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Summer Snow  作者: 神崎 玻瑠音
28/35

27.石榴

第三者視点

女王管轄下のジュリのいない、ジュリの部屋。

ルカはそこで、ベッドに腰を預け、ドアを見つめていた。


ルカの手元には、携帯。

落ち着かない様子で、携帯を指の間で回転させながら、ルカは脚を交差させ、先程よりベッドに身体を預ける。


『一人にして上げて』


リザからのメッセージ。


『新規メッセージはありません』


ラボのアプリメッセージ。


何度目か判らない、携帯チェック。

依然、リザとの会話もラボのアプリも、通知画面はずっと同じ。


ルカは交差させていた脚を戻し、そのまま背中をベッドに投げ出した。

天井を睨みつけ、イライラも露わな溜息を吐き捨てる。


そして、また、ルカは携帯のチェックを始める。


『一人にして上げて』

『新規メッセージはありません』


その2文だけが、液晶に光っている。

時刻の文字も、先程から二分すら経っていない。


ルカは細く長く息を吸い込んで、目を閉じ息を止める。

腕をベッドに広げて投げ出し、吸い込んだ時よりも細く長く、息を吐き出した。


再び、ルカは目を開けて、細く長い息を吸い、限界で息を止め、目を閉じて、ゆっくり長く細く息を吐ききる。それを何度か繰り返し、ルカは目を開けて、天井を無表情で眺める。


投げ出していた携帯を持つ手の手首を立てて、またルカは携帯を見る


『一人にして上げて』

『新規メッセージはありません』


ルカは、苛立ちを勢いに変えて、身体を起こした。


携帯のパスコードを素早く叩くルカの指。

ホーム画面が立ち上がった瞬間。


携帯が真紅の通知ランプと同時に振動する。

不意を突かれたルカは、危うく携帯を取り落しかけた。


ルカは瞬間で通知をタップした。


『Stay!』


画面に光る、リザの一言。

愛犬家のリザの、犬へのコマンドそのもの。


「なっ…」


行動を防犯カメラででも見ていたかのようなタイミングに、メッセージに、ルカが引きつった声をこぼす。


続いて、さらにメッセージが届く。


『一人にして上げて』


最初と同じメッセージ。

リザの表情や声となって、ルカの頭の中で再生される。


その表情、その声に、ルカはつけない悪態を溜息に変えた。


『一人にして上げて』


もう一度、画面上のメッセージを見て、ルカは頬の内側を噛んだ。


「…簡単に言うなよ」


呟いてしまってから、ルカは携帯をベッドに沈める。

そしてルカは、現実から自分を隔離するように目を閉じた。




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