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Summer Snow  作者: 神崎 玻瑠音
31/35

30.消炭

R15。ルカくん視点。

時間軸グルグル回転中。


淡々と壮絶で、薄く性的。そして粛々とグロくて重いです。

ジュリの瞳が、陰り切って。

ボロ人形のように、ジュリの寝台に捨て置くようにされた、霧深い早朝。


『…じゅ、…ジュリ』


母さんがジュリを名前で呼んだのを、初めて聞いた。


何処を見るでもなく、ただぼんやり開いてるだけのジュリの目。


たどたどしい言葉のかわりに、表情豊かでキラキラしてた、ジュリの大きな瞳は、曇ったガラス玉になってた。


『ジュリっ、ジュリ』


聞いたこともない、悲鳴のような母さんの声が響いてた。


痩けた頬。パサついた髪。

色を失くした頬に唇。


母さんは、その指で手で、何度も何度もジュリに触れて。

何度もジュリの名を紡いだ。


オレはただ、そんな母さんとジュリを、ぼんやり見つめていた。


なんとなく。

ジュリは家に帰って来れたんだと、思った。

もう、あの教会に連れて行かれることはないって。


でも、その次の瞬間。

母さんは、連れて行かれた。


母さんの音にならない泣き声。気持ちの悪い男たちの声。

嫌なニオイと香油のニオイ。


そして母さんの血のニオイ。


そんな空気が充満していた、何日目かの夜。


母さんはこと切れた。


ジュリとよく似た顔だけは、やけに綺麗だった。

鼻をつんざくようなニオイの中で。


…間違ってたって、最悪な気づき方をしたんだ。

母さんは、ジュリのこと、ちゃんと愛してたって。


乱れ千切れた衣服から見えた、無数の擦り切れ破れた皮膚。

そして、それをわざわざ見せつけるように、男たちに見せられた意味。


悟った時には、気を失わされていた。






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