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槍と決闘

封印の地、それが今僕達がいる所だ。

伝統によって全ての勇者はこの地に訪れている。

その為ある程度街も発展しているので住める場所だ。


こんな名前だけど、特段何かを封印しているという事はない。

伝承によると、四代目勇者が「最高の名前を付けようではないか!」と言って付けたらしい。

近くには解放の地というのもあるので両方とも名前を付けたんだろう。

現在は両方ともマルマー帝国の領地ではあるけど、実際の所は自治区に近い。


「──だって。」


「へぇ〜。」


今僕が説明しやすい様に読んでたのは随分前に買った『シアラ大陸の国々』という本だ。

マルマー帝国の領地という事であまり多くは書いていなかったものの色々と知れた筈。


何故こんな事をしているのか、と言われれば暇潰しと答えるだろう。

カトレアさんに地上まで送ってもらったものの、流石に転移した所を見られるのは問題があった。

なので事前に行かせてあった船に転移して、そこから予定通りに動くという事になったのだ。


そうこうしている内に、時間になり外に出た。

封印の地の街並みは全体的に赤い感じだ。

船から降りると周りにはあちら側の騎士がおり、僕達は彼らについて行く。

そのまま領主の屋敷に入ると、すぐそこに領主が待っていた。


「初めまして聖女様、私の名はアルカーヌ・ナガモリと申します、以後お見知り置きを。」


ナガモリ家、この地域を治める領主の一族だ。

四代目勇者、チュウジロウ・ナガモリの末裔と言われている。

言われている、そんな言い方になるのは四代目が籍を入れてなかった事が原因だそうだ。


その間にセフィも自己紹介を終え、僕達の紹介も終わった所で奥まで案内してくれる。

奥まで進み、扉を開けるとそこには勇者達がいた。

見た感じではあるけど前見た時より格段に強くなっている感じがする。


ただその代償というべきか、人数はもう五人しかいない。

勇者にはなりえない大人を除けば四人だ。

幸い勇者にはルナミスが覚醒しているし、そこまで心配はしていない。

しいて言えばアンゼスさんの言葉が気になるくらいだ。


もう一人、勇者になるとアンゼスさんは言っていた。

だとすれば勇者への覚醒を促したい。

それが誰かと問われれば、一人しかいないだろう。


絹川良太、彼は一度タオとの戦闘中に勇者の殻を破ろうとしていた。

彼の勇者の力を目覚めさせるのが、今の僕達が出来る最善の策だろう。


「スランさん、お元気でしたか?」


「まぁね、そっちは何か進展はあった?」


「いえ……」


「まぁ、多少役に立つくらいにはなったとは思いますけどね。」


六条謙也、見た残りの勇者の中で絹川に近い実力はあるだろう。

勿論ここから先の相手には手も足も出ずに死ぬ、なんて可能性もある。

僕は、絹川以外の転移者を戦わせるつもりはあまりない。

実力が足りないのもそうだ、けど一番は無駄に殺されないことだ。


実際に敵と相対して分かった、彼らではあの領域にはたどり着けない。

最初は「いける、これくらいならあの子達の能力でも十分。」とは心の底でどことなく思っていた。

ただタオ、キョニョ助と戦っていた彼には到底敵わない。

彼らよりましとはいえ僕も含めて、ね。


だから、もし許されるのならば、セフィに言おうと思っている。

勇者の一部をマルマーに送り返す事を。


「うん、私達がいればあの悪魔にだって──」


「流石に、無理だと思いますよ?白井さん。」


「ですよね……」


松崎優奈、白井千尋、この勇者達の女性陣だ。

片方は教師、もう片方は学生ではあるものの、関係は良好そう。

ただはっきり言えば彼女達は足手まといの可能性が高い。

まぁなんの根拠もない、僕の感覚なんだけど。


なんか……なんだろうか?

こう、嫌な予感がする。

彼女達を戦場に出してはいけない気がする。

……取り敢えず、実力を見てから結論は出そうかな?


そして最後、竜崎朧。

……正直、よく分からない。

印象が無さ過ぎてなんて言えばいいのかわからないな。

弱くなさそうだし、そうじゃない気もする。


うーん……


「スランさん、一つお願いが。」


「僕に?」


「はい。その、手合わせをしてほしくて。」


「まぁそれくらいなら全然いいけど……」


特に断る必要性もないし、問題もないだろう。

多少なりとも彼の成長度合いは気になる。

彼の力がどれほど成長しているか、見ものだ。

勿論、負ける気はない。


「ありがとうございます、では一度外に行きましょう。」


「そうだね、皆はどうする?」


「行きましょう、本日の予定は勇者達との顔合わせだけですし。」


という事で、全員外に出ることになった。

勇者達が先導し、それについていく形だ。

そうして外に出ようとした時、フリージアが部屋の中で険しい顔をしていた。


「どうしたのフリージア?」


「……嫌な予感がするわ。」


一言だけ聞き、今はソリアだというのが分かった。


「嫌な予感?」


「えぇ……」


「ご主人様、行きますよ。」


いつの間にかメイが戻ってきて僕達に声をかけてくれた。

ソリアの予感は当たるだろうし、ある程度警戒はしておこう。

そして僕達は外に出たのだった。

KHRBよろしくお願いします。

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