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Summer Snow  作者: 神崎 玻瑠音
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8.白暁

血とか、グロいのとか、吐くとか苦手な人は、自己責任で。


ジュリくんです。

どんなに頑張っても、僕の中、何かが邪魔をする。

おまけに、まだ、ゾワゾワ、ザワザワが消え切らないし。


息を止めて、膝を抱えたまま、身体を前後に揺する。


1回、2回、3回。


4回、5回、6回。


「ふーっ」


大袈裟に息を吐いた。


ソファーの上、抱えてた膝を放り出して、思い切り大の字になって背もたれに身体を投げ出した。


僕の目に見えるのは、天井の細工。


花を咥えて、空を舞ってる小鳥。

繊細でリアル。なのに無機質な目


何で、天井なんかに、小鳥さん彫るかなー…。


なんとなく、見ていたくなくて、視線だけ落とした。


見たくなけりゃ、見なきゃいい。


「…。」


落とした視線が、ギリギリ、コーヒーテーブルの上の何かがある。薔薇石色の何か。

顔を下げて、期待通りのものだと分かって、勝手に頬が緩む。


飛び跳ねる勢いで、座り直した。


「ルカ、…?」


リビングを見渡しても、ルカがいない。


コーヒーテーブルの上、僕の大好きなミックスベリーのペットボトル。

持った感じだと、30分ちょっと前って感じ。


ペットボトルのキャップを開けながら、ルカの気配を探す。

家の中にはいるみたい。


ラズベリーに、ブラックベリー。

紫さくらんぼに、ストロベリー。

風味程度に入ったレモン。


香りだけで、舌の下が唾液で一杯になる。


ありがとね。ルカ。

大好き。


心の中で呟いた。

次の瞬間、けたたましくベルが鳴る。


静寂に慣れていた耳に、激痛。

耳の激痛に、身体が震える。


耳…。

痛い…。耳…。


電話…。


耳…。耳…。


痛…いぃ…っ…。


な、んで…?


いつもの、数倍、キテる。


両手で耳塞いでも駄目で、パーカーのフード被った上から耳塞いでみた。

けど、それでも、脳髄直接ハンマーで叩かれるようで。


ソファーの端っこにあった、クッションを頭に被った。


「る…っ…、る…るぅ…ルカッ!!」


だめだ、口開けたら吐く。


ベル、電話出ないと止まらない。


「ジュリ電話くらい出ろよ…な…。ジュリ?」


鳴りっぱなしの電話に、ルカが来た。

被ってるクッションをずらして、ルカを見た。


「出…て…っ」


吐き気を押し殺して、言った。


「リザ?」


ルカが出て、当然だけどベルが止む。

吐き気が限界で、バスルームに駆け込んだ。


…間に合った。


吐きたいだけ、吐いたら、頭がチカチカしてる。

口の中が気持ち悪くて、シンクで口を濯いだ。


何回、口濯いでも、口の中が気持ち悪い。


何、この匂い…味…?


「っ…」


スツールに逆戻りして、吐き気に身を任せる。

吐けば吐くほど、吐き気が押し上がってくる。


息する間もない。


「ジュリっ」


吐いたモノや、唾液や、涙と汗が気持ち悪い。


「る…か…ぁっ…、く…るしっ…」


逆流の為の、収縮や痙攣を繰り返す臓器たち。

目の裏が真紅を見せる。


「ジュリっ!…リザ、リザっ、ジュリがっ…」


ルカの声、痛い。

痛い時の声だ。


ルカ、ごめん。

ごめん。


ごめんね?


僕のせいだね。









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