貴族、誕生しました
大体こんな感じで進むと思う。
続きはウェブd
自分、転生者らしい。
日記を書いて、寝て、気付いたら赤ん坊になっていた。
まあ、どんな世界だろうと、植物の種さえあれば、自分は生きていける。
植物だけが友達でした。
自分の母は、こう、ファンタジーな美人さんでした。
父も、すごいイケメンというほどではないですが、いい線いってる感じです。
あと、姉と兄がいるらしい。
とりあえず、今日はもう寝ましょう。
寝る子は、育つのですよ。
◇◇◇◇◇
1歳になりました。
ハイハイが出来る様になりました。
あと、この世界には、魔法があるらしいですね。
授乳中に「魔法使い」という単語が出てきました。
先に言っておきます、自分、生きる為ならなんでもしますから。
誰に言ってるかわかりませんが。
どんな魔法があるのか気になる所ですが、水と火が出せれば、後はどうでもいいです。
電気とか氷ぶつけてどうするんですか?
人殺しとか嫌ですから。
現在はハイハイしながら、庭で動き回っています。
我が家は、一応有名な貴族らしいが、普通のお屋敷だ。
平民の家に比べたら、圧倒的に大きいんですよ?
てか、暮らしている場所が田舎だ。
大きな村はあっても、町は無い。
海と山に挟まれていて、自然が多い。
盗賊や山賊は、ここら辺にはいないようだ。
いても父が倒しに行く。
家の父は、強いらしい。
つまり、戦いとは無縁の楽園なのですよ。
考えながら動いていると、地面に何かいるのを発見。
赤ん坊の頭ぐらいの大きさのアルマジロがいた。
とりあえず、ペシペシ叩いてみた。
喋りはしないが、雰囲気で「やめろ」と言っている気がする。
叩くのを止めて、ジッと眺めてみるも、特に動きが無いので、噴水と池がある方に近づく。
水に落ちたら危ないからか、家のメイドさんが少し近づいてくる。
池を覗いてみると、なんかいた。
赤ん坊の掌サイズの魚が数匹。
バチャバチャ水面を叩いてみた。
今の自分と同じぐらいの魚が出てきた。
怖かったので、逃げた。
メイドさんが微笑んでいたのは、見なかった事にした。
木に近づいてみた。
特に何も無かった。
上を見上げる。
そこには、蜂の巣があった。
今出せる全力で逃げた。
チューリップが咲いていたので、近づいて眺める。
〈こんにちは〉
チューリップに話しかけられた。
流石は、ファンタジー。
何でもありだね。
「あぅ」
〈まだ喋れないんですね。むしろ、私の声なんか聞こえるわけ無いですよね〉
「あぃ~」
〈あれ?もしかして、声聞こえてます?〉
「あぅ!」
どうやら花と喋れるのは、自分だけらしい。
自分にとっては、いい能力だね。
でも、まだ言葉が話せないので、チューリップの花をツンツンして揺らす。
〈あっ!やめて!揺らさないで!〉
飽きたので、母の元に向かう。
チューリップがまだ何か言っていたけど、無視した。
「お帰りなさい。楽しかった?」
「あぅ~あぶぅ!」
「ふふ、楽しめたみたいね」
木製の机と椅子が置いてあり、そこで寛いでいた母に抱っこされる。
服が汚れますよ~
母にナデナデされるの、気持ち良いですよ~
眠くなってきました。
おやすみなさい。
◇◇◇◇◇
5歳になりました。
最初に喋った言葉は「おかあしゃん」です。
父が泣きながら走っていきました。
家の人達総出で慰めていたのは、記憶に新しいです。
フラフラだけど、足だけで立てる様になりました。
現在、植物の種を探して庭を動き回っています。
まあ、当然の事ながら種なんて無いですが。
スイカが食べたいのですよ。
スイカの種出てこ~い。
そう考えていたら、スイカの種が落ちていた。
「……ホントに出てきた!」
そして、身体から何かが減った。
少しだったが、確かに減った。
これが、魔力かな?
魔力が減って、種が出てくる。
つまり、種を創る魔法!
自分にとって最高の魔法ですね!
とりあえず、誕生日で貰ったスコップで穴を掘って、スイカの種を植える。
誕生日に貰ったジョウロに水を入れてきて、チョロチョロと水をかける。
さて、どんな種を創ろうか。
折角ファンタジーなんだから、こう、なんか、凄いやつがいい。
種……木……森……大地……世界……世界?
確か、世界が付く木が神話化なんかに出てた気が……
そう、世界木……ハッ!世界樹だ!
世界樹の種出てこ~い!
