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Summer Snow  作者: 神崎 玻瑠音
30/35

29.紫紺

R15です。ルカくん視点。


現在軸と過去が入り乱れています。

重くて、少し性的です。露骨な表現はないと思うのですが。

リザからのメールで、ジュリが部屋に向かったらしいと知ったオレは、文面には存在しないアイツの言葉も読み取った。


だからオレは、隣室に移った。


静かな寝息が、オレの視界を誘う。


羽根布団に流れる黒髪。

ジュリの噛み痕。


何処から来たのか?

何で、あんな所に居たのか?

そして、ジュリは何故、コイツに呼応したのか?


オレがサイアした日すら、覚醒しなかったジュリ。

サイア後一度も吸血することなかった。


何で、突然、覚醒したんだ?

数百年、ずっとないままだったのに。


それに、あの覚醒状態。

あんなの普通じゃない。


あの光は何だったんだ?


吸血痕とともに刻み付けられたような鬱血痕。

ジュリの刻み込んだ、執着のような痕跡。


嫌な冷えが、オレの胸元に影を落とすように拡がっていく。


口腔内に広がる鉄の味に、唇を噛み締めていることに気づく。


抑えられ少し甲高い下卑た女の笑い声。

むせ返る百合の強い香り。


今、ここに存在しない、声とニオイ。


顔を包む細い指の感触が、二手に分かれて、頬から耳、耳から首、首筋へと、産毛を逆立ててイカレル感触。


鼻腔に絡みつくような、ニオイの香油に濡れた髪。

一筋、二筋、それが落ちて肌にわずかに貼り付く感触。


無理矢理再生されていく。


首筋を撫でてた少し爪の当たる指が、爪を引きずりながら鎖骨に辿り着く。


頭だけ冷静だった。


その日。

オレは、母親のカエになった。















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