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Summer Snow  作者: 神崎 玻瑠音
27/35

26.黒橡

ジュリくん。

短いです。

ちょっと重たいので、自己責任で。

時間の流れから、外れてるような月見小屋シェッド

目を覆ってる腕を外せば、柔らかな瞳が待ってるような。


時折、吹く風に紛れる、多分今年最後の花の香り。


繋がりがチグハグな記憶は、初めてじゃない。

訳がわからない罪悪感も、初めてじゃない。


でも…。


こんなに、何もかもが、痛い。

身体の外側も内側も、無数の太い針が深く、突き刺さってるみたいに。


『天使様、この様な物はいりません』


取り上げられて、目の前で破られた絵本。


『天使様、お声は必要ありません』


突然閉ざされた小窓。

見えなくなる、泣きじゃくってた人々。


どうして今、こんな昔のこと、まだ、出て来るの?

はるか、はるか遠い、昔のこと。


1回、2回、3回…。

ゆっくり深呼吸して。


1回、2回、3回。

深く、深く、深く。


でも、痛くて、痛くて。


涙が止まっても。

深いとこで、脈打つ度に血が溢れ続けるみたいで。


高すぎる天井は、日も灯りも届かない場所が沢山あって。

寝台と、食事のための小さなテーブル。

その丸い小さなテーブルの上には、銀の燭台が一つ


ここではない、あの部屋。


声を出しても、天井にただ、吸い込まれるだけだった。


遠すぎる小さな窓、高すぎる天井。

広すぎる部屋。何もない部屋。


声を出せば出すほど、声が出てるのかすら分からなくなった。


顔を覆ってた腕を外せば、そこには月見小屋シェッドの天井。息がこぼれる。


優しい指が、前髪に、頬に、触れた気がする。

柔らかい微笑わらい声が、フワリと舞った気がした。



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