そして出てきた種は、光り輝いていた。
緑の濃い虹色の種で、魔力が溢れ出している。
さっき魔力を感じられるようになった自分にすら、ハッキリと分かるほどの魔力だ。
なのに、自分の消費した魔力は、スイカの種の時と同じだ。
そのまま考え事をして、ぼーっとしていたら、羽の生えた小人や光っている小人が複数飛んできた。
いきなりだったので、全力で逃げ出したくなった。
それでも、相手が自分より小さいので、何とか思いとどまった。
臆病だからこそ、見た目で判断しています。
〈ねぇねぇ、それな~に?〉
〈教えて教えて!〉
羽の生えた小人、多分妖精が、自分の掌に乗っている種を指差しながら、聞いてくる。
絵本で読んだが、ほとんどの妖精は好奇心旺盛で悪戯好きらしい。
つまり、ここに妖精がいる。
4歳ごろに、落とし穴に落ちたり、おやつが無くなったりしたのは、こいつらのせいと言う事になる。
憎いが、勝てる気がしない。
だって、妖精って魔法が凄いんだよ?
どう凄いのかは分からないけど、とにかく凄いんだよ!
そんな妖精が五人!
大人しく友好関係を結ぼうと思う。
とりあえず、全員種が何か気になるようだ。
何故か、アルマジロも集まってきている。
「えっと、世界樹の種だと思います」
世界樹がどんなのか知らないし、曖昧に言って逃げ道確保。
断定してないから追及できまい!
《世界樹って何?》
「知らない」
妖精の知らない事を、知っているわけないではないですか。
植えてみるかどうか聞いてみたところ、満場一致で植えることになった。
これだけ植えると、育つのに時間がかかりそうなので、もう一つ種を創る。
成長を早める種、略して成種だ。
どうやらこの魔法、色々と調べる必要がありそうです。
名前だけで創れたり、どんな効果かで創れたり、まあ、便利だからいいけど。
〈それ何~?〉
〈何々~〉
「一緒に植えた種の成長を早める種だよ」
《便利だ!すご~い!》
妖精は、御喋りが好きなんだね。
二つの種を、適当に掘った穴に入れ、埋める。
埋めた所に、アルマジロ達が集まり、丸くなる。
アルマジロ可愛いな。
光ってる小人が、喋りはしないが雰囲気で何が出てくるのかワクワクしながら、種を植えた所の上を飛び回っている。
暇になったので、水を与えてみた。
魔力が上がった気がする。
「シーファ!!」
母が走ってきた。
何かあったのだろうか?
何故か思いっきり抱きしめられた。
顔が胸に埋まるというのは、巨乳な母を持った子供の特権だね。
ちなみに、自分の名前は[シーファ・ヴァーリグリス・シーエンド]です。
母は[アリッサ・ファーラル・シーエンド]で、父は[クライブ・アーディア・シーエンド]です。
父は、平民から剣の腕だけで爵位をもぎ取った、《鮮血の剣鬼》らしいです。
母に一目惚れして、結婚する為に死ぬ気で頑張ったんだ!と、寝ていた自分を起こして、無理やり聞かせてきた。
当時、まだ一歳でした。
あと、姉が[リーゼリア・ファルディス・シーエンド]で、兄が[アッシュ・ロンド・シーエンド]です。
優しい姉と真面目な兄です。
ところで、そろそろ苦しくなってきたんですが。
ペシペシ叩いて、開放を要求する。
「あ、ご、ごめんね?いきなり巨大な魔力の反応があったから、すっごく心配で……怪我とかは無い?」
……ごめんなさい。
「それにしても、此処は随分と精霊が多いのね……と言うか、此処から魔力が……」
地面を注意深く見る母。
自分も、種を植えた所に目を向けると、芽が出ていた。
「育つのが予想以上に早い!」
「え?何が育つのが早いの?」
思わずツッコンでしまった。
母が首を傾げながら、説明を求めてくる。
種が創れたこと、種を植えたことを話した。
苦笑されてしまった。
「あんまり危ない事はしないでね?」
そう言って、母は家の中で慌しく動き回っている人達に、説明をしに行った。
途中、家から出てきたフル装備の父を投げ飛ばしていたのは、なんとも言えない気持ちにさせた。
もう一度、芽を見る。
枝になっていた。
何も見なかったことにした。
もう、疲れたよ。
おやすみなさい。
ツンデレ風に次回予告。
か、勘違いしないでよね!
アナタ達の為に次回予告してるわけじゃないんだからね!
次回は〈騎士、理想を掲げました〉よ。
べ、別に見なくていいんだからね!
み、見たいなら勝手に見ればいいじゃない!
ふんだ!
そ、それから…か、感想とか書かれても嬉しくないんだから!
ま、まあ、書きたければ書けばいいんじゃない?
べ、別に何と書かれようと、なんとも思わないんだからね!