槍と博打
賭けですね。
「まだまだ増やすからね!」
「ちょっ!」
壁から一つ、二つ、三つと増えていき合計百以上もの魔力が僕を襲ってきた。
先程より避けるのが難しくなり何回かかすってしまう。
しかも壁に跳ね返るごとに速さと威力が上がるためとても厄介だ。
ただミラさんにも魔力の限界はある。
それまで待てば何とかなりそうな気もするけど……
そこまで避けきれないと思う。
喋る暇もなく避けていくと段々と魔力の塊が少なくなってきた。
よし、これで──
「私ね、魔力切れした事ないんだ。」
その言葉と同時に出現する無数の魔力の塊。
その数は先程のとは比べ物にならないくらい多い。
「反射した魔力を吸収出来るからね、早めに倒さないと勝てなくなるよ。」
と言いながら魔力をもう一度発射する。
やばい、と思った時にはもうすでに時遅く……ん?
何故か僕に襲いかかる魔力の感触がない。
恐る恐る目を開けてみるとそこには無数の魔力が
ゆっくりとこちらに迫ってくる光景が見えてきた。
「これは……」
取り敢えず僕は横にずれてそれを交わす。
これが何なのかわからないが魔力ではない事は確かだ。
体が内側から温まっているのが感じられる。
動いたからではない、もっと別の何かが熱くなってる感じだ。
ただ一つ言えるのは、今が攻撃するチャンスとゆう事。
僕は一気に前に出てミラさんに攻撃を仕掛ける。
と同時にその感覚がなくなった。
「っ⁉︎」
ミラさんがとても驚き体をのけぞらせる。
魔法も一旦解除されお互い相手の出方を伺っている感じだ。
「……いつの間にあんな所まで来てたの?」
「さぁ?なんででしょうね?」
先程の感覚……なんだか掴めそうな気がする。
同じ様にはならないとは思うがそれと近い感じは出来ると思う。
取り敢えず右手にやってみる。
確か……一部に魔力を集中して流す感じで。
すると先程の感覚と同じ様に感じたのだ。
これなら、と思い僕は全身にやろうとしたが今の僕では四肢が限界だった。
ミラさんの魔力は体内の魔力は影響されない筈。
身体強化と違って体内で完結するこれなら、勝てる。
「早っ!」
僕が一歩踏み出すと予想より早くミラさんの前に着く。
結構前まで来てしまったので突きから薙ぎ払いに攻撃を変えて行った。
が、流石にこの攻撃は止められる。
いくら前線から身を引いてもこれくらいは止められるんだろう。
「ミラーブレイク!」
その声と共にミラさんの左手が突き出される。
その中には高密度の魔力があった。
が、それと同時に世界が遅くなる。
もしかして魔力が目の前にくると発動する……のか?
後で要検証だな。
僕はそう思いながらミラさんの後ろに回る。
と同時に時間が元に戻り──
「わっ!」
「それは読めてるよ!」
ミラさんが体を捻って後ろを薙ぎ払う。
僕は咄嗟に槍で守り何もなかった。
そして先程の魔力が爆発する。
「くっ……」
今度は発動しなかったが特に傷はない。
代わりに砂埃が僕の視界を悪くする。
しばらくしても攻撃が来ず砂埃がなくなっていく。
辺りを見渡すと無傷のミラさんが後ろにいた。
ついでに堅牢の方を見てみると結構苦戦しているみたいだ。
どうする?ミラさんには弱点らしい弱点はない。
戦ってそれはとても痛感させられた。
魔法は使えず近接もほぼ互角。
僕は何とかあれを使って多少勝っているかなと感じるくらい。
……あれか?ミラさんの弱点って。
でもそれを狙うには僕の相当な覚悟が必要だ。
しかもミラさんを回避不可能にさせてからとゆう条件もある。
……少し様子を見てするか決めよう。
「うっ……」
ミラさんが左手を痛そうに見た。
さっきの魔法で結構ダメージを食らったんだろう。
けど剣は構えているのでまだ戦えるらしい。
……これ、左手を狙いまくって回避不可の状態を作れるんじゃない?
そのまま僕は左手だけを狙う様に攻撃し始める。
「ちょっ、スラン君、狡いって!」
「戦争に狡いも何もありませんよ。」
「そうだけど……」
何故か時間を稼ごうとしているミラさんに僕は攻撃をし続ける。
ミラさんの対応は段々荒くなりもう少しで僕が攻撃を当てられる所まで来た。
「ヒール!」
……あ、忘れてた。
そうだよ、そういえばミラさんヒール使えたじゃん!
うわっ、最大のチャンスを逃しちゃった……
やっぱあれをやるしかないのか?
でもなぁ……恥ずかしいし。
うーん……やるかぁ……
「……ミラさん。」
「何かな?」
「好きです。」
「ファッ!」
……ほらね、やっぱり。
ミラさんの男性耐性の無さからこれが効くのはなんとなく読めていた。
僕はそのままミラさんの元まで迫る。
ミラさんはさっきの言葉で動揺しきっていて対応が遅れて
僕の攻撃を見て慌てている。
そして僕はそのまま槍を突き、その途中で手から離した。
ミラさんは完全に僕の行動に戸惑っている。
そして僕は、そのままキスをした。
「⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈⁈」
えぇっと?舌を入れた方がもっといいのかな?
やり方は手探りでやっていく。
そして気が付いたらミラさんは気絶していた。
キスとか、セフィに散々されてるのでそんなに抵抗はない。
むしろそれで嫌われるのが嫌だ。
でも……流石に嫌うよね……
はぁ、僕がもっと強ければまだ他にやり方はあったんだろうな。
まぁ取り敢えず、魔力封じの腕輪をつけるか。
KHRBよろしくお願いします。
 




