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Summer Snow  作者: 神崎 玻瑠音
29/35

28.蒼月

ジュリくん。

ちょっと短め。

雨が降れば 風となり

その頬に 触れましょう


温もりを運び

包みましょう


星がかげる 夜闇には

その涙 隠しましょう


千年の時も

重ねましょう


愛紡ぐ歌 聞こえなくても

歌い続けるから


忘れないでいて 隔てられていても

歌い続けるから


重い闇も 青空も

その果てで 歌うから


その瞳閉じて

思い出して


愛紡ぐ歌 聞こえなくても

歌い続けるから


忘れないでいて 隔てられていても

歌い続けるから


雨が降れば 風となり

重い闇も 青空も

その果てで 歌うから


温もり運び

包みましょう


『すっかり覚えたのね』


という、母上の声。


『なっ…、母上、いつから居たの?』


母上が、よく口ずさむ歌。

母上が作った、歌。


『ジュリは、お歌が本当に上手ね』


胸がくすぐったい。

母上の微笑み。柔らかくて大好き。…大好きだった。


歌なんて、嫌いだった。

大嫌いだった。大好きだったけど、大嫌いだった。


『母上は、この歌、いつ作ったの?』


すごく、すごく綺麗な音の繋がり。

なのに、淋しくて、悲しくて、そして温かい。


『…出来上がったのは、ここに来てから。小さいころから、少しずつ出来て…』


大嫌いになってた、歌うこと。

母上のこの歌で、大好きに戻れた。


「雨が降れば 風となり その頬に 触れましょう」


目を閉じて、口ずさめば。

母上の歌声が混ざるようで。


「温もりを運び 包みましょう」


喉が、掠れてる。


「星がかげる 夜闇には その涙 隠しましょう」


母上…。


「千年の時も 重ねましょう」


僕は、…。


「愛紡ぐ歌 聞こえなくても 歌い続けるから」


歌う声が、月見小屋シェッドの中響いてく。


「忘れないでいて 隔てられていても 歌い続けるから」


口ずさんだまま、僕は立ち上がった。


部屋に、戻ろう…














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