第三話 転移
暑い暑い夏。
悠は毎日凝りながらも学校へと向かう。
右手に少女を宿したまま。
彼女の目的は?
そんなことを考える日々だ。
彼女が来てから生活も変わった。
あぁ。
8:15
いつもより早く学校についた。
これはいつもより僕がはやく行動したからだ。
にしても何故こんなに早く学校に来ないといけないのだろうか。
「マスタぁ~」
シオンが話しかけてきた
悠は右手を見たがなにもなかった。
そんな様子を見てシオンが又話しかけてきた。
「ちょっとマスタ-(笑)今は学校ですよ?学校であなたの右手に現れたら周りの人に不審がられるじゃないですか~!だから、この天才シオンちゃんはなんと右手の神経から直接脳に信号を送ることで話すことが出来るんですよ(笑)」
「便利な機能だな~おい」
悠が声をだすと周りの人が不審そうにこちらを見てきた。
幸い京香はいなかった。
いたらまたあの強烈なチョップがとんでくるであろう。
考えただけで体が震える。
そんなことを考えていると又シオンが話しかけてきた。
「馬鹿なんですかマスタ~(笑)(笑)急に大声だしても周りからは一人で叫んでる変なやつあつかいですよ(笑)今京香さんの事考えたのもぜーんぶ分かってますよ!マスターが脳内で文章を考えたらそれがそのまま伝わってきますから!その点ご安心を!」
「(なるほど、ってことはこれで伝わるのか?」
「そーいうことですマスター!」
「(へぇ~便利だなぁ。じゃ普段もこれでいいじゃないか?)」
「残念ながらこのmodeでいるのには凄く魔力を使うんです。しかも、右手に光を歪めて現れるときは神経回路がつながらないので普通に喋っていただかないと喋れないんです!」
「(なるほど、その魔力がつきるとどうなるんだ?)」
「私が存在できなくなります!」
「(それはそれで、助かるような。)」
「マスタ~?聞こえてますけど??」
「(いやなんでもないよ!アハハ(笑)」
「もうほんと!あなたの為を考えてこのmodeでいるのに!残り少ない・・・あ・・なんでもないです!」
「(残り少ないなんだよ?)」
「なんでもいいでしょ!!朝礼が始まりますよ!授業中は私からはあまり話しかけないのでご安心を!」
といいシオンは喋らなくなった。
また長い一日がはじまった。
今日は数国社国英英総という7限での構成だ。
悠は文系数学選択なので文系教科に加えて数学も受けなければならないのだ。
勉強はできないが、真面目に生きたいと思っていた。
シオンが現れるまでは。
しかし、今は勉強や自分の進路より、シオンをなんとかしたいという思いでいっぱいなのである。
1限、悠はノートを開いた。
しかし、そこにはシオンノートと書かれていた。
数学のノートではない。
今の状況とシオンの事についてまとめようと作られたノートである。
中にはまっさらな紙しかなかった。
さっき作ったばかりのノートだからである。
悠は今分かっている情報を書いた
都シオン(Sion Miyako)
巫女
身長16cm前後
夢の中では俺の恋人
それ以外に出会った日などを書き足した。
「(これでは情報量が少なすぎる!!おーいシオン~!)」
「なんですかマスタ~?」
「(お前の事をもっと知りたい!!)」
「え・・?まさか告白ですかぁ?」
「んなわけねぇだろ!」
悠は大声で叫んでしまった。
周りからは冷ややかな目でみられた。
悠は恥ずかしくなって下を向いた
「ちょ(笑)マスタ~なにやってるんですか(笑)」
「(うっせぇおまえのせいだよ!告白じゃねぇよ!どうやったらお前とさよならできるか考えてるんだよ!だからもっと情報量がほしい!頼む教えてくれ!)」
「そこに書いてない追加情報なら、天才だってことと、かわいいってことが抜けてますよ~?」
