表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/37

まどろみ少女

短いです

ふと目を覚ますと、横に秋津くんがいた。

まだいたの?


「秋津くん?」


「んー、あさかさん、おはよう。」


彼の手が腰に回ってるのに気付き、慌ててどかす。

私は体を起こし、布団を剥ぐ。


「もうお昼休み終わるから起きたら?

私も起きるし。」


「もう少し寝てよ。ね?」


「1人で寝てなよ。

先生にはうまく言っとくよ。」


「えー、あさかさんもここにいてよ。」


彼は私の体に手を回し、ベッドに招き入れた。

力は強くないが、あっという間のことで抵抗もできなかった。


「1人で寝てよー!私ご飯食べたい。」


「もう少しだけでいいから。

オレ、ここのところずっと眠れなくて……。

でもあさかさん、いい匂いするし柔らかいし、一緒にいると眠くなる……。」


「……不眠症?」


「んー……。」


秋津くんは夢見心地だ。

しかし腕はしっかり私を抱き締めている。

困ったなあ。


「……あと5分だけだよ。」


「ん、ありがとう……。」


3秒もしないうちに、規則正しい寝息が聞こえてきた。

嘘でしょ、もう寝ちゃったの?

でもこうしてると、私も眠く……なって……。


「ダメダメダメ!

寝たらお昼食べれなくなる……!」


ホッペを抓ったり瞼をこじ開けたりして無理矢理眠気を飛ばす。

5分。5分耐えれば。5分……。




「あさかさん。」


ハッと目が覚める。

今何分経った!?


「秋津くん……今何分経った?」


「153分。」


「えっ?」


「授業サボっちゃったね。」


嘘でしょ。2時間以上寝てしまったの?

いくらなんでもそれは寝すぎ……。

先生に怒られてしまう。

しかもお昼食べ逃した!


「あー嘘でしょ……。」


私はベッドの上で頭を抱えた。

あの時5分だけなんて言うんじゃなかった!起きればよかった!

その様子を見ていた秋津くんが、私のシャツを引っ張った。


「……怒ってる?」


「怒ってない……けど、困ってる。」


「そっかあ。ごめんね……。」


「あの時起きればよかった私がいけないから。」


元を辿れば、あの超豪速球サーブを避けていればよかったのだ。

まさか直角で曲がるとは……。アヤ恐るべし。


「あさかさんは優しいね。」


「別に優しくないよ!」


「優しいよー。

優しいし、いい匂いするし、柔らかくてあったかくて……。なんか眠くなってきた。」


秋津くんは私にもたれかかってきた。

いくらなんでも寝すぎ!

慌てて体を揺する。


「起きてー!」


「んー。

あさかさんって可愛いー。」


へ、と喉から声が漏れた。

秋津くんはふふふふと笑って、私のほっぺにキスをしてきた。


「な、な、な、な!!」


「ほっぺふわふわだねー?」


「何やってるの!」


私は秋津くんの鼻を摘んだ。

秋津くんはフガフガ言いながら謝ったので、離してあげることにした。


「どうしてキスするの!ダメでしょ!」


「ほっぺのキスはね、挨拶なんだって。

オレあんまりうまく喋れないから、キスで挨拶するんだ。」


それって欧米の話なような……?

私の周りでキスしてくるひとなんていないし。


「お母さんは無闇に男の人に接触するのはいけないって言ってたよ。

秋津くんも、無闇に女の人に接触しちゃダメだと思うけど……。」


「うーん……?

挨拶もダメなの?」


「口で挨拶するのは?

こんにちは、おはよう、ありがとうって。」


「ならさ、さっきの、可愛くてもっと一緒にいたいなーって時はなんて言うの?」


もっと一緒にいたい時の挨拶……?

そんなの挨拶じゃないと思うけれど……。


「もっと一緒にいたいですって言えば良いんじゃない?」


「わかった。

あさかさん、もっと一緒にいたいです。ひとりにしないでー?」


「えー。

じゃあご飯食べに行こう。

お腹空いちゃったよ。」


「さんせー!」


秋津くんは私の手を握ってきた。

弟がいたらこんな感じかなあ。

ちょっと縦に長いけど、でも可愛い。


私は秋津くんと手を繋いでファーストフード店へ向かった。

アヤのことをすっかり忘れて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