじゃあ早速──


「……成程、私狙いなのね。」


「え?」


「スラン、足止めしてきて。」


「分かった、そっちは?」


「私は現状を全員に伝えたら向かうわ、それまで耐えて頂戴。」


「了解。」


そして僕は急いで部屋から出ようとする。

扉を開けると僕でも分かるくらいの魔力の何かがこの城に向かってきている。

もう結構近くまで来ている、この城に入れないで戦うのは厳しそうだ。


「なるべく早く来てね。」


「分かってる。」


一応僕はそう言って槍を構えて相手を待つ。

そう時間は掛からずに、その魔力はこの城の門から入ってきた。


「ふむ、出迎えに奴は出てこないか。」


「……」


「おや、歓迎の挨拶すらないのか。はぁ、久方ぶりの帰還なのだがな。」


多分、傲慢の悪魔だろう。

ここに入れている時点で天使関連の人物で間違いない。

セフィがこの門を開けられたのは天使と同じ魔法だったからだし。


そしてカトレアさんから傲慢の悪魔は堕天使だと聞いている。

ならば、今目の前にいる人物は堕天使のバコクーダ、今はゴウマリュという悪魔だろう。


「それに、君一人で私を足止め出来ると思われるのは心外だ。せめて勇者の一人でもいなければな。」


「まぁ、やってみないと分からなくないですか?」


「いや、分かるとも。君では力不足だ。なにせもう、伸びしろがなさそうだからな。」


「……」


実際、僕に伸びしろはもう殆どないと思う。

やれることはやってきたし、他にもっと強くなる方法はもうないだろう。

でも、だからって強くなるのを諦めたくはない。


だって僕は護衛、守る側の人間だ。

護衛対象を守る為には、もっと強くならないといけない。

限界だからって、諦めたくはない。


「シルフィ、は呼べなそうか。なら──」


僕は覚醒し、それに身体強化の魔法を使って一歩踏み──え?


「ぁあっ、ぐっ。」


「……」


僕の一撃はゴウマリュに通った。

ただそれは明らかに普段よりも早い一撃だったおかげだ。


以前の僕は、こんなにも早く動けていない。

なんでこんなに急に──


不意に、体が勝手に動いてしまう。

そのおかげでゴウマリュからの一撃は防ぐことが出来た。


明らかに僕の強さが上がっている。

なんで、一体何が起きて……


「ふむ、成程。明らかに強くなっているな。」


「……」


「だがしかし、その力に慣れている訳ではない様だ。」


そう言って彼はどこかから拳の形をした武器を取り出して、装備した。

その上体がタオの様に黒くなっていく。


「慣れる前に倒させてもらおう。行くぞ、グリュプス!傲慢なる世界(プライドワールド)!」


その一撃は僕を確実に殺す攻撃だと本能で分かった。

ただ、それは当たればの話だ。

今の僕に、避けられないという考えは出てこなかった。


僕はその攻撃を軽く避け、一撃入れる。

ただその一撃は彼に軽く防がれてしまう。

お互いに距離を開け、にらみ合っている。


「すいません、遅れました!」


「いや、来てくれて助かるよ。」


勇者が遅れながらも参戦してくれた。

これなら、まず死ぬことはないだろう。

カトレアさんもそろそろ来るだろうし、負ける要素はない。


「成程、ここで増援か。」


勇者顕現(ヴレイヴ・オン)!」


消化の時間(アシミレイトタイム)。」


一瞬だけ、違和感を感じた気がする。

そしてそれは一瞬の油断だった。


相手が物凄い勢いで僕達に攻撃を仕掛ける。

僕は避けようとすると、その違和感の正体が判明した。

身体強化と覚醒がいつの間にか終わっていたのだ。


もう一度発動しようとしたがそもそも発動すら出来なかった。

僕は急いで防御姿勢を取り、なるべく攻撃の威力を抑える様にする。


ただ、その攻撃は結局僕達に届かなかった。


「ようやくお出ましか、カトレア。」


「丁度用事が終わったの、お望み通り相手をしてあげる。」


カトレアさんが来てくれたのだ。

これなら、負ける事はない。

悪魔相手に無類の強さを誇るカトレアさんなら絶対に勝ってくれるだろう。


「今日こそ、貴方を殺してあげる。」

KHRBよろしくお願いします。

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