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話を数話繋げました!

ご迷惑をおかけした方、申し訳ございませんm(__)m

 この世界で平穏?はっ、分かってたさ。そんなもの、ありはしないんだってことくらい。でももう少し期待を持たせてくれてもいいじゃないかと思うわけですよ。


 別にさ、寝て起きたらこの世界全てがまともな人ばっかりになってました、わーい、やったぁってな感じを望んでるわけじゃないんだからさ。



 ……嘘。ちょっとは望んでるかも。


 ……だってさぁー、今はまだそれなりに大人しくしている奴等ですけれどもよ?いつ豹変されるか知っていてもよ?


 私が作ってしまったバグのせいでどこにいつ異常が出るか分からない。おぉ、まさに毎日がデンジャラス。




 午前中の最後の授業が終わり、千鶴が私の席までやってきた。



「奈緒ちゃんと一緒のクラスになれて良かったぁ!私、人見知り激しくて」

「私もよ?千鶴が一緒で良かった」



 あれから敬語を抜かして話して欲しいといういかにも友達らしい千鶴の要望に応え、このスタイルに落ち着いた。


 私の方は多少護衛対象だから一緒だと都合がよろしいというのもある。でも、それを抜きにしても確かに千鶴と一緒になれたのは嬉しい。



 正直、ここの金持ち集団の話には時々ついていけない。

もちろんそれはおくびにも出さないけど。


 一般階級の千鶴とは元とはいえ同じなので心休まる。




 とはいえ、私の悩みはつきない。


 今のところ最大の悩みはというと…




 急に教室の外の廊下が騒がしくなった。



 ………来たか。



 私は悩みの種がやってきたことに気づいた。いや、種どころか毒々しい大輪の花を咲かせてくれちゃっている。この分だと辺りに大量の質の悪い花粉を蒔いていきそうだ。


 花粉症ならぬヤンデレ症みたいな。



 …自分で考えて気分悪くなってきた。




 私が眉をひそめている一方、隣にいる千鶴は可哀想に縮こまっている。

 この騒がしさの原因がどこを目指しているのか分かっているんだろう。



「な、奈緒ちゃん…」

「奈緒ちゃーん!遊びにきたよー!」



 同じ呼び方ながら両極端の元気度を伴って私の名前が同時に呼ばれた。



 千鶴はあんまり目立つのが得意じゃない。

反対に他クラスであるにも関わらずまるで自分のクラスであるかのように自然と入ってくる彼は目立つ要因しかない。


 よしよし。



 安心するように千鶴の手をきゅっと握ってやると私の方を恐る恐る見つめてきた。


 なに、この可愛い生き物。なんなの、この子。

私をキュン死にさせる気じゃなかろうか。



「あーずるーい!!奈緒ちゃんに手ー繋いでもらってるー!!僕もー!!」

「……っ……だ、駄目っ!!」



 くはっ。


 なに、この子、私をいけない道に追い込む気なの!?

そうなの!?

可愛すぎるでしょ!!




「…何を言ってるの?奈緒ちゃんは君のモノじゃないでしょ?」



 君のモノでもないからねー?西條呉羽クン。



「な、奈緒ちゃんは私の親友だもん!!」



 いきなり低い声を出した西條呉羽に若干ビビりながらも千鶴は懸命に言い返している。言うなれば肉食動物に草食動物が体をガクブルさせながら立ち向かっている下克上みたい。



 私をそんなに思っててくれてたなんて。

嬉しすぎるじゃない!


 …でもね、千鶴。




 私は千鶴の口を押さえ、西條呉羽から千鶴の姿を隠すように後ろへやった。



 頼むから自分からフラグを立てに回らないで。




 その時、どこかへ出かけていた滝川由岐が戻ってきた。

生徒会役員で唯一同じクラスになったのが彼だ。

ホントーに良かった。まだマシだから。まだ、ね?



 それにそれに出席番号順の席で千鶴と彼が前後になるかとヒヤヒヤしたけど、千鶴が一番後ろで滝川由岐が一番前というなんとも私に都合がいい配置になってくれた。


 ちなみに私は千鶴の列でちょうど二人の間くらいになっている。なんて素晴らしき番号で決められた席順。もうずっとこれでいい。それは私だけじゃなく、滝川由岐と近くになれた私以外の女子皆が思っていることだろう。




 その滝川由岐が私の横に西條呉羽がいるのを見つけ、急いで駆け寄ってきた。



 待ってましたよー、滝川由岐。

ダメじゃんか、お守り役がいなくなっちゃ。



「呉羽、神宮寺さんが困っているでしょう?」

「えー?困ってないよねー?」

「困ってますわね」

「がーん!!」



 わざとらしく頭を抱える西條呉羽はスルーしておいて。

私は滝川由岐の後ろについて入ってきた二人に目を細めた。




 今日も眠たそうな神園瑠偉に…


 生徒会長、朝霞恵斗

この学園の覇者にしてトップの家柄。

覇者の名に相応しく、性格は俺様何様恵斗様だ。




 家柄的に昔から私的に面識があり、いわば幼馴染みというやつになってしまった。

ここら辺も私のフラグへし折りまくってできたバグの産物だろう。あぁ、私のバカ。



 でも、かといってどちらもこの学園では馴れ馴れしく話かけたりしないので、この関係性を知っている人はごくごく僅かだけど。たぶんお互いともう一人の幼馴染み、そして生徒会役員達と風紀委員幹部くらいだろう。

