槍とお願い
最初は悪魔のお話です。
大魔王の森
そこには今、大ダメージを負ったタオが体を休めていた。
「絹川、か。」
こんな所にいていいのかとゆう質問は受け付けていない。
彼ほどの魔力があれば魔物なんて近づけない。
「何度か見てるけど、勇者の覚醒は厄介だなぁ。」
そう言いながら謎の桃色の液体を飲み干す。
すると瞬く間に体が治っていた。
「それにしても、ふふふ。」
彼は何かを思い出し笑いが込み上げてきた様に笑う。
それはまるで嘘を吐き成功した時の様な顔だ。
「あれ、ブラフなのに。」
あれ、とはおそらく怠惰なる世界の事だろう。
「あれはただ動けなくなるだけなのに、残念。」
「……あれ、タオ?」
彼は物凄い速さで剣を振った。
しかしそれは彼女の杖で止められる。
「なんだ、シキザか。」
「……なにそれ、感じ悪ッ。」
彼女の名前はシキザ、色欲の悪魔である。
桃色の髪が特徴的な悪魔。
彼女は彼の飲んだ桃色の液体を作った張本人だ。
「それで、何?」
「あんたが私の薬使ったから来たんだけど……負けたの?」
「悪い?」
そう言うと彼女は突然笑い出した。
そして笑いが収まった後
「あんた負けたの?面白ッ。」
「勇者にね、覚醒でグサッと。」
「でも生まれたての勇者なんて相手にならないでしょ?」
「もう一人が僕を拘束してる間に、そいつごと切ったんだよ。」
その言葉に彼女は反応した。
「……そいつって勇者?」
「いいや、多分この世界で生まれた感じがした。」
「邪魔になりそう?」
「まぁ、多少は。」
彼女は少し考えた後彼に黒い液体の入った瓶を三つ彼に投げつけた。
「はい、ここの第二皇女暴走用の薬。」
「三つ、多くない?」
「それは普通の人間にはただの猛毒だからね。」
「殺せ、と。」
そう言った後彼女はそこで一回転し
「このままじゃ私があんたより強くなっちゃうかもね!」
そう言って去っていった。
「さて、僕も準備しよ。」
彼は座っていた場所に一粒の種を植えて消えた。
果たしてこれは何なのだろうか。
「スラン、ちょっとだけ手伝って欲しいのですけれど……」
「何?」
「実はこうゆう物があるんですけれど……」
そう言って見せてきたのは一枚の紙だった。
そこには大きく狩猟体験と書いてある。
よく見ると学園の紋章があった。
日にちは一ヶ月後と書いてある。
しかしこれだけ見ても何もわからない。
「えぇっと、それで?」
「実はここに出る講師の方が大怪我をしてしまって……」
成る程、代わりが欲しいんだな。
だから僕に依頼したと。
「この国の他の狩り専門の人は受けてくれなかったそうです。」
「……で、三年前までやってた僕に訪ねて見みたと。」
「はい、先生方もお困りの様子でしたので。」
どうしようか、内容にもよるんだよな。
森の中の体験が無いなら平気なんだけど。
「あ、こんな事書いてありますけど森の中までは入りません。」
「……いいよ。」
「本当ですか、ありがとうございます!」
そう言って部屋を出て行ってしまった。
……森の中での狩りは危険だ。
普段あんまり強くないゴブリンでさえ格段に強い。
ある程度慣れた人でも死ぬのに経験のない人に行かせられない。
責任を持って生き残らせるとゆう事が出来ないのだ。
少し考え込んでいたらセフィが戻ってきた。
「スラン、後もう一つお願いがあるんですけど……」
「もう一つ?」
「フリージア皇女殿下を誘って来てくれませんか?」
皇女様を?
「いいけど……何で?」
「この体験って四人一組なんですよ。」
「つまり数合わせですか?」
「それもないわけではないですけど一番の目標は仲良くなる事です。」
仲良くなるか、成る程。
確かに立場的に何回か会うだろうし……
あれ?
「……それは第一皇子とか第一皇女にする事じゃない?」
「あ……いいんです!私が個人的に興味があるだけなので!」
取り敢えず明日行くしその時に言うか。
セフィの頼みだし、何より他の有象無象より皇女様は信用できる。
とゆう事で
「どうですか?」
「いや、いいけど……」
「ありがとうございます、後で聖女様に伝えておきますね。」
皇女様は即返事をくれた。
これは助かる。
「お前の技術とか見られるのか?」
「そこまで本気でやるつもりはないですけど……」
「そうか、分かった。」
森の中には入らないしね。
そこまで気合い入れる必要はない。
「この後先生方と打ち合わせがあるんで
食べ終わったらいつも通りにしてくださいね。」
「分かってるって。」
皇女様と別れた後、職員室に向かう。
中に入って目的の場所に着き扉を開ける。
中には男性しかいなく女性の先生はいなさそうだ。
それから軽く打ち合わせをした。
まずは森に入るのは禁止する事についてだ。
勿論入れないが万が一入ろうとする人がいないように
注意喚起する事がある決まった。
勇者を死なせてばかりだし死には結構敏感にならないといけない。
何故なら勇者の死に関してとっても手続きが面倒くさい物だった。
あんな事二度とやりたくないのでセフィを見ながら監視するつもりだ。
後は当日の日程などの軽い打ち合わせがあった。
が、一つ気になる事が聞こえたのだ。
最近ここら辺に出現する魔物が増えているらしい。
しかも森の中にはほとんど魔物がいないそうだ。
調査はしたが何もなくて手詰まり中らしい。
何か面倒な事になってない事を祈ろう。
そして何事もなく一月が過ぎ狩猟体験当日がやってきた。
KHRBよろしくお願いします。




