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槍と第二試合

「ただいま。」


「お帰りなさい、もうそろそろ始まりますよ。」


「では続きまして第二回戦!まずはこの選手!」


セフィにそう言われたのも束の間、もう始まる様だ。


「先代聖女、テリジア・イレイサ第一位のもっとも信頼を置かれている護衛。

速度が大切とされる双剣で速度を捨てた鈍重な攻撃は誰にも止められない!

前回優勝の実力はいかに!ルーク!」


そう宣言されると共にルークさんが右側から現れた。


「ルーくんかっこいいよ〜!」


「暫くは変わりませんね、あの様子では。」


セフィがそう言ってこの試合中テリジアさんと関わる事を諦めた。

あの雰囲気で話しかける程僕も無神経ではないけどさ。


「続いてはこの人!今代の勇者の一人であり、その実力も折り紙付き。

勇者特有の成長速度で、どこまで抗えるか!

職業:勇者!リョウタ・キヌカワ!」


そうして懐かしい顔が左側から出てきた。

あまり観客は歓迎ムードではないが、それとは別件で僕は少しだけ期待している。

歓迎されていないのは勇者という以上、邪悪な存在が付き纏ってくるのは分かっているからだ。


邪悪な存在がいる時に勇者が必ずいる事が大切なんだけどな。

別件というのは彼の心構えだ。


僕が彼と会っていた頃はまだ転移前の感覚で物事を見ていた。

それがこの期間でどれだけ変わったのかを見てみたい。

そういうのは戦い方さえ見れば分かるから楽しみだ。


「それではお二人共、準備はいいですか?」


「あぁ。」「はい!」


「それでは第二回戦、3! 2! 1!







開始!」


そう言われた瞬間にルークという男が物凄い速さで距離を詰めてきた。


「えっ!?」


「こういうのはどうかな?」


俺は咄嗟に剣で守ろうとするがその前に相手の一撃を喰らってしまった。

それで相手はすぐに距離をとりもう一度俺に攻撃出来る体制になる。

そして、俺はある疑問を無意識の内に喋っていた。


「速さを捨てたんじゃ……」


「確かに俺の強さは双剣での重い一撃だけど、別に出来ないってわけじゃないんだ。」


相手は前回優勝者だし、油断はしてなかったけど……


「もう少し強いと思ったんだけどね、的外れだったかな。」


「的──」


「じゃあね。」


俺が話そうとした瞬間に距離を詰められる。

相手はこの一撃で終わらせるつもりの様だ。


俺も先程の攻撃から学んで剣を素早く構えた。

少し嫌な予感がしたので両手で剣を支えているけど間違い


「っぁ!」


そして俺の剣は木の枝の様に折られ、負けた。


「さっきと、威力が……っ。」


「これが、()の力だよ。」


俺の意識はここで途切れた。






「これは……」


「圧倒的だったね。」


流石と言うべきかルークさんの圧勝で終わった。

流石に成長途中の勇者には荷が重かったかな。


「ルーくん!」


「ただいま、勝ってきたよ。」


相変わらず訳の分からない移動方法で一瞬にしてこの部屋まで戻ってきた。

僕は次の試合の準備があるから戻って来てから話そう。


「じゃあ行ってくるね。」


「頑張ってくださいね。」


「勿論。」


「ご主人様、」


そう言って僕の服を掴んだメイ。


「どうした?」


「決勝までは行ってください。」


「えっ!」


流石に快く頷けはしないんだけど……

僕が周りに目を向けるとセフィ達が頷いていた。

僕も頑張る気はあるけど、相手が相手だしね。


「まぁ頑張るよ、じゃあ行ってくる。」


そう言って僕は部屋から出た。


「じゃあルナミス、後はよろしく。」


「うん、頑張ってね。」


ルナミスにも軽く挨拶を送り僕は入場口まで急ぐ。

しかし、そこで一つ連絡が放送で入った。


『現在緊急で結界のメンテナンスを行うので第三試合はメンテナンスが終わり次第案内します。繰り返し──』


「メンテナンスか。」


緊急と言われると少し心配だな。

だけど少し時間が出来たな、どうしよう?


……勇者の所にでも行くか。





「あっ!お久し振りです。」


「久し振り、さっきの試合見たよ。あの動きは相当頑張ったみたいだね。」


僕が医療室に入ると勇者一向がそこにはいた。

ただ7人という少ない人数になってるので物足りなさはあるけど。


「いえ、手も足も出ませんでしたし、まだまだです。」


「しょうがないよ、まぁいずれ勝てる様になってほしいけど。」


勇者は悪を倒す鍵になってくる以上、一番強くなってほしい。

二年でこれだけいけるなら期待出来るし心配はいらないけどね。


「クラスの皆で、ここまで来れたらよかったんですけどね……」


「先生、それはもう仕方がないですよ。」


……まぁ僕も罪悪感はある。

それでも前に進んでくれた事に感謝したい。


「あまり騒がしくさせたくないし、僕はこれで。」


「あっ、ありがとうございました。次の試合、頑張ってくださいね!」


そう言われて医療室を後にしようとすると、


「あっ!そういえば。」


「?」


「誰か転生者の知り合いっていませんか?」


転生者、ルナミスか。

……あんまり言いふらされたくなさそうだし、言わないでおこう。


「いや、いないけど。」


「そうですか、もし砂月って子がいたら教えてくださいね。」


「うん。」


そう言って僕は医療室を後にした。

すぐにクロタケさんが医療室に入っていったけど僕には関係ないしね。


『緊急メンテナンスが終了しました、十分後に第三試合を始めます。繰り返し──』


そして僕は、次の試合へ赴くのだった。

遅れてすいません。

KHRBよろしくお願いします。

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