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閑話 竜と絶望

がおー

「あぁ、君か。懐かしいね。」


「……私は会いたくなかったけどね。」


「そんな事言わないでくれない?

名無し竜さん?」


「貴方は大層な名前がついてていいわね

幻想竜王 ファントム・ドラグロス。」





「兄様!おはようございます!」


「おはよう、フリージア。」


今日も元気に挨拶出来た!


「兄様!好き!」


「僕も好きだよ。」


「昔のメビウスみたいね。」


あ、姉様だ!


「姉上……」


「昔は『僕、姉上と結婚する!』なんて言ってなぁ……」


「兄様!浮気!」


「えぇ……」


「姉様には渡さない!」


姉様なんかに……渡さな……い……





うっ、うーん……


「やっぱりフリージアは……」


「えぇ、後十年も生きられたらいい方でしょう。」


十……年?

私……死ぬの?


「うっっ……」


「あ……フリージア。」


「死にたくないよ……」


「ごめん……」




「フリージア、」


「来ないで!」


もう……何も見たくない。

何もしたくないの……


「一緒に遊びましょ?」


「やだ……」


「私ね、フリージアには楽しい思い出を沢山作って欲しいんだ。」


「……」


「もしフリージアが天国に行っても楽しかったって

思える話事をいっぱい増やしてから行った方が楽しいでしょ?」


「やっぱり死ぬんでしょ?私。」


「それは皆一緒、私だってもしかしたら明日死ぬかもしれないし

フリージアだって五十年生きれるかもしれないんだよ?」


「うん。」


「だから何もしたくないとか思わないで遊びましょ。

楽しい事をすれば絶対に長生きできるんだから。」


「本当?」


「本当よ、笑った方が長生きしやすいって言われてるんだから。

だからフリージアも笑顔を見せて?」


「うん!」




それから、私は姉様と一緒に遊んだ。

兄様は父様のお手伝いがあるとか言ってあんまり遊んでくれなかった。

それでも少しでも時間が空いた時に遊びに来てくれた時は嬉しい。


姉様は学園があるので夜はいつも遊んでくれた。

そんなある日


「ねぇフリージア。」


「何、姉様。」


「今日の夏祭りでね、綺麗な物が見れるから一緒に見ない?」


「見る!」


綺麗な物って何だろう?


「まずその前に……これに着替えましょう!」


「何それ!可愛い!」


「浴衣って言う服よ。」


浴衣に着替えた私達は護衛を引き連れて学園に行った。


「ここが学園?」


「そう、ここで眺めがいい場所を知ってるの!」


どこだろう?

そう思いながら歩いていくと高い塔の前まで来た。


「……ここ登るの?」


「ちょっと待っててね?」


そう言って姉様が何かに何かをかざすと何かが出てきた。


「これはエレベーターって言う乗り物なの。」


「えれべーたー?」


「これはね、異世界の乗り物なの。」


「異世界!」


なんか面白そう!


「じゃあいくよ?」


「うん!」


「上に参ります……なんてね。」


「姉様、誰の真似?」


「秘密。」


「えぇ!教えてよ!」


「フリージアが私より頭がよくなったらいいよ?」


「無理!」


「だから言ったのよ?」


ぐぬぬ……

そんな事をしている内に塔の一番上まで来ていた。


「おっきい……」


「フリージア、それはあんまり言わない様にしようね?」


「?、はーい。」


何でだろう?

と思った時パーンっとゆう音が聞こえた。

音がした方を見ると大きな花が咲いている。


「大きいお花だ!」


「あれは花火って言うのよ?」


花火……

と思ったら花火が消えたしまった。


「あ……」


「花火は火だからね、消えちゃうんだよ。」


「可哀想……」


「でも綺麗でしょ?」


「うん……」


そう言っている間に二発目がきた。


「……ねぇ。」


「何、フリージア?」


「お家じゃダメだったの?」


「お城からだと少し見にくくなっちゃうからここにしたの。」


「姉様、来年も見たい!」


「そうだね、来年も時間があったら見に行こうね。」


「……?、うん。」


そんな日々がずっと続くと思っていた。

姉様と兄様、父様や母様と楽しく過ごせると思っていたんだ。





「姉様!一緒に遊ぼ……」


『んん?なんだ、美味そうな奴がいるじゃあないか。』


私は姉様の部屋から音がしたので行ってみたら大きな竜がいる。

今日は雷雨で雷の音だと思っていた。

竜は窓を突き破っていて先程の音は窓が割れた音だと理解する。


その竜は私の方に向けて一歩づつ歩いてきた。

逃げようとするが腰が抜けてしまって動けない。


『お前はこの邪竜モルブの一部となるのだ!

感謝しながら食われるがいい!』


「やっ……」


「フリージア!」


ふと横に短剣が落ちている事に気付いた。

その短剣を邪竜と名乗った竜に向けるも竜は気にせず


『感謝しながら死ね!』


と口が私に迫る時、私は無意識に短剣を上に振り上げていた。

その短剣が運良く竜の口内に当たり血が出たが私の右腕がなくなる。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


『……よくもっ、よくもこの我に傷を付けたなぁ‼︎』


初めて知る痛みに悶え苦しんでいて気付かなかったのだろう。

私の右腕が無くなった所から邪竜の血が入っていた事に。


『シネェェェェェェ‼︎』


咄嗟に右手が出てしまった。

もうダメだ、と思っていると何故か私の右腕が復活している。


その手は鱗が生えていてまるで竜の様な手だった。

その右手から放たれるパンチは邪竜を吹き飛ばしてしまう。


──姉様のいる所に。


その事に気付いた時には手遅れでその巨体に姉様が潰されてしまった。

私は急いで駆け付けようとしたけど私はその場で倒れてしまう。

そのまま私は意識を手放したのだった。





「はっ!」


「フリージア様、起きられましたか!」


「うっ、うん。」


従者達とはあんまり喋った事がないので緊張してしまう。


「第一皇女様が……」


あ!姉様!

私がベットから降りようとするけど体が痛くて動けなかった。

従者の人が私を連れて姉様の治療室に行く。


姉様は全身血だらけで今にも死にそうだった。


「姉様!」


「……フリージア。」


「御免なさい……私があの竜を殴らなければ姉様は、」


「いいの、気にしないで。」


「でも……」


「私より、長生き出来るといいね……」


その姉様の容体が急変してそのまま死んでしまった。

私はその日から数ヶ月は部屋から出れなかった。

兄様が外に連れ出してくれなかったら今もそのままだっただろう。


私はこの力が憎い。

この血が憎い。

何より自分が憎い。


この力に頼らなければいけない、自分が。

がおー


KHRBよろしくお願いします。

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