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3.黒血
ちょっと短いです。
ルカくん。
怖い。
ジュリが怖い。
そう思った瞬間、洪水のように流れ込んで来てた、ジュリの色々が全て止まった。
急に身体が軽くなる。
死に血の匂いさえ。
「…っ」
ジュリの身体の個々が放っていた光が、無音で破裂を重ね始める。
小さな破裂が、大きくなっていく。
動けない。
軽くなったはずの死に血の匂い。
それでも、足が竦んで、息がきしむ。
やめてよ。
ねえ、何してるの?
ジュリ?
それは、もう、腐肉の塊になり始めてる。
やめてくれよ。
ジュリ。
拳を握りしめ、拳の中、ギリギリと爪を喰い込ませて。
震える声も身体も隠す。
「ソレ、どうするつもり?」
聞こえてないかもしれない。
目に見える反応がない。
何に襲われたのか知らない、可哀相なシカバネ。
そんなの、これまで何回も見て来たじゃん。
「もう、こと切れちゃってる。分かってるでしょ?」
ジュリ?
何やってるの?
ジュリの光が弾けて、混ざりあっていく。
ねえ、ジュリ、何やってるの?