三話 第一試合
執事に連れられた俺は待合室に案内された。
「男女交互にトーナメント行い、一位になった男女に教師資格を得られます。順番来るまでここでお待ちください」
そう告げられたのはいいけど、豪華だな……一人用にしちゃ。飲み物のレバー式サーバー、食べ物はメニュー表あって呼び鈴がテーブルに置かれてる。
ソファーふかふかだし、こりゃ退屈にならなそうだな。しかもこの異世界、魔導力とか言う奴でテレビ見たいな機械が沢山ある。
にしても、四大貴族や格下貴族が今回の参加者が殆ど。参加理由が待合室に来る途中で聞いてたけど、名誉を掲げた人しか居らず"実力主義"は名家が何人かいるだけ。
「そんなに名誉が大事かねぇ。遊びじゃないんだよな……特に一般人はな。今後があるわけだし、未来が決まってる金持ちポンポンとは違う」
しかもこのトーナメント戦のルールも中々クソ加減ある。
1、怪我はさせないで相手を気絶させたら試合は終了。
2、負けた相手は貴族は一ヶ月程は貴族と言う肩書きを捨てる。
3、一般人参加者は負けた地点で、追放されて在籍資格と魔法学園都市への出入りが永久失われる。
4、怪我させたら許される特例処置が行われる。ただし一般人は極刑、貴族のみが許される。
こんな貴族が作ったルール、そりゃ一般参加者が出てこないわけだな。勝っても負けても極刑みたいなもんだからな。
俺は軽いため息を吐いて、動力モニターを付けた映像は第一試合は女子だった。
今から始まるのか、にしても一人異様に緊張してるな。引き腰で震えてるし、顔が青ざめてる。
これ戦った事ないんだろうな。
戦いにしては互いに魔法で魔法弾とかを放つ。
青ざめた子は逃げ回る事しか出来なくて、被弾したら泣いて第一試合は終わった。
「…面白みがないな、それで観客はゲラゲラと笑うとか。試合も観客も寄せ集めた、ゴミ収集所みたいな」
そんな表現、例えるならそれぐらいか妥当なぐらい。命や魂、プライドとかがある激しめの衝突がない。
「……ふん、一般参加者がいると思えば。田舎臭くてたまらんな」
いきなり話しかけできた貴族青年、美形で白いスーツ姿だ。やはり高貴な身分は違うのがわかるが、礼儀ないのか? いきなり人の部屋にノックしないで入ってくる……。着替えしてたら人類最大の問題に発展する話なのにな。
「なんとか言ったらどうなんだ? それとも、こんな貴族に声掛けられて身震いか? ふふ、臆することはない。貴様を初戦で相手する、この私エルドが挨拶しに来たんだ。感謝すべきだろう」
何気に自信があるエルド、俺的にはこの手は初戦に負けるタイプ。感謝の意味で、反応してみるか。
「貴族にしては随分と礼儀がないな」
「は?」
「普通他人の部屋に入る前にノック必須、一般常識ないのか?」
「一般人が決めたルールなんて無価値だ。私は優雅な貴族…分かるだろう? 貴族には貴族のルールがある」
貴族のルールがある、それが自慢する点なら俺は笑ってしまうな。
「何がおかしい?」
俺はゆっくり立ち上がり、少しばかり小馬鹿にしながらエルドに向かって言う。
「そんな大層なルールがあるとはな? 正直、独自ルールなんて…暗黙の了解かルールかの二択しかない。さすがプライド高いだけある」
エルドはピキる、ムキになった顔で言って返してくる。
「貴様、私の前で馬鹿にするつもりか?! お前のような下民が、いくらイキった所で変わりやしない。
ルールに従えないなら極刑しかない。そこでだ、私が君を救ってやろうではないか? 我ながら悪い提案ではないが……どうだ?」
実にゴミみたいな考えが浮かぶもんだ、戦いたくないからか痛いのが嫌なのか…丸見えな提案。
「お断りだ、エルドだっけか…。いくらなんでも俺の身のリスクを案ずるのは騎士として名折れじゃないのか?」
「騎士ではない、貴族だ。なら問うが、なぜ貴様のような負け犬がこの…トーナメントに参加したんだ? 」
エルドの問に俺は澄ました声で「理由が知りたければ、勝つんだな。 俺にはリスクも可能性も賭けなきゃ…大事なもんが救えねぇゴミカスになっちまうからよ」って答えた。その真剣さにエルドは生唾を飲み込んだ。
(こいつ…! ただ単に参加した一般人とは違う…。覚悟してるのか…全てを。まるで、自分の運命が最愛を救う為に孤高の騎士……!)
