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打算はどこかに消えて

夏休み目前。外のジリジリとした日光を横目に教室を眺める。


光ヶ丘くんは変わった。

前みたいに、損得感情や恋ヶ窪さんの為というだけで行動しなくなり、人に心を開くようになった。


「恋ヶ窪さん、今度皆でプール行かない?」


「ええ!?い、行く!

あ、でも待って、今のままじゃ腹肉が……。」


「そんなの気にしなくて良いから。

っていうか付いてないでしょ?

ね、朝霞さんは?」


「行きたーい!」


「うーん……。

となると、夏休み前には行きたいよね。

結衣予備校行っちゃうし……。」


恋ヶ窪さんも変わった……かな。少しだけ。

光ヶ丘くん以外の人のことも考えられるようになった。前は光ヶ丘くんのことしか考えてなかったのに。


「オレもー!」


「秋津くんも行こっか。」


秋津くんと朝霞さんは……変わらない。

あの2人はよくわからない。

ただ、秋津くんは前ほど授業中寝なくなった。


「はるかはー?はるかも行かないのー?」


「依澄が行くなら行く。」


「遥が行くなら行かない。」


この2人も相変わらずだ。

拝島くんの執着心も、田無さんの態度も。

前よりは田無さんの態度が軟化した気がするけど、でもほんの少しだけだ。

今も拝島くんが落ち込んでる。


「依澄、行かないの?」


「亜弓は行くつもりなの?」


「人数次第かな?多かったらやめとこうかなあ。」


「え〜?多い方が楽しくない?

鷺ノ宮ちゃんも行こうよ〜。」


鷺ノ宮さんは前と変わらず、困った顔で笑っているだけ。

ただ、彼女に恋人が出来たという噂は聞いた。どんな恋人かは知らないけれど、彼女はその人にゾッコンらしい……と告白してフラれた男子が言っていた。


小平さんは変わった。主に指が。

外科手術で治してもらったそうで、今もリハビリをしている。

萩山くんとは別れたそうだ。萩山くんから別れを切り出されたそうだが、お互い未練タラタラなのでまたヨリを戻すと思う。


「中井さんはどうするの?」


「……私?

行くつもりはないけれど。」


「折角誘われてんだから行けよ。」


「……あなたは行くつもりなの?」


「これで俺が行かなかったら光ヶ丘、マジでハーレムになっちまうだろ……。

また変なのに絡まれたら困るしな。」


「そう?それはそれで見てみたいかも。」


「お前、ほんっと性格悪いよなあ……。」


中井さんのツンケンした態度は変わらない。

ただ、たまに自然な笑顔を見せるようになった。……基本的にはあの真っ黒な闇のような笑顔だけれど。


千川くんは入学したての頃と大きく変わった。

彼は髪を黒くして、ピアスも外し、制服もあんまり着崩さなくなった。

どういう心境の変化だか知らないが、前はヤクザのようだったのでこちらの方がずっと良い。

もっとも、その迫力で薄れていた彼の魅力に何人かの女の子が惹かれ面倒なことになっているようだけれど。


中井さんは悩めば良い。

いつまでも千川くんは隣にいてくれるわけじゃないのだと。

恐らく彼女が求めるだけ彼は中井さんの側にいてくれるだろうが、彼女はそれに気付くことは暫くなさそうだ。


「清瀬、あんたはどうすんだ?」


「私?どうしようかなー?

玻璃さんがいるなら行くわ。」


「相変わらず……。あのね、兄貴呼ぶわけないじゃん。」


そんなことはわかっている。

私は玻璃さんとここ何ヶ月も光が丘くんを見守っていたんだから。


彼、玻璃さんは弟の翡翠くんのことが心配でたまらないのだ。

だから私に光が丘くんの面倒を頼んできた。

いくらなんでもそれは、と思ったが私も恋する乙女。

結局玻璃さんの頼みを受け入れてしまった。


彼は光が丘くんに友達ができるかどうかばかり気にしてた。

最初は難しいと思っていたが……どうやらそうでもなかったみたいだ。


「えー、残念……。

でも折角だし、行きたいな。」


「オッケー。

……それで、結局何人かな?」


光ヶ丘くんは必死で人数を数えている。

けどそんな必要ないだろう。

きっと皆来る。

なんたって光ヶ丘くんはクラスの人気者なんだから。

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