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閑話 先代と双剣 変わりゆく運命9 後編

「皇帝陛下、気分はどうですか?」


「はははっ、最悪かな。」


「その怪我じゃ今のままだと助からなさそうね。」


「……」


「おいっ!邪魔、だ!」


「おっとっと、時間は稼いだよ。」


「ありがとう、さぁ悪魔よ、喜びなさい!」


「はぁ?何言ってるんだこいつ。」


「貴方はこの偉大な魔法使い、テリジアに倒されるのよ!」


「ふんっ、お前みたいな貧弱魔力の魔法使いが偉大?やっぱり人間は雑魚だな!」


「まぁ、今はね。」


今から始まるのは、歴史に名を残す一方的な蹂躙なんだから。






私は小さな時から聖女というものに憧れていた。

当然ではあるけど私の世代の女の子は皆憧れていて、そして諦める対象でもあった。


聖女は一人しか存在できない、なりたいけどなりえない。

そんな聖女になれるとアイルジニア様から言われたあの日の事は今でも覚えている。

その日は興奮して寝れなかったし、両親と離れる事も大して気にしていなかった。


そんな希望に満ち溢れた私を待ち受けていたのは、非情な現実だった。


周りからのアイルジニア様と比べられる視線、そして期待外れだと言われている様な錯覚に陥る態度。

そこに重なる様にアイルジニア様の相次ぐ体調不良の知らせ。


まだまだ沢山あるけど、特に辛かったのはこれくらい。

前の方がよかった、あんな子をなんでコール様はお選びになったのか、とか私に聞こえる様に言ってきた人達の顔は今でもたまに夢に出てくる。


アイルジニア様やコール様は気にしなくていいと言ってくれたけど、それでも私は本当に聖女になってよかったのかって、ずっと考えている。

私さえいなければ、私が聖女に選ばれなければ、私のせいで聖女という看板を穢していないか。

聖女になった頃はずっと考えてたし、部屋で一人泣いたりもしていた。


そんな私が少し変われたのは、ルーくんのおかげだった。

最初にルーくんと出会った時、私は一目でルーくんの事が好きになった。

最初はただ単に顔が好みなだけだったけど、段々それ以外の所も好きになっていった。


私が我儘を言ったら面倒な顔をしながらも何も言わないで手伝ってくれる所とか、

私に嫌味を言ってくる人から守ってくれる所とか、

それがいくらアイルジニア様の護衛のアーセナルさんから言われてやってたとしていても、私は嬉しかった。


私は誰からも必要とされていないと思ってたのに彼はいつでもそばで私を守ってくれている。

私はそれだけでも、本当は彼から好かれていなくても心の底から嬉しかった。


そんなルーくんが私を本当の意味で見始めてくれたのはマルマーに留学している時から。

当然私はマルマーでも嫌われていた、それだけならまだよかった。

でも、私は魔法の能力は同年代の中でも飛びぬけて凄かったのが悪かった。


私は森への実習中に一人置き去りにされてしまった。

こんな事になるなら見栄をはってルーくんを森の外で待機させなければよかった。

私は火の魔法に適正がある、しかしながらここは森の中、事前に火の魔法は使わない様にといわれている。


万が一危険を感じたら使うけど、なるべくなら使いたくない。

もう絶対に、聖女の評判だけは落としたくないっ……


そんな時にすぐに来てくれたのがルーくんだった。


「大丈夫ですか!聖女様!」


その時にはもう私は恋に落ちていた。

自分でも嫌になるほどにルーくんの事が好きになっていた。


その後私を森に置いて行った人達は強制退学という非常に重い処罰が下った。

マルマー側の体裁を保つ為に謝礼金まで送られてしまった。


この事で私は更に嫌われると思っていたけど、実際は二分化していた。

相変わらず私を嫌う人達と、流石にやりすぎなんじゃないかという人達だ。

私は少しだけだけど嬉しかった、こんな私でもかばってくれる人がまだいたという事に。


そうやって少し日が経ち、私は自室でルーくんの目の前で泣き出してしまった。

もう色々限界で、耐えにくくなって、泣くしかなかった。


そんな私を泣き止むまで待ってくれたルーくんは


「何があっても、俺は聖女様の味方です。」


そう言ってくれた。


そうしてやっとルーくんは私を私として初めて見てくれた。

聖女としてではなく、一人の女の子として。

両親は既に私を出来損ないの聖女としか見てなかった。


アイルジニア様やコール様とは違う、私が隣にいても何も言われない人が出てきた私がやる事といえば?


そう、ルーくんに色目を使う邪魔者を絶対に排除する事だ。

ルーくんは周りから結構評判が高かった。

主に私が無理矢理護衛した所を中心に好きな人はルーくんに汚い色目なんかを使ってきている。


私が悪名高いせいでルーくんは人気、なら私がやる事はとても単純だ。

私がルーくんを淫乱女共から守ってあげればいいと。


そうして私は無事ルーくんを独り占め出来る様になり、結婚までいけたのだった。






「ねっ?ルーくん?」


「まぁ、概ね当たってるけど……」


「どうだった?フリージアさん?」


「何回聞いても先生は素晴らしい方と結婚されたんですね。」


「でしょ~!」


(なんとか先生の昔話で授業への気を逸らせたぜ……)

KHRBよろしくお願いします。

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