↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
求・ヤンではなくクーな人達  作者: 綾織 茅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/34

14

 みなさん、初めまして。

 奈緒ちゃんの大親友の高橋千鶴です。とても重要なことなので二度言っておきます。大、親友の高橋千鶴です。大の部分、覚えておいて下さいね?


 奈緒ちゃんはすごくお金持ちのいわゆるご令嬢なのに全然飾らなくて、いつも私を気にかけてくれる。みんなも大好きなんだよねー。………むぅ。ジェーラシーィー。


 とまぁそんな奈緒ちゃんだけど、みんなに優しいのに、ある人達にだけは人が変わったように冷たく当たる。ご存知、洸蘭名物の生徒会と風紀委員メンバー。まぁ風紀委員の方は幹部の委員長さんと副委員長さんだけにみたいだけど。前にそれを聞いたらうまくはぐらかされちゃった。


 私が入学してくる前に何か彼らが奈緒ちゃんにしたのかと思っての噂好きの愛実ちゃんに聞いてみたけど知らないらしい。私から見てもおかしいくらいなのに。

 特に私が彼らに呼ばれて一人で生徒会室に行った時、すっごく慌てて駆け込んできた時はびっくりした。


 …でもね?へへ。どうして彼らにだけそんな態度をとるのか分からないけど、ライバルは少ない方がいいよね!?

 

 聞いてください!

 西條呉羽に神園瑠偉っていう奈緒ちゃんに特にベタベタ甘える奴がいるんです!特に西條呉羽!ことあるごとに私と奈緒ちゃんを引き離そうとするんですよ!?信じられない奴です!


 あんな人達が奈緒ちゃんにベタベタしてるから奈緒ちゃんはいつまでたっても恋愛できないんだ!

 有馬君!私は応援してる!とってもしてるよ!?だから頑張って!


 そんなわけで(?)奈緒ちゃん的には人助け、相手にとってはデートであるお出掛けに私もついていきたいと思います!応援してるって言っても男はみーんな狼だから!


 あ、普通に一緒にいくってわけじゃないからね?あれだよ、あれ。刑事の尾行!あ、私立探偵という手もあるか。

 女刑事か女私立探偵。うぅん、どちらも捨てがたい。ここはくじで…あ、そんなのどうでもいい?そうですか。残念です。


 とにかく!尾行だよ、尾行!ストーカーじゃないからね?

 え?類は友を呼ぶ?どういうことですか?



『おーい、千鶴ちゃーん』

「あ、すみません。草薙さん」



 あ、いけない、いけない。


 今、アメリカに奈緒ちゃんのお兄さんと一緒に行っているらしい草薙さんとお電話してたんだった。


 国際電話って高いらしいけど、なんでか草薙さんにもらった携帯だとタダなんだって。仕事上の特権だって言ってたけど、コンビニの店長さんが持つ特権ってそんなにすごいのかな?



『お土産たくさん買ってくるから期待しててよ。それより奈緒奈緒の話ホント?』

「ありがとうございます!はい、本当ですよ。奈緒ちゃん、本当に分かんなかったらしくてポカンとしてましたから」

『いやぁ、なにしろ彼らがずっと番犬よろしく張りついていたからねぇ。奈緒奈緒自身が人と壁を意識的に作ってるっていうのもあるけど』

「え?奈緒ちゃんは私にたいして最初から壁なんてありませんでしたよ?」

『そりゃそうだよ。だって君はトクベツなんだから』

「特別…。大親友ですもん!」

『そうそう。じゃあ、僕、やることあるからまた面白いことがあったら教えてねぇー?』

「分かりました!」



 さぁ、これで草薙さんに報告しなければいけないという任務ができましたね。頑張らなくては。


 私にはなにかを始める時は型から入るべきという持論がある。というわけで尾行用の格好を決めよう!


 …とは言うものの。

 クローゼットを開けて中を物色したけど、なかなか尾行用なんて普段使わないようなものはない。あっても怖いけどね。


 どうしよっかな~。怪しまれず、かつ目立たないような服…。テレビなんかでは尾行にコートは必需品だけど、あいにく今は春だから。なので却下。サングラスとマスクは…花粉症で誤魔化せるかな?あぁ、でも目立つね。んー。無難ないつもの格好で行きますか。動きやすい格好がいいよね?


 …………よし、決まり!



「千鶴~。ちょっとゴミ捨てて来て~」

「え~」

「お小遣いカットするわよ?」

「ズルっ!…行くよ!行きますよ!」



 お小遣いを盾にするなんて…なんて卑怯な!洸蘭はバイト禁止だからなぁ。でもバイトは禁止だけど副業はありって何?

