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悪役令嬢の悲恋  作者: あ
4/8

悪役令嬢の葛藤

午前の授業をつつがなく終え、昼休み。


私はまた、シューラニオスと中庭にいた。


「で、なんで僕は君とここにいるの?」


シューラニオスはうんざりした様子で私を見やる。


「取り引きをしませんこと?」


私は一縷の望みをかけてシューラニオスに向き合う。


「聞こうじゃないか。」


シューラニオスはどうやら興味を持ってくれたようだ。私はひとつ頷くと、話を始める。


「マリン嬢と、キース様を、結ばせたいのよ。」


瞬間、シューラニオスは怪訝な顔をする。なかなか雄弁な顔だと思う。


「そんなことして、君はどうなるの?」


私はにこりと笑う。


「それが貴方への対価。私がリベス侯爵家に嫁ぐ、それがこの取り引きをあなたが断れない理由。」


「確かに、リベス侯爵家はアリアス公爵家との繋がりを欲しがっているけど、」


「あら、私じゃ不満かしら?」


シューラニオスは渋い顔をそのままに、諭すように言った。


「この取り引きには、君への利がない。」


「そんな訳ないでしょう。これは私が持ちかけた取り引き、私に利がないなんて」


「あれだけ渇望していたキースを、まさか諦めたなんて言わないでよ。」


「そんなこと、私は、キース様には、幸せになって欲しいのです。昔から、それだけ。私では、もう駄目なのですわ。」


「キースは君じゃあなきゃ、弱音を言ったりしない。マリン嬢じゃ無理だ。キースには、君しかいないんだよ。」


「いいえ、そうではありませんの。私では、彼を変えられなかった。彼を変えたのは、マリン嬢ですわ。」


「僕はそうは思わないね。それに、僕ら同士の取り引きに、家を持ち込むのは卑怯じゃない?」


「私が目的のためには、手段を選ばないこと、忘れましたの?」


「そうだった。僕があんなごっこ遊びに駆り出されたのも、君の差し金だもんな。」


「シナリオだけ書いて、あとは成り行き任せなんて、随分とずるいことするのね、と思って、表舞台に立たせただけですわ。」


「だから、表舞台に立たせるって、この僕にできる人、そうそういないからね!?」


「そうでしたの」


ふぅ、と息をつく。


「……綺麗事だけじゃ、この世は生きてけないんだよ。」


「わかっていますわ。」


「それでも、僕でいいの?」


「貴方だから、私の残りの生を預けたいと、思ったのですから。」


「後悔するよ。」


「承知の上です。でも、そうしたら、貴方に助けてもらいます。」


ふわり、と微笑む。


「……うわ、悪い顔。」


最後のつぶやきは聞こえないふりをした。



シューラニオスは面白そうなことを匂いで嗅ぎ分けたりしそうです笑

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