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ヒストリア  作者: パリィ
1章 兆し
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プロローグ 2

ゲームへログインすると、俺の視界には見慣れた一室が広がった。


そこは汚いと言う言葉では言い表せない程、ごちゃごちゃと物が散乱している一室だった。


「よーし、今日で調合スキルをマスターランクに上げれるぞ!」


俺しか居ない一室に響く声。このごちゃごちゃとした一室はゲーム内での俺の持ち家だ。そして今俺がいる場所が生産スキル修練のための作業場である。


あ、ちなみに俺のプレイヤーネームはカナタ。下の名前をそのまま使っている。

基本名前を決めるゲームでは考えるのが面倒くさいのでそのまま下の名前を使っているのだ。


「うし、早速取り掛かるぞ」


インベントリを開き、調合に必要な素材の在庫を確認する。


…うん。こんだけあればいけるだろ。


そして作業台の上に散乱した素材やアイテムを押し退け、調合キットを取り出し、各種薬草や素材をすり鉢でゴリゴリと潰し始める。


ーーー

ーー


「うし、こんなもんか」


あれから暫くいろんな薬草や素材を磨り潰す作業をこなし、後は水や聖水とかを量を調整しながら混ぜ合わせるだけだ。

普通はそれでポーションやら各種薬が完成するのだが、今日作っているのは難易度が高く、手間暇のかかる最高級ポーションである。


混ぜ合わせた後も暫く寝かせなければ完成しない。そして、調合スキルをマスターランクにするにはこの最高級ポーションを一定数作成しなければならない。


復活系ポーションより金や素材、手間暇がかかるマスターランクを目指す者にとって鬼門のポーションだ。


そんな事を考えているうちに混ぜ合わせが終了する。後は一定時間寝かせるだけだ。ゲーム内時間で72時間。現実時間で1時間半だ。


「………ふぅ。一通り終わったな。くぁ〜。最近戦闘してないから体動かしたいなぁ。うし、ポーション寝かせてる間に軽めのダンジョンにでも潜るか!」


よしよし、そうと決まれば〜♪


今俺は生産スキルを集中して上げているが、本職は戦闘職だ。ヒストリアオンラインの正式サービス開始からずっと戦闘職でやってきたが、フレンドがいなくなるに連れてソロ専になっていった。


そりゃそうだ。今更、1から人間関係を作り直すのもしんどいし、ギルドやプレイヤーが建国した国に仕官するのも今更だしな。


まぁ、なんだ。ソロもソロで楽しみ方はいろいろあるし。


と誰に言うでもなく、考えながら久し振りに装備を個人倉庫から取り出す。

お気に入りの軽鎧に紫色の外套を羽織り、姿見で確認する。


「ふむ。さすが俺。長髪にイメチェンしてみたが悪くはないな」


黒く長い髪に赤黒い瞳。現実とは違う高身長のイケメンフェイスである。

お気に入りの装備ともしっくり来るな。む、武器は屋敷の倉庫か。


武器は当分使ってなかったためインベントリの枠を空けるために屋敷の倉庫に押し込んでいたはずと思い出し、地下にある倉庫へ向かう。


うーむ。今更だが屋敷の地下倉庫も少々汚いな…


屋敷の中もここ数ヶ月で様々な素材やアイテムが散乱した状態になっている。地下倉庫はまだ良い。定期的にソート機能を使い自動で並べてくれる。


だが屋敷を全体的に見れば完全にただのゴミ屋敷である。現実であれば調合修練をやっていた部屋なんかは臭いで通報されるレベルだ。ゲーム内だから臭いは無いけど。って言うかあったら即掃除してる。


いくら最新機のVRヘッドギアでも臭いや味覚まではまだ再現できないようだ。


そして装備を整え終わると屋敷を出て転移門までトコトコ歩く。屋敷のあるこの場所はゲーム内のゼノア大陸の中央にある国のとある街の中だ。周りはそこそこ綺麗な街並みでプレイヤーやNPCたちで活気に満ちている。


それらを眺めながら歩き、あっという間に転移門に到着。門と言っても魔法陣が描かれた上に乗って、表示されたマップに転移先を指定するだけだ。


取り敢えず肩慣らしになりそうなダンジョンの最寄りの街を指定し、俺は今日も一人でダンジョンへ向かっていった。




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