 私にとってそれは大きな救いだ。女の嫉妬は同性から見ても恐ろしいものだから。



「……おはよう、奈緒」

「おはようございます。神園様。重いので離れて下さいません?」



 私は神園瑠偉の抱き枕ではない。

だからいきなり背中にのしかからないで欲しい。

重い。


 もう慣れたけどさ。



 そんなに抱きつきたいのなら向こうでこちらを睨んでくるあのご令嬢方にして欲しい。


 私には余計な敵を作って相手取る暇はない。



 教室の内外は異様な盛り上がりを見せている。

生徒会役員全員が集まっているからか、気づけば同学年だけでなく他の学年からも見にやって来ていた。



 貴重な昼休みにわざわざご苦労さまです。

そんなに見ていたいならどうぞ連れていってください。

もちろん無償でお譲りいたしますとも。返品も不可ですけどね。



「ほら!!呉羽、瑠偉!!神宮寺さんに迷惑をかけるなとあれほどっ!!」

「えーっ。由岐だって面倒かけるでしょ?」



 …それは聞き捨てならんな。

しかも現在形。



 ジーッと滝川由岐を見た。

逃がしもしなければしらばっくれるなんて許さない。


 明らかに視線がグルグルと泳いでいる。

そんなになるようなことを言い出そうというのか。

君、分かりやすすぎるぞ?



 そんな私の視線に負けたのか、良心が痛んだのか、ポツポツと語り始めた。



「えっと…神宮寺さんに……生徒会の庶務

「ご遠慮いたしますわ」

まだ言い終わってないのにっ」



 皆まで言うな。想像はできる。



 フラグ全て断ち。それが私の向こう三年間の抱負だから。

 生徒会役員?冗談じゃない。



「生徒会はお仕事が大変なんでしょう?私、勉強で手一杯なんですの」



 この理由に手抜かりはない。

私の順番は中の上をキープさせている。

出る杭は打たれる。必要以上に目立つつもりはない。

ただでさえ家柄で注目を集めているというのに。



 まぁこれはこれでなかなか大変大変。

何度空欄全て埋めてやろうかと思ったくらい。

負けず嫌いなの、私って。

ストレスで禿げたらどうしようかと悩むテスト期間中。



 ゲームの中では掲示板に張り出される三十番以内には入ってたみたいだけど。なったからといってお小遣いが増えるわけでもないしね。ていうかこれ以上増えても逆に困る。


 私、根っからの貧乏性なのに。



 フラグも立ちやすいし。

私にしてみればそっちの方が大問題。


 特にこれからは千鶴もいるから気をつけなきゃ。



 生徒会の仕事は多忙を極める。

本来こんな場所でたむろっている時間なんてないはずなくらい。


 そういえばどうして全員揃っているんだろう?

僅かな休み時間ならもっと有意義に使うべきだ。

例えばそこかしこにいる私達に痛い程の視線をぶつけてくるお嬢様方のお相手とかね。


 でもって私達には構わないで欲しい。いくら見目麗しいとはいえ、ヤンデレなんか嫌だ。声を大にして教えてやりたいわ。


 実際しないけど。



「……由岐。とりあえず飯行くぞ」

「あ、あぁ」



 今はお昼休みで私達もお昼ご飯に行こうとしていたところだ。今日は初めて食堂で千鶴と一緒に食べることになっている。

 ……ビックリするだろうなぁ。



「奈緒ちゃん」

「うん、行こうか。じゃあ、皆様。失礼しますわ」



 もちろん一緒に食べるつもりはありませんからね。


 背中に抱きついている神園瑠偉を引き剥がし、横に張りついている西條呉羽をどかし、立ち上がった。



 教室を出る途中で先程から睨んできていたご令嬢方の横を通る。

予想通り彼らに聞こえないように嫌みの嵐が飛んできた。



「奈緒ちゃん」

「心配しないで。これくらい平気だから」



 まったく。

徒党を組んでしか向かってこられないようなら最初から相手にする価値はない。時間の無駄無駄。



 それにどこをどう見たらいい気になってるんですかねー?

思いっきり迷惑してるんですけど。



 本来この謗り妬みは千鶴に行くはずのもの。

でも私の勝手で方向性を変えてきたんだから、これは当然私が受けるべきもの。


 それに神宮寺の令嬢としってのこの所業なら、逆に天晴れだわ。別段私は権力笠に着ようなんて思っちゃいないけど、周りは黙っちゃくれないから。


 特に……はぁ…あの人が。



 なのに…



「…なんて顔してるの?」

「だ、だって…」



 あぁ、泣かないでよ。

私は泣かせたくてしてるわけじゃないんだから。



 千鶴が気に病むことなんて何もないんだから。

私は千鶴にはいつも笑顔でいて欲しいんだから。



「さ、笑って。せっかく楽しい昼休みなんだから」

「……うん!」

「そうそう。やっぱり千鶴は笑顔が一番可愛い」

「えへへ」

「でもそれを男に無闇矢鱈に向けちゃだめよ?」

「……?分かった!」



 よし。これで大丈夫。


 あぁお腹空いた。


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