エルドは、俺の覚悟が伝わったのか……。目の前のソファーに腰おろして口を開く。
「非礼を詫びよう、貴様のその誇り……私が何度も一般人と相手してた。だが、貴様からは生気を感じるほどの熱量は感じたことがない。だが、戦うからには私は手加減するつもりはない」
「そうならなきゃ困るぜ? 貴族さんよ」
「ふん、私に噛み付くだけの事はある。いいだろう、私が勝てば極刑をなしにしてやる。そこに条件入れるならば、私の直属護衛隊になれ」
「メリットは?」
「貴族と同じ扱いにしてやる、無論連れ人も同じだ」
「なら、俺が勝てば調べて欲しいことがある」
「なんだ?」
ルミナスの言葉を思い返す、"燦という名は向こう側での名前。こっちならおそらくあだ名を自分の名前にしてる可能性あるわ。"っと言ってた記憶がある。
「ありあってやつを知りたいんだ、居場所含めて」
エルドは少し驚いていた、なにかまずいことあったかのような顔を浮かべながら話す。
「ありあ? いや、アリアってなら知ってる。ただ、貴族に逆らって……半年前に廃墟都市送りだったような気がするな」
ちょっとした情報を聞いて、俺はなんとも言えない気持ちで満たされる。
まさか、廃墟都市送りなんてな……何してんだよあのバカ。
「貴様が勝てばさらに探してやる」
「あぁ、わかった」
そのタイミングで執事が部屋に入り「第一試合、カイトさんとエルドさん両者模擬戦会場へお越しください」っとご指名で言われる。
「ふん、時間か……。せいぜい首洗って待つんだな」
「そのセリフは俺がお前に返す言葉だ」
「面白いヤツだな、貴様は……。会場に先に向かわせてもらう」
貴族らしい捨て台詞、俺もその言葉を返したが……エルドの奴。貴族にしては物分りが早いな。
さて、俺も腕を鳴らして模擬戦会場へと向かうとしますかねぇ。
石畳出できたステージ、審査員は高い場所から見てるのだろう。エルドは真迎えに立つ。
つーか、俺が武器を持ってないだけで、観客が笑い声だけが響く。
「一般人がなんでいるんだ」、「おいおい、また追放者かぁ?!」、「格下が出る幕じゃねぇんだよ」
などなど多数の卑劣で底辺でありながら侮辱発言が俺の耳を突き刺す。
「下民共が騒ぐなっと言いたい所だが、致し方がないか」
エルドは剣を引き抜くが、俺は地面に転がる石を拾いながらこういった。
「ふーん、まぁお前を倒すにはこの小石で十分だな」
俺は舐めたことを言って見るが、観客はバカ笑い。
足を強く踏み鳴らすエルド、相当お怒りみたいだ。
「舐めるのも大概にしろ!! 遊びじゃないんだぞ」
「知ってるさ、好きな数字は?」
まぁ俺は超絶優しい、涙出るぐらいに。
物理チートだから弱い奴にはメリット与えてやらないとな。
「は?」
「いいから答えろ、それをハンデにしてやる」
「舐めてんじゃねぇぞ!!」
ピキピキして怒るエルド数字を答えない、そのまま魔法を唱える。
無数の槍が空中に出現、狂気な笑みを浮かべて放つ。
「射抜かれて死んじまえよ!! 格下がイキる場じゃねぇんだよ!!」
観客席貴族共は高笑して「死刑! 死刑! 死刑!」っと連呼する。
そんな罵倒なのか卑劣な歓声でも、俺はゆっくり笑みを浮かべた。
「頭に乗るなよ?!」
手に握る小石を1個指で弾く、風を切り裂く音が鳴る。エルドの背後に浮かぶ槍がひとつ破壊されて砕けた。観客は唖然として静まる。
「え」
「ひとーつ、名誉の為に戦うなんてバカじゃね?」
「ま、まぐれだろ!? 」
俺は二つ目の小石を指で弾いた、エルドの二本目の槍が破壊された。
「ふたーつ、格下に有り得ない事されて動揺してんのか?」
「な、なんだと!? お、お前一体何をしやがった!?」
明らかにエルドの焦った声だ、動揺を隠せないみたいだ。流石にこればかりは俺は面白いと思う。
「なんもしてないぞ? ただ小石を弾いただけだ」
「ぐっ!? この下民風情がぁぁぁぁぁーーー!!」
エルドは無数の槍を魔力で放ち、俺は指で小石を一発ずつ放つ。
放たれた小石はエルドの槍に貫通していき、破壊音が鳴り砕かれて破片が辺りに散らばる。
エルドは理解不能な顔を浮かばせている、恐怖が襲い始めていた。
まぁ石の連射じゃないけど、いい顔だな。
これで三発小石を同時にはなったことになる。
「ば、馬鹿な!? 小石をたった三個で私の槍全て壊しただと……!?」
エルドの顔は青ざめていた、勝てると思い込んだプライドを砕いたんだ。感謝して欲しい。
「どおした? 過信していた力に打ち砕かれた気持ちはーーーーなぁ教えてくれよ? 今、どんな気持ちだぁ?」
「ず、頭に乗るな!! 私が、 こ、こんな簡単に負けるわけが無いんだ……!」
エルドは震えた手で、声も覇気がない。
剣を握りしめてエルドは俺に向かって走ってくる。
「しねぇぇぇーーーー下民!!」
俺は強めに放った小石は、流星の様な赤い火花を散らす。風を切り裂く音を響かせながら一直線に赤い筋を描いた小石はエルドの剣に的中。
(な、何だこの……魔法は……!?)
エルドの武器破壊して勢いが、衰えないまま小石は背後にある外壁に穴を開ける。射程が少しズレてしまったみたいだ。
石畳の表面を削るぐらい威力を物語る。
「ひ!? ひいぃぃ!?」
エルドは震えながら握る剣を見る、ドロドロに溶けていた。
言葉では表せない恐怖心に狩られて、地面に尻もちした。エルドは俺を怯えながら見上げていた。
「だから言っただろ? 負ける気はねぇって」
俺はそんな言葉を言って、静寂な観客は誰一人言葉を発しない会場を後にした。
ポケットに握る小石を鳴らして、あと数発しか放てない事を俺は感じ取りながら。




