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槍とスキル

スランがキョニョ助と共にタオと戦っている頃、ルナミスとアンゼスは手合わせの準備をしていた。


「手加減はしないでくださいね?」


「勿論よ。」


「二人とも、準備はいいですね?」


「はい。」「えぇ。」


「では、始め!」


勇者顕現(ヴレイヴ・オン)!」


絶対全能全力補助(サポート)。」




「──という事があったのです。」


「成程ね、ありがとう、メイ。」


そう言って僕はメイを近くに寄せ頭を撫でながら話を整理する。

ルナミスの勇者の力がアンゼスさんの技を破った。

ルナミスが手加減しなかった事とアンゼスさんの技の力不足によってこの惨劇が起こった。


……この状況一体どうすればいいんだ?


「どうもしなくても結構です。」


「アンゼスさん!?」


どう考えても数秒で治りそうもない怪我だったアンゼスさんが何事も無いかの様に話しかけてきた。


「大丈夫なんですか?」


「?……あぁ、貴方には私のスキルを見せていませんでしたね。」


「すき、る?」


聞いた事のない単語だ。

正直どこの言葉かは想像しやすいんだけどね。

その間に僕への説明の仕方を考えたのかアンゼスさんが話し始めた。


「えぇっとですね、スキルというのは我々異世界の者が成長の証として与えられる武技みたいな物です。」


「武技、ですか。」


「えぇ、まぁ、武技とは比べ物にはならないですが。」


そう言ってアンゼスさんが指を鳴らすと庭は元通りになっていた。


「何度見ても凄いですね。」


「何度も見たんだ……」


「諦めが悪くて、何回も。」


「いくつか攻略法を考えていたんですけどね。惨敗です。」


そう言ったアンゼスさんは少し残念そうな顔だ。

本当に勝てる気でいたんだろう。

というかこんなスキルで勇者の力に対抗できると思ってたのか。


「こんな、ではないです、絶対全能全力補助、通称サポートです。」


「絶対全能全力補助?」


「……まぁ貴方達ならいいでしょう、私のスキルは私が補助が出来ると思ったら補助が出来るスキルです。」


補助が出来ると思ったら補助が出来るスキル、か。

なんか、凄そうな力だな。


そういえばさっきの思考誘導、使ってたのかな?

……聞いてみるか。


「て事はあの思考誘導もスキルで?」


「あれは魔法にスキルを使っていたので少し違いますね。」


「そうなんですね。」


……よくこんなスキルで勇者の力を持つルナミスに勝とうとしたな。

勇者の力なら力推しは簡単だし、かと言って小手先の技術は疎かになっていない。

勝てる隙を見つけるのは大分厳しそうだ。


「はぁ……まさか私の策を全て力技で乗り切るとは、参りましたね。」


「すんなり勝てちゃったけど、本当はどうするつもりだったの?」


「あぁ、例えば貴女の剣を振る力を補助して剣の威力を抑えたりですかね?」


「……それって補助なの?」


「紛れもなく補助ですよ。」


ルナミスの言う通り補助らしくはない。

でも、多分この人は補助の見方を変えて補助をしているんだろう。


「私から見て貴女は敵ですし私は味方です。味方への補助として相手の弱体化はよくあることでしょう?」


「ふーん、でも結局は貴方の匙加減でしょう?」


「そうですね、基本何でも出来ますから。」


そう言ってどこからか飲み物を出して飲むアンゼスさん。

便利そうだな、何も困る事はなさそう。


「勇者だけでも勝てそうにありませんし、スキルを得たら私では敵いそうにないです。」


「勇者の力がルナミスの力じゃないの?」


「勇者は別枠です、圧倒的な力を持った異世界の存在、それが勇者です。」



ルナミスがもっと強くなるのか……

僕も、精進しないとね。


「私の見立てだとあともう一人は勇者になる筈です。これならあれにも対抗できるでしょう。」


「あれって?」


あれって何だろうか?

考えられるのは魔王なんだろうけど。


「それは教えられません、その先は破滅しかないですから。」


「聖女として聞きたい所ですが、それなら聞かないでおきましょう。」


「ご理解感謝します、貴女も口を滑らせない様に。」


「言われなくても気をつけてるって。」


多分、この世界の終わりをこの二人は知っている。

なら、もしかして知ってるのかな?僕の種族の事。


「一つ、質問していいかな。」


「私の答えられる範囲ならばいいですよ。」


「独歩族って、何?」


その言葉を聞いて二人は驚いた顔をした。

反対にセフィは顔を傾げている。

聞いた事のないものだろうしその反応はわかる。


二人は顔を見合わせ少し時間が空き、その問いにはアンゼスさんが答えてくれた。


「よくわからない、と言うのが正直な所です。」


「そう、ですか。」


まぁ、しょうがないか。

そんな都合のいい話あるわけがない。


「知ってるのは悪魔を狩る生き物って事しか……」


「悪魔を狩る、か。」


まぁそれくらいは僕でもわかる。

悪魔が妙に反応していたしね。


「……それ、どこ情報ですか?」


「えっ?勉強版だけど。」


「あの変態モードやる人いたんですね、彼のルートやるの大変でしたよね?」


「完璧に覚えるまでは他のルートが大変だったくらいかな。」


二人の会話からメイに視線を向け、僕は動かしていた手をそっと下に下ろした。

メイは不満そうだが僕にはまだやる事がある。


フリージアをどうにかしないといけないし、アリーを迎えに行かないといけない。

時間的に一回あっちに止まらないといけないな。


そう思って僕はアリーを迎えに行く準備をする為に口を開くのだった。

KHRBよろしくお願いします。

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