槍と悪魔
悪魔が強い‼︎
「ふふふ、そんなに怯えないでよ。」
やばいと思いセフィの方へ少しづつ寄っていく。
何者かは知らないが誰も気付かずに後ろを取ったやつだ。
最低でも僕以上の実力はあると思ってもいいだろう。
「誰だ貴様‼︎」
バンデスーラさんが剣先を向けて言い放つ。
男は少し首を傾げたが話し出す。
「僕?僕はね、」
その瞬間、男が消えた。
それと同時に近くから嫌な音が聞こえた。
そちらを見たら
「タオ。怠惰の悪魔、だよ。」
そう宣言した。
それを証明するかのごとくバンデスーラさんの腹を手で貫いている。
だがそんな事でいちいち反応している場合ではない。
目の前の男の言う通り悪魔だったらここにいる全員は死ぬ。
悪魔なんて一番弱くてもランク13もある化け物の種族だ。
しかも今男は自分の事を怠惰の悪魔と言っていた。
怠惰は七つの大罪とゆう悪魔の中でも最高位の称号。
どんなに低くてもランク15がいい所だな。
そう思っていると悪魔がチラッとこちらを見た。
セフィが危ない‼︎
だがその時にはもう攻撃を始めていた。
だが今回は金属がぶつかるがする。
「防ぐんだ、面白いね。」
「……」
ルナミスが守ってくれた様だ。
すぐに僕は追撃を始めた。
「槍技:反転‼︎」
当然の様に避けられてしまう。
だがそれは予想済みだ。
「ウインドディレクション:フィールド‼︎」
この新魔法はフィールドを展開している空間内なら魔力の続く限り
いつでもウインドディレクション:チェンジが使える。
フィールドの指定範囲はこの部屋全体。
なのでずっと追尾が出来る。
なるべく逃げる所を少なくする為にウインドディレクションを使い続けた。
だが相手はそれに気付いた様で中々捕まってくれない。
……そろそろ戻さないとな。
伸ばしすぎると槍と槍が絡まって戻すのにとても時間がかかる。
槍を一瞬で戻し悪魔の位置を再確認した。
「危ない、ねぇ。そろそろ、時間。」
そう言って悪魔が体に力を入れ始める。
すると鳥の様な羽が生え手足が鷹の様になった。
悪魔は何もない所から剣を出して一言
「燃えろ、ポイニクス。」
その瞬間、剣からあり得ない程の火が生成された。
身体中から汗が吹き出る様な感覚に陥る。
咄嗟に槍でセフィ達を囲い冷風魔法も発動した。
勇者達や騎士達は伸ばしても間に合わないと思い入れてない。
「まずは、後衛。」
そんな声が聞こえた瞬間、物凄い衝撃が槍から伝わった。
槍が壊れそうなくらいの衝撃が僕達に襲いかかる。
「スラン‼︎勇者達は‼︎」
「無理だって‼︎あの速さじゃ全員囲んでる間に殺されるよ‼︎」
「でっでも!」
「僕はセフィを守るのが優先なの!セフィが守れなかったら切るよ!」
セフィは黙ってしまうがそれでいい。
僕もやりたくて勇者を見殺しにはしないさ。
……取り敢えず転移石だけ準備しておくか。
二年程前に余った転移石を手に持つ。
暫くして攻撃がやんだので槍を元に戻した。
悪魔はさっきのが大技だったのか少し疲れているみたいだ。
勇者と騎士に関しては勇者は何人か死んでいる。
騎士達が全滅してるのでやはり勇者なんだなと思った。
「……後五人、かな?」
後五人?
殺害ノルマでもあるのか?
うーん……シルフィを使うか?
ただあの悪魔と互角に戦える自信がない。
勇者を置いてくわけにはいかないし、かといって声に出して伝えられないしな。
もしそれで悪魔に転移妨害をする技とかがあった場合セフィを守り抜けない。
取り敢えず、使うタイミングは見極めるか……
「……あ‼︎」
「どうした天野?」
「転移石使えば逃げられるんじゃない‼︎」
……
あぁ……
そうか……
しょうがない、見捨てるか。
強制的に召喚した事は申し訳ないがここはセフィ第一で動かないとな。
転移石発動━━
「怠惰なる世界、発動。」
したかったなぁ……
絶対転移出来ないじゃん。
しょうがないなぁ……
「シルフィ?」
《はいはーい‼︎なーにー⁉︎》
「精霊憑依。」
《はーい‼︎》
そう言ってすんなりと憑依してくれたシルフィ。
……頑張るか。
「槍技:鎧。」
流石に当たったらバンデスーラさんの様になるので槍を体にまとわり付けた。
動きは若干鈍くなるだろうが一撃で殺されたら意味がないからね。
《……あれ?》
「どうした?」
《もしかしてだけど……あれって悪魔?》
「そうだけど?」
《うぅ……帰っていい?》
「いや、ダメ。」
帰られたら全滅は確実だ。
少しでも希望を持ちたいし。
《本体なら余裕なんだけどこの姿じゃ負けるかもよ?》
「分かってるって、行くぞ!」
《はーい……》
ウインドスピードを使って倒しに行く。
……やっぱり遅いな、使用する時はちゃんと考えないと負けるかもしれない。
槍で攻撃するも簡単に防がれてしまった。
しかしこれは許容範囲内だ、一撃でも当てれば何か変わるだろう。
「ふふふ、強いね。」
「……」
「でも、そろそろかな?」
そう言った瞬間、ふと体に異変を感じた。
さっきより自分の体の動きが鈍い。
体内の魔力も少し不安定になっている気がする。
「バイバイ、強い人。」
その瞬間強い衝撃が身体中を駆け回った。
気が付くと部屋の一番端に体をぶつけて横たわっている。
「……きっつ。」
「あれ、生きてた。」
だが悪魔はこちらに目を向けずに勇者の方を見た。
「あ、まだ後衛いる。」
その言葉と同時に最後尾にいた二人が殺される。
「阿蓮‼︎」
「百合ちゃん‼︎」
……やば。
意識が……
「はっ‼︎」
セフィは‼︎
《大丈夫だよ、数十秒しか意識失ってないし。》
よかった……
チラッと悪魔がいたと思う方を見るとさらに一人死んでいる。
そして今、悪魔は一人の胸を貫いた瞬間だった。
「姉さん‼︎」
「あ……」
「ふふふ、後一人。
それで後は、他に任せる。」
他に任せるとゆう事は仲間が何人かいるのだろう。
これは……全滅もありえるな。
その時僕はある一人の剣が光っているのを見た。
そいつは気が付いてなさそうだがしょうがない。
賭けるか、その勇者に。
残りの勇者 33→24
KHRBよろしくお願いします。
さて、その勇者とは?




