プロローグ②
だが俺たちはS級冒険者パーティ「キングダム」である。
幾度となく修羅場を潜り抜け、国…否、大陸全土に名声を轟かす最強パーティなのだ。
そんな俺たちだからこそ最果ての奥地にまで来られたのだ。
「おい みろ 遂にたどり着いたぞ」
「あぁ…そぉ…みたいだな…」
「ようやく着いたわね」
「やっとですぅ」
最深部にたどり着いた俺たちの目の前には、ドラゴンが5体は入りそうなとてつもない空洞が広がっていた。
その中心部には黄金に輝く龍を象ったオリハルコンが鎮座していた。
思わず息を飲んだ。
圧倒的な存在感に誰も声を発することが出来ずにただ見つめるしか出来なかったのだ。
数秒…数分…幾分の時が流れたかわからないが、ようやくその一歩を踏み出すことができた。
一歩一歩慎重に…ゆっくりと…確実に進んで行く。
道幅はどんどん狭まり足一本分の幅となる。
何とか渡り切った俺は安堵したのも束の間、胸に剣先が突き刺さっていることに気がついた。
「ククク さらばだ 愚鈍な勇者よ。あれはこの○○王子が頂く。残念だったな。この世は俺様の物だ。クククク はぁあはっはっはっはっはっはっ」
俺はただただ裏切り者の笑い声を聞きながら奈落の底に落ちていくのだった。