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槍と顛末

「ふぅ、疲れたわ。」


「ありがとう、助かったよ。」


「元は私が頼んだもの、お礼はいらないわ。」


カトレアさんのおかげで無傷で帰ってこれた。

少し心残りなのがあの最後の二体だ。

結局僕達では倒せなかった。


しかもあいつらの体には一切傷が付いていなかったのだ。

長時間とは言えないけど、それでも十分殴り合った筈なのに。

それこそルナミスで傷を与えられるかという感じだろう。


あっ!?そういえば──


「ノレアーノさんが生き埋めに──」


「あいつなら殺したから心配しなくてもいいわよ。」


「え?」


「ん?」


殺した?

殺したって、どういう事?

いや最終的に殺す事は決まってたとはいえ唐突すぎないか?


「結構あっさりよね、貴女。」


「……まぁ、悩んだりはしなかったわね。」


カトレアさんの言葉に、少し引っかかった。

正確には話し始めるまでの間だ。

少なくとも何も思わずにあっさりとノレアーノさんを殺した訳ではないな。


「さっ、皆に結果を伝えに行きましょう?」


「そう、だね。うん。」


聞くなら皆の前で聞いた方がいいだろう。

嫌なら答えないかもしれないけれど、それはしょうがない。

そして城に戻ろうとすると、メイが僕に抱き着いてきた。

まぁ予想は出来てたし、倒れはしなかったんだけど。


「お帰りなさい、ご主人様!」


「ただいま。」


そう言って頭を撫でる。

嬉しそうな顔をしているメイと共に戻ると嬉しい事が一つ。


「あっ!?」


「……その、心配かけたな。」


フリージアが出てきていたのだ。

よかった、ようやくソリアが起きたんだな。

でも……


「なんか不機嫌、だね。」


「当然だろ!あいつはとっくに起きてたのに寝てるふりしてたんだぞ!そんなの許せねぇよ!」


「私の予想が当たったわね。」


カトレアさんの言う通りソリアはわざと起きてない様に見せていたようだ。


「ったく、こっちの心配を返してくれよ。」


「まぁいいじゃないですか、戻ってきてくれただけでも。」


「まぁ、そうだけどよ……」


確かに戻ってきただけで嬉しいとは思う。

そうだとしても多少の不満は残るんだろう。


「はぁ……で、何があったんだ?俺は話聞いてないからよ、知らねぇんだ。」


「あぁ、じゃあ──」


そうして、僕は事の顛末をフリージアに話した。

その間にメイは僕の足の中に入り始め、アリーは僕に抱きつく。

話していく中でで僕側に起こった事を皆に話す。


「──という感じかな?」


「そうですか、お疲れ様でした。」


「ふーん……」


「……カトレアちゃんの方は何かあったの?」


「私?」


「うん、どうかな?」


確かに気になるな。

いつノレアーノさんを殺したのか知らないし。


「ミラ、大して面白くないわよ、どうせ。」


「えぇ!?でも気にならない?」


「全然、ある程度は想像がつくしね。」


僕は気になるけど、想像はついている。

聞かなくても別に、って感じかな。


「で、私は話した方がいいのかしら?」


「話してあげれば?ミラとか気になってるし。」


「そうね……大した話は出来ないわよ?」


そう言って簡単にだが話し始める。


「最初にノレアーノが入っているエクストリームを倒した後偽物のノレアーノを殺してノレアーノに化てたバコクーダと戦ってたわ。」


「……ん?」


「分からなかった?だから最初に──」


「ごめん、一回考えさせて。」


「バコクーダって、誰ですか?」


「堕天使よ。」


理解は出来る、ただ少し情報が多いだけで。

えぇっと、僕とタルトが戦ってたあれがエクストリームじゃなくて、で?あのノレアーノさんは偽物で、だけどそれに化てたもう一人の堕天使がいて?


「つまり騙されてたって事ね。」


「あぁ……」


「いえ、別に最初から偽物だって気付いてたわよ?」


「えっ?」


予想外の事を言われて思わず声が出た。

皆も同じなのかカトレアさんを見ている。


「……まさか、誰も気付かなかったの?」


「いえその……二人以外は一回しか会っていませんから。」


「だとしてもよ、はぁ……」


なんか「なんで分からないんだ。」みたいな顔をされた。

そんな分かりやすかったのかな?


「どこで分かったの?」


「そうね、偽物はまず私に会う前に気付いてない事ね。」


「……気付きませんよ?、普通。」


「それが本物なら気づいちゃうのよね、ほら。」


そう言いながら僕の肩を触る。

するとそこから聖の魔法が出てきた。

明らかにカトレアさんは魔力を使ってなかったし、本当に元からあったんだろう。


「いつの間に……」


「貴方達を下に送った時ね、触ってたでしょ?」


確かに触ってた気がする。

自然だったからあまり覚えてないけどさ。


「せめて先に言って欲しかったんだけど。」


「誰にも言わない方がいいのよ、こういうのは。」


まぁ……そうなのかもしれないけどさ。

何も教えてくれなかったのは少し寂しい。


「感謝しなさいよ、これがなかったら今頃死んでたんだから。」


「流石に言い過ぎじゃねぇか?」


「まさか、本当よ。バコクーダも油断ならないわよね。」


「……会ったっけ?」


「いや、会ってないわよ。顔は知らないけど。」


そもそもあんな所で知らない顔があったら覚えてるし、じゃあ一体どこで……


「最初に押し倒された時、ノレアーノが来てたでしょ?」


「あぁ、うん。そうだね。」


「その後でいちゃついてた時に来てたけど二回目と反応、違ったでしょ?」


「……もしかしなくとも、別人?」


「えぇ、最初のがバコクーダよ。その証拠に私がすぐに来たでしょ?」


……絶対気付けたな、あれ。

なんで気付かなかったのかな……

こうして僕はノレアーノさんの依頼を終わらせたのだった。

KHRBよろしくお願いします。

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