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13.「わぁ、似ても似つかないってことかな!?」

〈あら、主人様そのことは話さなかったのね。余程、真夜に会えたことが嬉しかったのかしら?〉





「いや、そんなことが聞きたいんじゃなくて、え?呪いって何?」





〈馬鹿で愚かで哀れな女が、幼かった主人様に呪いをぶっ掛けたのよ。だから、こんなに魔力が濃縮されてるの〉





「それで、魔術は使えるのよね?」





〈濃すぎて使いようがないの。エノクの民なら分かるでしょう?〉






夜鷹姫の言おうとしたことが分かった。濃縮少量というエノクの言葉がある。それは二通りの意味があって、1つ目は濃い故に少量しか保持できないということ。




2つ目は、濃縮された魔力は、少量でも有れば馬鹿デカい大規模な魔術を使うことが出来るということだ。





「ナルホド」




〈でもね、生まれつきってこともあるの。呪いによって、魔力の循環が更に悪くなったのね。だから、魔力が他の人よりも断然濃い〉




「でも、それだけなら発散方法はいくらでもある筈よね?」




〈主人様の場合、魔力の保持量も人並みじゃなかったのよ。言うなら、濃縮大量ってこと。循環が悪くて、体内に留まる魔力が濃くなる一方で、発散することが追い付かないのよ〉





「…それで、支障は?」





〈全身の倦怠感と吐き気、頭痛、眩暈、あとは本人に訊かないと私でも把握していないわ〉





その言葉に思わず眉を潜めた。何だ、その症状は。私たちはエノクの民で、そういった魔力の濃縮と悪循環には慣れているから分からないが、多分、辛い筈だ。





それこそ、公務といえど投げ捨てたいぐらいは。






「その呪い、解けないの?」





〈この国一番の魔術師を宛がって無駄だったの。腹立たしいこの上ないけれど、あの女は遠い遠い特別な島国の出身だったからね〉





遠い遠い特別な島国――禁忌とされる呪術を扱うことに長けた民が集まった場所。呪術国家の名に相応する、エノクの民と対となると言われる存在だ。





「つまり、解読から不可だったと」




〈そういうこと。私に出来るのは、少しでも魔力の循環を上げることだけなの〉




「そっか。あぁ、だから彩帝国は皇位争いの真っ只中なのね」





〈実力者が上に立つ、当たり前のことだから…。でも、私は主人様にこのままでいて欲しいわ〉





「――出来る限り、私も呪いについて当たってみるよ」






〈エノクの民ってことで、期待はしないでおくけどいいかしら?〉






「賢明な判断だね。さて、夜鷹姫。私たちを現世に戻してくれるかな?」






〈えぇ、帰りましょうか。久しぶりに穏やかな寝顔を見たわ〉






夜鷹姫は、慈しみ深い温かな目で千景君を見つめてから、大きく羽を広げた。






ふわりと香る外の匂いは優しく温かく私たちを包み込んだ。






千景君と私だけの世界は、静かに色を取り戻して行った。






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