 やっぱりお金持ちは分からない。



「早く!ゴミ収集車来ちゃうじゃない」

「はいはい」

「はいは一回!」

「はーい!」



 お母さんが両手が塞がっている私の代わりに玄関のドアを開けてくれた。



「こんにちは、高橋さん。お手伝いですか?」

「へぇ~。ここがあんたのウチかぁ~」

「……眠い」



 見慣れた家の前の風景に異色な黒い車が停まっている。

 私でも知ってる。あれは高級車と言われるものです。

 そして玄関の前には、いかにも良家のご子息という雰囲気をバンバンに振りまいている生徒会メンバー達が揃っていた。

 お母さんはせっかく開けたドアをそろそろと閉めてしまった。



「ち、千鶴…」

「……ん」

「あんた……何をしでかしたの?」

「…さぁ」

「さぁ!?何もしてなくてあんな見るからに上流階級の御曹司ですって子達がうちなんかに来るわけないでしょ!……はっ、まさかあんた…高級な物を壊したりしてないでしょうね?」

「し、してないしてない!」



 ピンポーン


 いつもなら誰か来たなと気軽に出るインターホンだけど、分かっていれば、それに加えてあまり歓迎できない相手なら全く気軽になんぞ出れるはずがない。というか出る気すら起きない。

 その間にもチャイムは鳴り続いている。怖い。これはなんてホラー。



「おい、いるんだろ?出てこい」

「…恵斗。……朝早くすみません。少しお時間をいただけませんか?あなたにお聞きしたいことがあるんです」



 なんだろう?

 朝霞君は高圧的だし、神園君は何考えてるのか分かんないし、西條君は私のライバルだからあんまり好きじゃないけど…。滝川君は優しいからなぁ。

 聞きたいことに私が答えられるのか分からないけど…聞くべきだよねぇ?



「千鶴、あぁ言ってるけど」

「うん。ちょっと聞くだけ聞いてみようかな」



 閉めていたドアをゆっくり開けると待ち構えていた手に掴まれ、外に引きずり込まれたかと思うと、いつのまにか車に乗せられていた。


 え、何事!?


 バッと窓から家の方を見ると玄関で慌てるお母さんが笑顔の滝川君と話している。あ、戻ってきた。


 お母さん!?なんで手を振ってくるの!?娘が拉致られてるってのに!

 え?なんかこの車動いてるんだけど!どこかに連れていかれてるんだけど!?そんな話、聞いてない!聞いてないからね!?


 奈緒ちゃぁん、ごめんねー?あんまり関わるなって言われたのに、思いっきり関わってるよぅ。


 向かいには朝霞君と西條君、私の両隣に神園君と滝川君が座ってる。

 これは、この位置は…私は犯罪者じゃない!



「何か飲むか?」

「いえ、結構です!聞きたいことってなんですか?」



 ここは早いところ彼らの疑問を終わらせて早く帰らせてもらおう。明日は大事な日なんだから!



「奈緒ちゃんが明日、クラスの男子と出掛けるってホント?しらばっくれようなんて思わないでよね?」

「ふん!あなたに教えることなんて何もありません!」

「なんだって?」

「呉羽、やめなさい」

「奈緒ちゃんが誰とどこにいこうが勝手でしょ?」

「…奈緒だから。問題ある」

「あ、分かった。親友とか言ってるけど知らないんだ」

「~っ!違いますっ!」

「へぇ~」

「呉羽っ!」



 西條呉羽…

 やっぱり嫌いだっ!



「……邪魔しようなんて思ってませんよね?」

「何言ってるの?」

「そうですか。それくらいの良識は「するに決まってるでしょ」

「…帰ります」



 なんなの!?奈緒ちゃん、実は楽しみにしてるのに!

本人は隠してるみたいだけど、電車の時刻表とか調べてたからね!?


 あれ?…電車、乗ったことあるのかな?



「電車?」

「あわわわ」



 口に出してた!?

 朝霞君が眉をひそめて睨んできた。こ、怖い…。や、ヤバくない?ヤがつくご職業の若様みたいなんですけど!?平気で人殺してそうな顔なんですけど!



「おい。お前」

「な、なんですか?」

「どうせ後をつけるつもりなんだろう?俺も行く」

「え!?」



 今、なんて?…しかも、どうせって言った!どうせって何!?私の行動パターン筒抜けってこと!?そういえば何で私の家知ってるの!?



「あの、高橋さん?」

「はっ!な、何ですか?」

「えっと…だいたい口に出してらっしゃいますよ?それとお家は生徒会特権で調べさせてもらいました。何分急がなければならなかったもので」

「ウソッ!」



 …いや、覚えはある。小さい頃からよくなんでも口に出しちゃう子だって言われてたっけ。全然無意識なんだけど。



「それでは明日、九時頃こちらにお迎えに来ますね」

「えっ!?」

「もう着きましたよ?」



 滝川君に促されて外を見ると本当に私の家の前に車がつけられていた。いつの間に止まったんだろう?さすが高級車に運転手さん。いいお仕事してますね。……じゃなくって!



「奈緒ちゃんの邪魔はさせません!」

「自分のことは棚上げ?」

「~~っ!分かりました!一緒に行きます!行ってアンタの魔の手から奈緒ちゃんを守るんだから!」

「ふ~ん。まぁ頑張って」



 みんな騙されてる!こんな奴、天使なんかじゃない!悪魔だ!ううん魔王だ!

 私が奈緒ちゃんを守らなきゃ!



「じゃあさようなら!」



 売り言葉に買い言葉。奈緒ちゃんとの約束を思いだし、ついでにゴミ捨てを放置して来たのに気づいて真っ青になったのは玄関のドアを閉めた後だった。

 慌てて前言撤回を求めるために外に出るもそこに車の姿はなし。


 奈緒ちゃん…ごめん。………でも守ってみせるから!


 私は決意を固く決めたのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。