槍と最終防衛
「これでようやく二人きりね。」
「まぁそうだね。」
「……」
「……」
突如として訪れる静寂、気まずいのでやめてほしい。
「……襲うなよ。」
「流石に叱られた後にする程考えなしじゃないわよ。」
「叱られてなければ襲うんだ。」
「当然でしょ、馬鹿なの?」
なんか怖いな、特に目、冗談を言っている目ではない。
いや、襲われないだけまだいいのかな?
「……」
「あら、照れてるの?可愛いわね。」
「……まぁ。」
僕好みの人が抱きついているんだ、ならない訳がない。
むしろならない方がおかしいと言える。
「じゃあ、好きって言って?」
「……」
「?ねぇ、どうしたの?」
確かに、今なら好きという言葉を言えると思う。
でも……
「ほら、早く。ね?」
「……言えない。」
「……は?早く言いなさいよ。」
「言えないよ。」
「……」
「言うならさ、本人に言いたいから。」
「……そう。」
しれっと魔法を解除してる、実に分かりやすい反応だ。
さて、僕も言わないとね。
「好きだよ。」
そう言って次の朝までタルトが離れてくれなかったのは、また別のお話。
「先日は!、その……お楽しみの所を、お邪魔してしまって……」
「そんなに気にしないで下さい、別に見られて困る様な事ではないので。」
少し時間が経って、今はノレアーノさんと話している。
襲撃は今の所起きていない、まぁ起きても精々七体しかいないんだけどね。
因みにタルトはまだ寝ているのでここにはいない。
「あ、そうそう、伝え忘れてたんですけど、残りの七体なんですけど、襲ってくるのは五体です!」
「襲ってこないのもいるってこと?」
「襲ってくるというか、その二体は移動が出来る構造をしてはいないので!」
成程、それなら納得がいく。
移動できないならしょうがない、多分エクストリームを守っているんだろう。
「なので!多分次で最後だと思うんですよ!」
「確かに最後でもおかしくないと思うけどさ、まだ決めつけるのは早いんじゃない?」
「いえ、絶対に最後です!残ってるプロトタイプは自爆するんです、流石に自爆だけで攻めてきませんよ!」
そう言われると何も言い返せない。
特攻したとしても流石に残りの兵力が弱すぎる。
「……」
「あっ、おはよう。」
「んっ!」
僕に向かって両手を伸ばすタルト。
どうやら抱擁をしてほしそうだ。
僕は素直に抱き寄せた。
暫くして満足したのか自分から離れていく。
「どうしたの?急に。」
「今したいって思ったから。」
「そう、ならいいけど。」
色欲の件もある、気にしておかないとね。
さっき話していた事を一通り話し終えた時、今度はカトレアさんがやってきた。
「成程ね、遂にノレアーノを殺せるのね。」
「何言ってるんですか先輩?そんな冗談つまらない──はっ!?」
「なんで貴女が忘れてるのよ?」
「えっ!?いや、その〜……お慈悲とかは?」
「ない。」
今更命が惜しくなったのか助けを求めたけどカトレアさんにあっさりと切り捨てられる。
「そんな事言わずに助けてくださいよ!?先輩天使ですよね!」
「堕天使を助ける天使なんて天使失格よ。」
少し可哀想だけど、これは仕方がない。
そういうのは天使に任せた方が一番だ。
「どうしてですか先輩!助けてくださいよ〜。」
「今更命乞いなんかしても意味ないわよ。」
それと同時に、襲撃の合図を示す音が聞こえてくる。
「皆さん!出番ですよ!ほら先輩も頑張ってきてくださいね!今の所何も役に立ってないんですから!」
「私は行かないわよ?」
行かない?
いや、いてくれた方がいいんだけど……?
「ええっ!?まさか先輩、ただの穀潰し……」
「勘違いしないでほしいわね、私はもしもの時の援護役、今までだってある程度は見てたんだから。」
「ならなんでもう終わりそうって言った時に驚いてたの?」
「だからある程度よ、全部見ている訳じゃないの。」
まぁ戦ってくれた方が嬉しけど、今の所苦戦してないしいいか。
次も自爆に気を配ればなんとかなりそうだし。
「じゃあ行ってくるね。」
「えぇ、一応送ってあげるわ。」
そう言って僕達の目の前の風景は一瞬にして変わった。
あれがプロトタイプか……思っていたより大きいな。
あれに自爆されたら一溜まりもない。
「気を引き締めて行こう。」
「えぇ、勿論。」
「もう!、先輩はいいご身分ですよね!そう言えば面倒な事避けれるんですから。」
「あら、そうかしら?むしろ一番面倒な位置についたと思っているんだけど。」
「どこがですか!今暇でしょ!」
暇、ね。
まぁ確かに何も知らなければ暇かもしれない。
「貴女なら暇じゃない、って分かるんじゃないかしら?」
「えぇ!?そんなの分かるわけないじゃないですか!」
「いいえ、もう少し考えれば分かる筈よ。」
「……分かりません!」
そう、まぁそうよね。
無駄な期待なんだろうけど、少しくらい期待しても……いいえ、違うわ。
「なら、教えてあげるわ。」
「はい!よろしくお願いします!」
本当はもう少し楽しみたかったけど、我儘ね。
はぁ、なんでこんな事になってるのよ、ノレアーノ。
もう少しなんとかならなかったのかしら?
「ねぇ?偽物のノレアーノ?」
KHRBよろしくお願いします。




