心の独り言
掲載日:2017/01/03
それは、雪解けの季節。
ぼけっと街灯に寄りかかっていた。
「ハロー、生きてますか?」
ふざけたように、君は言う。
「生きてるよ。まだ、ね」
とぼけたように、僕は答える。
幾度と繰り返したいつも通り。
「ソレは重畳です」
淡泊な受け答えと、親密な距離。
対比するような温度が、体の内と外。
「どうした?」
「夫に会うのに、理由が必要ですか?」
意味のない問答。
雑味のない空間。
冬の終わりが、澄んだ空気を。
春の始まりが、密やかな温もりを。
「帰りましょうか」
「あぁ」
君が歩き出す。
帰る場所は、二人一緒。
「どうしました?」
立ち尽くした僕を振り返る君は。
花ほころぶように微笑んで、手を差し伸べた。
「ありがとな」
あの時から変わらない。
貴女に救われたあの日から。
「どういたしまして」
そっと手をとれば、いつも通りで懐かしい。
そして、愛おしい温もり。
僕は君と一緒に歩くよ。
だから、君は僕と同じ方を向いていてほしい。
「ね、恋って素敵でしょう?」
自慢げにいう君に。
僕は言葉で答えられなかった。




