始章 槍と猪
ななななーななななー
「……」
「あら、あなたはこの前の……」
「ジュリエットさんですか、どうしてここに?」
「仕入れよ、何があったかは聞かないでおくけど……その槍はどうしたの?」
「ちょっと麻痺毒で……」
「麻痺毒?ちょっと見せてみて。」
「……これは私でも無理ね、大人しくエルフの薬を買うといいわ。」
「そう簡単に買えるんですか?」
「買えるわ、割高で。」
「……」
「ここで我に勝てたらこの店のおかずを一品奢ろう!」
「何ですか、あれ。」
「腕試しね、この国ではよくある事よ。」
「……」
「さて、私やってくるわね。」
「どうぞお好きに。」
「すまないが女性は対象外だ。」
「えぇ……」
「だが、おかずは奢ろう。」
「それじゃあ意味なくないかしらその挑戦。」
「あぁ、だから自分より弱いと思う者と戦おう。
勝敗が関係するのはその者だけだ、どうする?」
「うーん……君、やれる?」
「まぁ少しくらいなら。」
「じゃあ決まりね。」
「……大丈夫か?」
「平気、少なくとも貴方に勝つくらいならね。」
「ほぅ……」
「じゃあ二人とも腕相撲の準備はいい?」
「いつでも。」
「勿論である!」
「いくよ、よーい始め!」
「ふっ!」
「なっ……!」
「勝者!……えぇっと、なんて名前だっけ?」
「スランです。」
「勝者スラン!とゆう事で虫の塩焼きを一つください!」
「虫……」
「案外いける物だぞ、虫は。」
「そっそうなんですね。」
「まぁ我もそこまで好物ではないが……」
「虫を選んだとなると爬虫類系か小型の鳥系統の獣人か、世界は広いものだ。」
「……」
「おっと失礼、我はクロタケと言う者だ。」
「あ、スラン・レイサです。」
「しかしあそこまで強い女子がいるとは……我も精進が必要だな。」
「わかるんですか?」
「あそこまで強いとなると流石にわかる、初めて挑戦を断ったくらいだしな。」
「いつもは受けてるんですね。」
「うむ、来る者拒まずだからな。」
「そうだ、スラン。」
「はい?」
「強い女子がいる街は知らんか?」
「うーん……あ。」
「何か心当たりがあるのか!?」
「カコラ帝国で革命が起きたらしいから起こした人が強いかも。」
「ほぅ……情報感謝する。」
「いえいえ、お構いなく。」
「さて、何を頼む?」
「うーん……蛙の塩焼きで。」
「うむ、ではこれを渡しておく。」
「あ、ありがとうございます。」
「礼には及ばん、ではさらばだ!」
「え、飛んで──」
「うぉ!貴様ら何をする!」
「……食べよ。」
「何食べてるの?」
「蛙の──」
「ひっ!」
「……苦手なんですね。」
「苦手じゃないし……」
KHRBよろしくお願いします。




