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Summer Snow  作者: 神崎 玻瑠音
33/35

32.透幻

随分空いた上に、場面ガラッと変わります。

走って、走って。


走って。


追いかけてるのか。

追われてるのか。


どっちか分からないくらいに、走って。


長い髪が、視界も呼吸も奪って。

もつれる脚とスカートの裾。


それでも。

走った。


走って、走って、走って。


足首が。

脚が。

膝が。


息が。


もう・・・、だめ。


走って!

心で叫ぶ。

自分に。


何度も。


何度も、何度も。


ぐにゃりと揺れる、世界。

がしゃんと脚が、動かなくなる。


カラダが。

何かに、すくいあげられた。


「夢、だよ?」


声に顔をあげると。


紫の瞳。

白のような、金のような、まつ毛。

やわらかそうな、髪。


「・・・」


脚も。

息も。


胸も。

頭も。


全部・・・。


軽い。


「息、吸って、1、2、3」


紫の瞳の持ち主の声。

その声に合わせて、動くカラダ。


「吐いて、1、2、3」


声が気持ちいい。


「吸って、1、2、3」


柔らかく、染み込んでくる。


「・・・恐かったね」


ふわりと包まれた。


「っ・・・」


何かが、あふれる。

中も、外も。


深い、深い、奥底も。


「・・・ダイジョウブだよ?」


痛いほどに、柔らかい声。


「いっぱい、泣いていいからね?」


声に、何度もうなづいて。

しがみついた。





六花ちゃん視点でした。


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