槍と結婚
まだしないけどね
うっ……
ここはどこだ?
僕は確か皇女様を庇って……
「皇女様!っ……」
飛び起きた時に身体中に刺激が走った。
まるで身体強化を無理に使った時の筋肉痛の様だ。
「あの子は今眠ってるよ。」
僕の疑問を答えてくれるかの様に小さな女の子の声が聞こえる。
最小限の動きで辺りを確認したが誰もいない。
「誰もいない……もしかして幻聴?」
「……いくら私の身長が低いからってそれはひどくない?」
その声の方向を辿ってみるとそこにはベッドに上がってくる子がいた。
その子はどこか皇女様と似ている感じがする。
「私はこの子の中にいる竜。貴方が判る様に言ったら私、かしら。」
「もしかして……フリージア様の言っていたもう一つの人格……」
「まぁ、そうゆう事。」
もう一つの人格に会えた事は嬉しいけど身長まで変わると
流石にどうして良いかわからない。
そういえばさっき竜って言ってたな。
どうゆう事なんだろう。
「それはこの子同伴かこの子から聞いた方がいいよ?」
「まだ何も言ってませんけど?」
「あぁ、私なんとなく相手の思考が読めるのよ。」
え……
心読めるの?
「そんな大層な力じゃないしそもそも心を読むなんてありえない。」
「いや……」
「心を確実に読むなんて事はそもそも相手と脳をどうにかして繋げないといけないの。」
「はぁ。」
「そんな事出来ないし何より人の闇が見えるのよ?」
「それはわかりますけど……」
「だから心を読める人は大抵思考が出来る生物には嫌悪を抱いてる事が多いの。」
この人、皇女様よりは頭がいい。
その頭を皇女様に分けてほしいくらいだ。
「……言うけどあの子が竜の力で遊びすぎて
疲れちゃうから代わりに私が勉強してただけだよ?
つまりあの子の頭の悪さは自業自得って事。」
……もしかして僕と思考繋がってます?
「貴方……もしかして顔に出やすいタイプ?」
「出ないタイプだと思うんですけど……」
「私ちょっと怖い、貴方の思考が読めすぎて怖い。」
なんかそれはそれでなんか傷つく。
「冗談よ冗談、
今は貴方の思考を読む事に集中してたから出来ただけで普段は無理。」
冗談なのか?
あんまり関わりたくないな……
「ねぇ貴方。」
「スランでいいですよ。」
「それはまだ早いと思うな、
……貴方、男女の交じり合いに興味ない?」
えぇ!
いやいやいや、何言ってるの!
僕が逃げようとするが筋肉痛の様な痛みで動けない。
その間に女の子は僕の上に乗った。
「それは流石にっ!いけないって!」
「……ふふふっ。」
僕が必死に止めようとしようとした時女の子が笑い始めた。
「貴方、可愛いわね。」
「え?」
「からかうのに丁度いい反応で助かるな。」
そう言って僕の上からどきベッドの下まで降りていった。
「今はゆっくり休んでね、回復したら全てを話すから。」
その言葉を残して女の子は扉から出ていく。
その時僕はあんまり関わりたくないリストにその子を入れたのだった。
次の日
筋肉痛がある程度治り今は紫電に呼ばれたので紫電のいる部屋に向かっている。
なんでも大切な話があるとか。
一体何なんだろう?
僕は部屋の前に着いたのでそこにいた兵士の人に話を通して中に入れてもらえた。
中には紫電と皇女様がいる。
「やっときたね、まずはそこの椅子に座ってくれないかな?」
「では、遠慮なく……」
僕はサッと椅子に座り紫電の話を聞く姿勢になった。
皇女様の方を見ると皇女様がそっぽを向くので顔が合わせにくい。
皇女様の話だとあの竜が覚醒している時は覚えてないっぽいから
昨日の事は覚えてない筈。
僕が不思議に思っていると紫電がとんでもない事を言い出した。
「今日呼んだのは君と妹の結婚の話だが──」
「ちょっと待ってください!」
「?、なんだ?」
「……人違いでは?」
「いや、間違いなく君だ。スラン・レイサ君。」
名指しまでされたら流石に否定出来ない。
でも何で僕が?
「……もしかして君、どうしてこうなったかの理由が分からないのかい?」
「まぁ、心当たりはないですけど……」
「君、よく妹とあんな接触の仕方をして何も無しだと思ってたの?」
ん?……あ。
そういえば皇女様だった……
何で気付かなかったんだろう?
ルナ様の時は結構気を付けていたのに、どうしてだろう。
そういえば他の貴族にはセフィ無しでなるべく近付かないと言った気が……
……何故か背筋が冷えた感じがした、嫌な予感がする。
「確かに妹は皇族らしい振る舞いはいつもしてないが……」
「なっ!兄様それはあんまりではないですか!」
「今更見栄を張らなくてもいいと兄は思うのだが……」
「くっ……」
それには同感する。
今更変えられてももう僕のイメージは変わらない。
「もう少し体ではなく頭に栄養を使ってから──」
「何か言いましたか?」
「ガッ……急に首を絞める考えに至ってる時点で
お前は力任せに頼りすぎだ。」
「ふんっ、兄様なんて知りません!」
……どう反応すればいいのだろうか?
皇女様が違いすぎてどう入ればいいのかがわからない。
「それで、君の答えを聞きたい。」
「……僕一人では決められません。」
「あぁ、聖女関連か。
イレイサは一夫多妻制だった筈だ。
正妻にしろと言ってるわけではない。」
「あぁ、聖女様とはそんなに関係ないです。」
「では、何故決められない。」
「僕、一応シルフィードと契約してるんですね。」
そう言うと紫電は少し驚いた顔をした。
一応大精霊だしね、シルフィって。
「あのシルフィードとか……それは今回の件に関係する理由とゆうわけか。」
「契約内容的にはいいんですけどね、相手側がどう反応するのがわからなくて。」
「……もしかして契約内容はその相手との結婚とゆうわけか。」
「はい、まだ一度も会ってないので何とも言えないんですよ。」
その言葉と同時に紫電が何かを考え始めた。
確かにちょっと面倒な事になってるから考えたくなるのも分かる。
「……ちなみに相手側の種族は分かるか?」
「エルフです。」
「エルフは確か……嫉妬深い、か。」
「そこが一番の不安点でして。」
「わかった、ではこうしよう。」
と言って代案を紫電は出してきた。
簡単に要約するとそのエルフと会うまでは婚約とゆう事らしい。
その間皇女様はイレイサに留学とゆう形で僕に着いて行かせる。
僕には特に反対する要素はない。
ないんだけど……
「でも……最終的には聖女様が決めるんですよ。」
「ここで聖女か……」
「契約書で結婚関係は聖女の許可が必要とするって
書いてあったのでこれ以上は何とも言えないんですね。」
「後で聖女に許可を取りに行くか……
まぁいい、これを言えば確実に許可などとれる。」
これ?
これって何の事だ?
「何、妹が五歳の時に第一皇女を殺した話だ。」
「殺っ……」
「そもそも妹に魔力なんて無かった。」
「でもあの竜は……」
「それが今回の話の大事な所だ。
そもそも僕達皇族は伝承で竜の血が入っていると言われているんだ。
そしてたまたま妹が竜の血が強く体の中にあり
たまたま五歳の時に邪竜がここを襲ってきただけだ。」
KHRBよろしくお願いします。
次回は勿論閑話だよ。
だって一回もこの章でやってないし。




