槍と百面相
止まっちゃったね。
すいません……
僕は持っていた魔力封じの腕輪をミラさんにつけた。
流石に起きて使われたら厄介だからね。
とゆう事で僕はミラさんの右腕につける。
左手はさっき怪我してたからやめておいた。
つけた瞬間、信じられない事が起きる。
「あ、あれ?」
ミラさんの姿が変わったのだ。
僕の背と同じくらいあった身長はメイぐらいになり、
胸の部分も前とは比べ物にならないくらい大きくなっている。
「どうゆうこと……」
取り敢えずセフィの所まで戻ろう。
堅牢の方に援護に行こうと思ったけど──
「くっ……」
堅牢でも流石に二人相手だとあまり上手く動けてない。
魔法も使えるようになったし二人が負ける事はないだろう。
セフィの正式な護衛もしないといけないから丁度いい。
「スラン、ちょっといいですか?」
「後でいくらでも聞くから、今は待って。」
今聞いていたらその間にミラさんが起きてしまうかもしれない。
僕はミラさんを抱えながら近くにあった椅子に座った。
勿論二人は座ってる。
「で、スラン。」
「だから後でって言ったじゃん。」
セフィが不満げな表情をした。
今聴き始めるとミラさんが起きたら話を切らないといけないので
さらに面倒になる。
抱えている理由は勿論ミラさんが逃げないためだ。
男性耐性がないミラさんならこれで逃げられない筈。
しばらくするとミラさんが目を覚ました。
「……うっ。」
「おはようございます、ミラさん。」
「……あぁ、スラン君か。……スラン君⁉︎」
暴れるミラさんを抑える。
ミラさんの顔はほんのりと赤く染まっていた。
「すっ、スラン君。離してくれない?」
「そうすると逃げちゃうかもしれないんでダメです。」
「だよね……」
少し諦めた表情になった。
何だか懐かしいなと思っていた所にセフィがミラさんに話しかける。
「初めまして、私はセフィリア・イレイサです。」
「あ、ミラです。」
「で、スラン。なんであんなことをしたの?」
「……あれしか勝つ方法が浮かばなかったからしただけ。」
一応起きたしそのままの流れで答えた。
ミラさんは思い出したのか顔を再び赤くする。
「……本当ですか?」
「嘘をつく必要はないよ。」
「……納得しておきましょう。」
そう言いながらセフィはため息をついた。
そうだ、ミラさんにも謝っておかないと。
「ごめんねミラさん、あれしか思い浮かばなかったから。」
「あぁ、いいんだよ。僕の弱点を知っていて使わない方がおかしいからね。
これは弱点を克服してなかった僕のせいだよ。」
よかった、嫌われてたら相当傷ついてただろう。
そう安心しているとミラさんから質問をかけられた。
「ねぇ、スラン君。」
「何ですか?」
「結婚とか……してるの?」
「結婚はしてませんよ。」
「……結婚、は?」
あぁ……まぁ気付くよね。
あんまりこうゆう事言いたくないんだけどなぁ……
「えぇっと、婚約者が一応二人。」
「二人……」
「ほぼ結婚が決まってるのが一人。」
「一人……」
「で、告白されて返事を待ってる人一人かな。」
「計四人……」
なんかミラさんがショックを受けてる気がする。
まぁミラさんモテなかったらしいし思う所はあるよね。
「スラン、最初の三人はともかく最後に関しては私も知りませんよ?」
「今始めて言ったからね。」
「一応私の審査は入りますから。」
「わかってるよ。」
周りに取り入って聖女を殺そうとする人も
いるかもしれないからしょうがない。
ただ……ルナミスなんだよなぁ。
そこは心配してない。
むしろセフィが驚くか困惑するかの二択だと思う。
「そういえばミラさん、見た目変わりましたね。」
「見た目?」
「僕くらいの身長からこんなに小さくなって……
その、胸部も大きくなりましたから。」
「え?」
「どうしたのセフィ?」
「確かに胸はなかったですけど身長はそのままでしたよ?」
へ?
どうゆう事?
まさか人によって印象が違うとか?
「セフィって……ほぼ愛称……」
「ミラさん。」
「なっ、何かな?」
「見た目が人によって違うなんて魔法使ってました?」
「いや、使ってないけど。とゆうかそんな魔法使えないよ?」
じゃあどうゆう事だ?
でも魔力を封じたからには魔法が関係してる筈だ。
「あぁ、でも僕魔力の操作が下手だから
いつも外に少しだけ出して練習はしてるよ。」
「……それですね、見た目の印象が違う理由。」
「あ……」
「とゆうか魔力を街中で使うのって
禁止されてるはずだけど……」
「その、秘密で。」
「まぁ、わかってますよ。」
この様に話した後、僕達は世間話を始めた。
その前に皇女様を紹介はしたよ。
メイとルナミスには悪いけど
僕は僕でセフィを守ってるので勘弁してほしい。
すっかり仲良くなった時、事態は動いた。
目の前から斧が飛んできたのだ。
メイのではない、完全に投げる用の斧。
「スランっ!」
「わかってる!」
ルナミスに言われなくても守るつもりだ。
僕は足で踏んでいた槍に魔力を流してセフィ達を覆う盾を作る。
つもりだった。
その斧はあっさりと他の人物に止められてしまう。
それは──
「……団長、出てくるの。」
堅牢だった。
そして斧が飛んできた方向には
「なんだ、何か文句でもあるのか?」
ソードベル王国第二王子、カード・ソードベルがいた。
KHRBよろしくお願いします。
これからゲリラ更新で行きますね。




