大地に立つ
誤字、脱字等有りましたら教えてください。お願いします。
「…………ん?」
気がつくと俺は地面に仰向けで倒れていた。
辺りを見渡して見ると広葉樹林が広がり、所々、地面はには草が生い茂り、土が見え隠れしている。
「無事に異世界に来れたみたいだな」
そう言って立ち上がり、自分の身なりを確認した。
「おお!これはありがたい、勝負服はこれで無いとな!」
まずは自分の服装。
服装はいつも、世界中の猛者たちとの闘いの時に着ていた白い空手着。
帯は黒帯で、刺繍で『天地無双』と書かれている。
手には切り傷から手を守る白いテープが巻かれていた。
次は身体。
身体は神が言った通り、20歳〜30歳頃の体に若返っていた。
腕は丸太のように太く、胴体は鍛え抜かれた筋肉で固められている。
「この身体中に力がみなぎる感じ、懐かしいな……よし!確かめてみるか…」
身体を一通り見回し動かした後、近くの木に触れた。
丈夫なのを確認すると、その前で四股立ち(足を開き体を低くした体勢)なり、手を握り締め、腕を地面と平行に構え……
「ふぅーー……破あぁッ!!」
精神を一点に集中させ、全力で木に正拳突きを打ち出した。
「ズドォォッーーーーーーーーーーンッ!!!」
木は大きく揺れ、打ち込んだ場所は幹が大きく削れた。
打ち込んだと同時に発生した衝撃波は、静かな森の中に響き渡り、鳥や動物達、モンスターを驚かせた。
「ふむっ!なかなかッ!!」
正拳突きをした手応えに俺はその身体に衰えは無いと確信した。
「身体は大丈夫そうだな……それにしても、ここは何処だ?これだけ音が響くということは相当広い森の中のようだが……」
体勢を立て直し、辺りを見回していると…
<ここはユラ大陸のゼラギオン王国より30キロ東にある「深入りの森」です>
「ん?誰だッ!?」
突如、何処からか聞こえてきた女性の声に俺は再び身構えた。
だが周りには人はおらず、気配もない。
<申し遅れました、神の命令により伊達 勇次郎様のサポートを務めさせて頂く私、神の使いの一人、名を那美と申します、>
「あ、あぁ、よろしく、、」
俺は構えを崩し、突然の自己紹介によろよろと返事を返した。
なるほど、あの神の神使か……
「確か…那美と言ったか?、さっき居場所を教えてくれたがもう少し、この世界と、現在地について説明してくれないか?」
<那美です、間違えないでください。>
「すまん……」
少し怒られてしまった……
<ちなみに、この声はマスターの脳に直接話しかけていて、マスターの考えは読み取れるので言葉を発する必要はありませんが、話しても別に問題はありません>
「そ、そうか……」
時と場で使い分けなければな…
<確かにそうですね……では、最初に先ほどのマスターの問いにお答えします>
「分かった、よろしく頼む」
そう言って那美はこの世界のことについて今必要な事だけを淡々と説明してくれた。
那美の説明で分かったことは、
この世界は、ユラ大陸、エンパイヤ大陸、ゾエツ大陸と言う三つの大陸で成り立っている。
エンパイヤ大陸は大陸の殆どをゴツゴツとした岩山で占め、四季があり、鍛治の国「シナノ大国」が大陸の全てを治めている。
日本文化と中国文化をあわせて割った文化と技術を持っているとのことらしい。
多分、俺と同じ奴がこちらにも来ているな…
次にゾエツ大陸は、大陸を分断するように高い山がそびえ立っており、半分半分で雪国、砂漠と気候が変わっている。
雪国の方は寒さと吹雪により人を寄せ付けない陸の孤国「コラムスダル国」、砂漠の方は情熱と祭りの国「サンカーバル国」がそれぞれを治めている。
そして今、俺がいる大陸、ユラ大陸は春が長い四季があり、衣食住がとても豊かで暮らしやすく、この大陸の半分は王都「ゼラギオン王国」が治めているらしい。
こちらは、現世の中世ヨーロッパ時代の文化と技術が主体となっているらしい。
もう半分は「迷いの森」という、限られた者しか中に出入りが許されない森が広がっており、その中心には「世界樹」と言われる巨大な木がそびえ立っている。
そこにはエルフという長耳の種族が住んでおり、森全体を管理、治めているとのこと。
<ここは深入りの森と言い、奥に入れば入るほど、強いモンスターが襲いかかってくる場所です、エンパイヤ大陸のモンスター程ではありませんが……マスターがいる場所は迷いの森の入り口より少し奥に入った場所になります>
少々説明が多かったがこんな所か。
「なるほどな…」
<今必要な情報は以上です、必要な情報はその都度、ご説明いたします>
強いモンスターか……早く手合わせしてみたいものだな。
「わかりやすい説明、どうもありがとう」
<いいえ、これが仕事なので……あっ、それと…>
「まだ何かあるのか?」
<はい、ステータスとスキルについて説明したいと思います>
「すてぇたすとすきるぅ?」
分からん言葉が出てきたな、それにしてもまた説明か……少し頭がこんがらがるぞ。
<必須事項ですので、悪しからず…>
嫌々ながらも俺は地面に胡座で座り込み、その説明に耳を傾けた。
<ではステータスの方から…>
そう言って那美は説明をし始めた。
那美の説明を聞きながら、木々の間から突き抜けてくる風を、心地よく感じながら、こうして俺の異世界での生活は、緩やかに始まっていったのだった……
今後もボチボチと投稿していきたいと思います。