「(あぁ。あてにならねぇ!!)」
悠はノートを閉じた、真面目に授業受けよ。
「悠!悠!悠!!」
悠は目をさました授業中に寝てしまっていたようだ。
ふと顔をあげるとそこには京香が鬼のような顔をして立っていた。
「ひぃ!」
「なによ、その怪物でもみるような目は!ってか、なにやってるんですか?授業受ける気あるんですか?」
京香は頬をぷくーと膨らませていった。
「いやぁいつの間にか睡眠の魔物に襲われて寝てしまいました!この失態はいつか必ず!!」
あきれたように京香がいった
「だからあんたは~。でもよくそんなんで点数がとれるわよね。」
「まぁ日頃の行いってやつかな?(笑)」
「初坂君よくいうよねぇ~いつも京香に頼りっぱなしなのに(笑)」
京香の後ろにいた夏美が言った。
「夏美も変わんねぇだろ!!」
夏美は悠をみて笑った。
「まぁどうでもいいけどさ。早く行った行った!」
悠は手であっち行けと二人にいった。
そしてまた眠りの体制にはいった。
もうまもなく2限がはじまるというのに。
しばらく寝ていたような気がした。
もう2限ははじまっている頃だろう。
悠は京香に次からはちゃんとするといったのでさすがに約束は破れまいと起きた。
しかし、目の前の光景は違った。
「あ。ぁ。。。・・。・。」
学校にいたはずなのに、目の前には、荒れた中世の街と、煙が広がっていた。
炎が上がっている建物もある。
人の悲鳴になにかを発砲する音が聞こえてきた
「え・・?なんなんだよこれ・・・?」
悠はとっさにシオンに話しかけた。
「おいシオン!シオン!!」
しかし返答はなかったもう右手にはいないのであろう
「そうか、これは夢だ!夢なんだ!!」
右の頬をつねった
「んな。馬鹿な・・」
悠は何度もつねった。何度も何度も。血がでてもなお。
「なんなんだよこれ!!!」
しばらくして、涙と血でくしゃくしゃになった顔をあげると
涙で歪んだ視界の中に一人の女性が倒れているのがみえた。
悠は立ち上がりその女性のもとへと駆け付けた。
女性は顔を下にして倒れていた。
さらに巫女の服を着ていたのである。
「まさか・・」
悠は女性を仰向けにし、顔をみた。
「悠く・・ん・・。ごめんね。まもれなかっ・・た・っ・・」
「おいしっかりしろ!シオン!シオン!シオン!!!」
「もう私は・・ダメみたい・・・前の・世界の・・わた・・し・に・」
シオンはそう言い残し悠の胸に手をあてた。
シオンの左手から光がでた。
「あついあつい!うわぁぁっぁぁぁあl!!」
悠の胸でその光が暴走し、悠はそのまま気を失った。
悠は目を覚ました。
しかしさっきの光景とは一変していた、
平和な中世の街で、たくさんの商売人の威勢のいい声が聞こえる。
「さっきのはいったい。ってか、ここはどこなんだよ!!」
ひとりで叫んでいると一人のおばさんが近づいてきた。
「ここはカルフェイト行商人たちの街さ!ところであんた何処から来たんだい?」
「カルフェイト?きいたことないな。俺は米瑞市というところからきたんだ!」
「マイズイ?きいたことないねぇ。」
「カルフェイトってここはイタリアか?それともフランスか?いや、オランダか?」
「お兄ちゃん残念ながらあなたのいっている地名は全部分からないよ。ここはメラニスタン王国の領地のなかにあるカルフェイトという街だよ?まさか?あんた伝説のイズナベースから?アハハまさかね(笑)あんな伝説だれも信じるわけないよね(笑)しっかりしなよアンタ!」
といいながらもっていたパンを渡しおばさんは去って行った。
今回は展開がおおきくうごきました!
今回までがお話を進めるうちの準備といいましょうか?(笑)
ここからひろがっていく悠の物語に是非ご注目下さい!