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epilogue:極めし者

初の投稿です。

ぼちぼち更新していきたいと思っています。


日本某所、とある豪勢な日本家屋の一室で一人の男が老いで命を落とそうとしていた。

側には一人の女性が静かに命尽きるのを見守っていた。



その男の名は伊達(だて) 勇次郎(ゆうじろう)



その名はその業界じゃ知らない者はいない、伝説を作った男の名。



伊達 勇次郎は格闘を生業(なりわい)とする者であった。




彼の人生は波乱万丈であった。




彼の両親は格闘家で、彼も両親の様な立派な格闘家になろうと(こころざし)ていた。



だが彼が小学校入る前、彼に悲劇が起きた。



彼の両親が交通事故で帰らぬ人となったのだ。



親戚の家に引き取られ、目標を失い、途方にくれた彼であったがその悲しみに打ち殺し、朝から晩まで鍛練をを繰り返し、滝に打たれながら精神を刀の如く研ぎ澄ます修行を続け、己を鍛え上げてきた。



青年になった勇次郎は空手を基礎とした様々な格闘技の技を取り入れた独自の闘い方を作り上げ、喧嘩や武道の大会でも負け無しの強さを誇った。




大人になると日本中と渡り歩き、空手や柔道、合気道など、武道とつくもの全てのその道の猛者達と手合わせをし、時には負け、時には挫折したこともあった。



だか、彼は強かった。負けた悔しさを糧に戦い続け、負けた相手には2度負ける事はなく、次に会った時には必ずその者には勝利をしていた。



彼が気付いた時には日本には彼を超える者は居なくなっていた。




伊達 勇次郎は自分の限界を知りたいと日本を飛び出し、海外へと渡った。



最初は中国、次はアメリカ、ロシアやイタリアと世界各地を飛び回り、カンフー、ムエタイ、ボクシング、モンゴル相撲、レスリング、ストリートファイトなど(おのれ)より体格も力も上の猛者(もさ)達を次々と破って行く。



ときにはナイフや銃など使う格闘家も現れたが彼はそんな物御構い無しに次々と相手をし、遂には彼を超える者も居なくなり地球上で最も強い武闘家(ファイター)になっていった。




世界一になり、故郷である日本帰った彼はまだ自分は強くなれると感じ、日々血をにじむような修行を行っていた。




そんな日常を繰り返していた彼に裏社会から真の世界一を決める大会の招待状が届いた。



彼は招待状を受け取ると、すぐさま大会に参加する為、大会が行われる場所に向かった。

そこには、昔闘った猛者達や見たことのない強者が大勢集まっていて、自分が一番だと主張するが如く1対1で凌ぎ(しのぎ)を削っていた。



時には命を落とすものも少なくは無かった。



そして彼はその勇姿(すがた)に感化され、(おのれ)の力遺憾無く発揮し、危ない場面もあったが見事優勝を勝ち取ったのだった。




伊達 勇次郎、この時27歳という若さでの快挙である。





それから再び日本に戻ってきた彼は美しく清楚な女性「京子」と結婚し、子供も生まれ、幸せな生活を続けていった。



そんな生活を続けていても伊達勇次郎は己の鍛練をやめようとはしなかった。



己の限界はまだ遠いと…そう語りながら。



60歳を越えようとその力は衰えず、己の意思を継承すべく道場を開き、弟子の数は千を超えたという。



だがそんな彼でも寿命には勝てず、今、大きく咲き乱れていた命の花を散らそうとしていた。



「京…子、俺は…立派で…あった…か?」



勇次郎はその僅かしか無い力を振り絞り、自分を見守る妻にそう問いかけた。



「……はい、とても…立派でした」



妻である京子は泣きそうな震える声でその問いに答えた。



「そう……か…………」



彼はその答えに満足するとまぶたを静かに閉じ、眠るように天国へと旅立った。







伊達 勇次郎 享年87歳






又の名を「極めし者(キング)






伝説を作り上げた(おとこ)のとても立派な死に様であった。





















そして伊達(だて) 勇次郎(ゆうじろう)の格闘家としての新たな挑戦(人生)の幕開けでもあった。





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