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槍と帰宅

「……勘違い。」


「いえ!その立ち振る舞いはナルム様以外あり得ません!」


そう言ってメイのフードを取った。

その瞬間周囲がメイから離れていく。


「あっ……」


「ナルム様ではないですか!ナルム様、こちらに──」


「嫌っ!」


そう言って執事の手を跳ね除けた。

その行動に周囲は驚きメイは僕の後ろに隠れる。


「……貴方、誰ですか?」


「僕は……この子の保護者です。」


僕がそう言いながらメイの頭を撫でた。

メイは少し恥ずかしがりながらも嬉しそうにしている。

その瞬間、周りの空気が悪くなった。


「保護者ぁ?」


「姫様の頭を撫でるな!」


等様々な罵倒を受けた。

結構メイの人気があるらしい。

昔にこの国で死んだと思われた王女様が生きてたんだ、納得できる。


そういえば狼族は頭を撫でるのは無闇矢鱈にしてはいけないのだ。

メイが全然嫌がりもしないので忘れてた。


「……そもそも私は戻って来る為にここにきた訳じゃない。」


「ではどの様なご用件で?」


「父様と母様の顔を見る為。」


「では一度王城に!」


「もう見れたから十分。行こ、ご主人様。」


そう言ってメイが僕を次の街への方向に押していく。

と同時に更に僕達の包囲網は堅くなった。


「……何?」


「おい人間、何故ナルム様にご主人様と呼ばれてる。」


……予想は出来てた。

そもそも狼族にご主人様呼びはダメだろうと。

僕は若干メイがワザとやったのではないかと疑ってしまう。


「私がなんて呼ぼうと勝手でしょ。」


「いえ!一国の王女であるナルム様が

その様な呼び方をされては国の威厳に関わります!」


「私もう家出たから関係ない。」


その一言で周りの人々は黙った。

家を出たらもう家とは関係が無くなったと言っても過言ではない。

それをこの場の者達は理解しているのだろう。


「……ナルムなの?」


「……母様、お久し振りです。」


そう言ってメイは軽く会釈をした。

姫らしく挨拶をして僕を再び押す。

が、一度立ち止まり


「これ、お返しします。」


と言ってどこからか取り出したネックレスをメイのお母さんに渡した。

そしてまた僕を押し始める。


「まて、ナルム。」


「……何ですか父様、私達は早く先に進みたいのですけれど。」


「戻ってこい。」


その一言はとても重い様に感じた。

メイもそれは感じているのだろう、少し体が震えている。


「嫌です、私はもう別の場所で──」


「これは命令だっ!」


その一声と同時にメイのお父さんが剣を振りかぶる。

それを受ける為に僕は咄嗟に槍を伸ばしてメイを守った。


「邪魔だ人間、どけ。」


「こっちも大事な仲間を取られるのは困るんですよ。」


ここで侍女と言わないのは更に怒りを買ってしまうかもしれないからだ。

とにかくここを早く抜けたい。


「ナルム。」


「……何ですか?」


「こいつを殺して城に行くか

こいつを国外追放して城に行くかどちらがいい?」


「では二人仲良く次の街に行きます。」


「選択肢から選べ!」


「そもそも父様が勝てるとは思いません。」


そう言われたお父さんは少し苦い顔をした。

僕は槍を元に戻して先に行こうとする。


「民の血税を吸ったままで家を出るなど許さんぞ!」


「反乱されてた人が何を今更……」


どうやらあまり良い王ではなさそうだ。

が、その後ろにいたお母さんからの言葉でメイが止まった。


「お願い、少しだけでいいから帰ってきて?」


「……」


少しメイが考え一言、


「この人と一緒なら、いい」


と言いながら僕の服を掴む。

お母さんには多少なりとも甘いのだろう。

ご主人様と言わなかったのは流石に親の前だと恥ずかしかったのだろうか?


お父さんとお母さんはしょうがなくそれを受け入れ僕達を城の中に入れた。

……何でお父さんはあんなにすんなりと引き下がったんだ?

まぁいいか、取り敢えず用を済ませたら早くフォレスチナに行かないと。


この時すでに半年程経っておりなるべく早く帰りたい。

僕達は少しメイの両親と話をして外に出ようとした。

その時一人の男が僕達の行手を阻んだ。


「人間、俺と一戦してくれないか?」


「……誰?」


「一応私の元婚約者です、無視でいいですよ。」


少し元婚約者の所で驚いたが無視でいいなら無視しよう。


「行くぞ!」


「わっ!」


無視をしていたので少し反応が遅れてしまったがすぐに槍を持ち反撃をする。

僕が一突きしてその男を倒しメイの方を見ると


「動くな、人間。」


メイが捕まっていた。

僕が目を離したその一瞬でやられてしまったのだろう。

僕がウインドスピードで助けようとすると


「少しでも動いてみろ、この子を殺す。」


「なっ……」


「当然だ、我が国から恩恵だけを受け取って抜けるなどあり得ん。」


……やられた、これは僕のミスだ。

僕がどうメイを助けるか考えてると後ろから刺されてしまった。


「っあ。」


「ひゃはは!この剣には麻痺毒が仕込んである、ここで死ねっ!」


その剣を受ける前に僕は出来るだけ力強く魔法を放った。

が、その男が吹き飛んだだけで目的のメイの両親はなんともなってない。


「ここは我々の温情で国外追放で勘弁してやる、今すぐに出て行け。」


「あぁ……」


僕はもうその時には体が思う様に動かなくなり槍で僕は移動した。

メイは助けられそうにない。


……ごめん、メイ。

あれま……

次回は閑話だよ!

KHRBよろしくお願いします

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