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??と憤怒と怠惰

ソードベルの王都上空、そこで憤怒と怠惰は宙に浮いている。


「……誰も、いないね。」


「ふん、どうせ隠れているだけだろう。」


そう言って憤怒は家を一つ破壊した。

予想通り、中には人がいたものの先程の一撃で死んでいる。


スラン達が負けてからすぐに、ファントムは全世界に向けて宣戦布告をしていた。

その影響で現在ソードベルでは人が逃げていたり、家の中で隠れたりしていたのだ。


「いたぞ!あそこだ!」


先程の破壊音で、ソードベルの騎士達は悪魔達に近付いていた。

その一言で騎士達はどんどん集まっていき、悪魔達を囲む様に包囲する。


「悪魔共!私はお前達に一騎打ちを申し込む!正々堂々、やろうではないか!」


当然、この言葉は嘘である。

これで悪魔達に降りてきてもらい、油断したところに魔法部隊が攻撃。

続けて騎士達が突撃するという作戦が、今行われていた。


そもそも、一騎打ちは申し込む時に自身の名前を名乗り上げなければいけない。

ソードベルの騎士達は最初から悪魔達に騙し打ちをするつもりなのだ。


騎士道精神は勿論彼らにもある。

が、それは人間が相手の時に限られるのだ。


「どう、する?」


「ふっ、考えるまでもない。憤怒なる世界(ラースワールド)。」


そう言って、騎士達を憤怒の魔法の影響下に置いた。

憤怒なる世界、これは怒れば怒る程強くなっていく魔法である。


「……おい、鎧を当てんなよ。」


「はぁ?お前こそ剣を当ててんだよ!」


「なんだと!」


この魔法の影響下において、誰しも怒りやすくなっている。

よって、どんどん強くなっていく。

お互いの筋肉が膨張していき──


バンッ


破裂、つまり死んだのだ。

ただ、それを恐れる者はもうこの場にはいなかった。

怒りが脳を支配して、起きた事象を正確に認識出来なくなっていたからだ。


一人、また一人と死んでいき、騎士達は全滅。

勿論魔法使い達や、近くで隠れていた住民も同じ様に死んでいった。


「これで、ゆっくり作業が出来るな。」


「うん、そう、だね。」




「ふむ、これで設置完了だな。」


「そう、だね。」


「タオ、俺は残党を殺してくる。ここは任せてもいいか?」


「いい、よ。」


「では任せた。」


そうして二人は別れた。

これが最後の会話だと知らずに。






少し前


「……あらら、これは酷いな。」


「そうね。」


「ねぇ、パパ、ママ、早く悪魔殺そうよ~。」


「もう少し待ちなさい、リーヤ。」


「むぅ、はぁ~い。」


先程悪魔達が騎士達を惨殺した場所で、三人の人影が時が来るまで今か今かと待っていた。

会話や身体的特徴から、一人はまだ幼い子供だという事が見て取れる。


なんとなく察していると思うが、彼らが天使か要請を受けた対象である。

彼らの動機は娘に実戦経験を積ませること。

親自体相当の実力者であり、負けないという自信の下娘を戦わせるのだ。


『敵の位置が分かったから共有するわ。』


「おっ、先程の天使からだ。」


「私達はいいでしょ?見つけてるんだし。」


「そうだよ、パパ。早く行こ?」


『場所はソードベルに二体、マルマー、イレイサ、十王──』


「二体?もう一体いたのか。」


「えっ!二体もいるの!ねぇねぇ、それなら一人でやりたい!」


「うーん……」


「いいんじゃない?元々一人でも余裕で勝てると思ったから連れてきたんだし。」


「そうだよ!ねっ、いいでしょ?」


「それもそうだな、よし、いいぞ。」


「わぁーい!」


「でも、浮かれすぎて負けないようにね。」


「分かってるよっ!」


彼ら自身、あまり悪魔に対して恐怖心を抱いていなかった。

それが天使に選ばれた要因の一つでもある。


「……来るな、リーヤ。」


「何?パパ。」


「今からくる悪魔の相手、頼めるか。」


「うんっ、分かった!」


そう言って娘は全速力で走り去っていった。

そしてすぐ悪魔、憤怒はその娘と対峙することになる。




「貴方が悪魔さん?」


「お前に教える意味はない。」


悪魔は娘を殺そうと魔法を放った。

しかし、その一撃は当たることはない。


「……?俺が、外した?」


「そうだよ、悪魔さん。きっと狙うのが下手だからだよ。」


「死にたいようだな、女。」


今度は確実に仕留める為に拳で相手を殴った。

当然その一撃は相手を仕留める、というわけにもいかず──


「悪魔さん、もっと本気でやってほしいな?」


「……憤怒なる世界。」




「……誰?」


「よう、悪魔。悪いけど二対一だ。」


「何も出来ないと思うけど、抵抗してみる?」


怠惰は、この状況に困惑していた。

目の前にいるのはこの世界にはいない珍しい種族だからだ。

彼自身その種族は腐る程見てきたし、殺してきた。


だからこそ困惑していた。

自信満々に格上に対して挑発をしていたから。


ただ、それが逆に奇妙でもあった。

今言っている事が本当の事だったら、死ぬ可能性は捨てきれない。

怠惰は、憤怒と合流をして、それから戦う事を決意した。


「……君達、どうして──」


まずは会話をしながら憤怒の場所を探そうとした瞬間、魔法が飛んできた。

幸い、当たることはなかったが、先程の挑発が本当の事だと、嫌でも理解してしまう。


「時間稼ぎ、させるわけないでしょ?」


「始めようぜ、殺し合い。」


そして始まる、悪魔が魔界で一番恐れる相手、独歩族との戦いが。

KHRBよろしくお願いします。

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