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槍と夢の中

「生きてる?」


「うん、まだ僕の世界に倒されたっていう知らせはないんだ。目立たないことをしてるなら、まぁ別だけど。」


「世界を、変えようと、してたし、目立たないって、ことはないと、思う。」


世界を、変えようと、ねぇ。

なら大体見当がついた。

おそらくファントム・ドラグロスはソリアが言っていた自分より強かった二人の内の一人だ。


「どんな感じに戦うの?」


「……えっと、大剣使いで、幻とか眠らせたりとか、やってくる。」


大剣使いで幻と睡眠状態にしてくるのか、……睡眠?

もし、もしだよ?今この世界が夢だったとしたら──


「……」


出てきた、僕が想像した物が。

僕が想像したのは「夢を終わらせられる剣」だ。

もしこれが本物なら……えいっ!


……あぁっと、えぇ、あっ、そういう感じね。

切れはした、したんだけど──


「小っさ。」


豆粒くらいの切れ目がそこには出来ていた。

切れ目の先には真っ暗な空間が広がってる、様に見える。

小さすぎて判断がつかないな、これ。

そうこう考えている内にその切れ目は閉じてしまった。


これは僕の剣が下手過ぎ、ってことだろう。

ここまでないのか……いや、まぁ知ってたけど。


なら最初から槍を出せばいいじゃないかと、そう簡単な話ではない。

僕が剣を選んだのは単純に夢を終わらせる想像がついたからだ。

正直僕の頭では槍で終わらせられる想像が出来なかった。


これぐらいなら出来ると思ったんだけどなぁ……


『なんで剣なんか……いや、それより「下手」なのかな?』


今なんか下手って聞こえた気がした。

いや、気のせ──あ。


「雛。」


『ふゃっ!』


名前を呼んだら赤面してしまった。

そういえばルナミスが昔の名前は呼ぶなって言ってたな。

まぁ今それは関係ない。


「代わりにやってくれない?」


『私に……?』


「僕、見ての通り剣に関しては目も当てられない感じだからさ、お願い。」


『えっ、でも……』


「大丈夫、僕より絶対に上手いから。」


『……』


取り敢えずお願い出来た。

若干戸惑ってた気がするけど、まぁ僕より上手いのは確実なんだ、気にすることはないだろう。


彼女は剣を構え、振り下ろす。

そして見事人二人分の暗闇が見えるくらいの穴が出来た。



「よし、じゃあ一緒に行こうか。」


『えっ!?いやそれは──』


僕はその言葉を無視して手を引っ張った。

その暗闇の中に入ると目が一気に覚めた感覚が全身に駆け巡る。

そして──


「私は、一体何を……」


ルナミスが元に戻った。

夢から出たらこうなるのは目に見えてたけど。


ただ……どうしようか?

入ったら起きられると思っていた僕にとって、この状況は想定外だ。


もう一回ここであの剣を使ってみるか?

いや、今見たらルナミスの手に剣がない。

また出そうにも今回は何も起こらなかった。

ならこの手は使えないな。

んー……


(───る?)


ん?

声、か?


(聞──る?)


間違いない、声だな。

ただ雑音が混じっていて誰かまでは判別できない。


(聞こえる?……)


「カトレアさん?」


(あ、起きたのね。)


「はい、何とか起きれたって感じですけど」


よかった、カトレアさんならこの状況を何とかしてくれる筈だ。


「あの──」


(早速で悪いけど、他の子の所にも行ってもらうわ。)


「え?」


(え?じゃなくて。貴方達二人が起きても他の子は起きないのよ?)


「いや、それは分かって──」


(それじゃ、行ってらっしゃい。)


そう言われて僕は次の夢の中へと入っていくのだった。




(……うん、問題なく入れたみたいね。)


「そんなに急いで、どうしたの?」


(余裕がない、それだけよ。)


余裕がないって言っても──


(……はぁ、じゃあもう直ぐ戻ってくるから、その時に少しだけ説明するわ。これでいい?)


「まぁ、それなら……」




僕は夢の中に()()()()()

そう、()()()()()のだ。


「……ただいま。」


(お帰りなさい、少し説明してあげるからそこに座って。)


そうして僕は指示通りに座る。

それに続く様にメイも座った。


「……」


「……何があったの?」


「いえ、特に、何も、ない、です。」


「いや、何かあった言い方じゃない。」


メイは直ぐに顔を両手で隠しながらうずくまってしまった。

……あんな夢だと思ってなかったなぁ。

他の人は、あんなのじゃない、よな?


(時間もないからさっさと説明するけど、今この場所は夢と現実の間なの。で、さっきまでいた場所が夢の空間ってこと。)


「うん。」


(夢の空間はその人の潜在的な欲望を映し出すから、例えばルナミスは死ぬ前に貴方に助けてもらいたかった、って所ね。)


「まぁ、確かにそうだけど。」


(まぁだからその後に部屋に連れ込むのも、その部屋が貴方の絵だらけなのも本人は潜在的にはしたい事なのよね。)


「はぁっ!?いやっ、私スランの絵なんか持って──」


「流石にあの部屋でそれを言うには無理があるよ。」


「っ!?……もしかしなくても、貼ってあった?」


「床以外、どこを見てもあったよ。」


僕は素直に肯定した。

そうしたらルナミスもメイみたいになってしまう。


「……だから床を見て──」


「……」


(まぁ、あれよ、頑張って頂戴。)


うん、それは頑張るけど。

その前に──


「メイ。」


「はい……」


「流石にあれは、僕には無理だよ?」


「えっ!?そんなっ!?」

KHRBよろしくお願いします。

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