二話 魔法学園へ試験会場
道無き道をあるき、木々生茂る道を歩いて数分で試験会場となる町の入口に辿り着く。
魔物は特に出てこなかった、座標間違えたってルミナスが言ってたけど……町の中だったのか。
「にしても、ルミナス様」
「なに?……ルミナスでいいわ」
「俺の物理チートってさ、強過ぎて逆に異端児とか言われないか?」
「その点は大丈夫、弱点は少なからずある。それに、派手にやれば私は逃げるから!」
「グーじゃないぞ!? そもそも魔法相手にどう戦えばいいんだよ?」
「えっとね。物理だから……拳、木刀、竹刀、落ちてる木の枝」
スパンってルミナスの頭を軽く叩いた俺は「ふざけてんのかよ?! いくら物理だからって瞬殺まっしぐらだろ!!」っと強めに言ったが、ルミナスはニヤニヤしてる何故かイラつく。このドジ神わざとやってるなって思った。
「目で疑うなら試しだわ、カイト」
ルミナスは俺に石を投げた、それを手に取る。
「ただの石だけど、何するんだよ?」
「ほらあそこ、なんかよくわからないボケたじーさんが協会の鐘の前で座ってるのよ」
「みえん、どんだけ距離あるんだよ」
「二百メートルぐらいあるわ、それであの鐘を狙って投げてみて」
俺は半信半疑でゆっくりとしたフォームで投げた、すると物凄い音が馳せて鐘を貫通した。
街から悲鳴が響いて鳩が空を飛んだ。
震えながら自分の手を眺めた、音速ミサイル如くの速さで投げて驚かないわけがない。
「な、な、ななななっ!?」
「これが物理極振り……物理特化型チートよ」
何が起きたか分からない街の人々は、教会の鐘を眺めている。じーさんはゆらりと立ち上がり飛び降りる姿を見る。その直後にすごい砂埃が舞い上がる。
ケツにブースターつけてんの!?っとツッコミが先に出た。これはかなりまずい、方角的に間違いなく俺たちの方へ向かって来てる!!
「ルミナス様、逃げ……ってもう居ないし!?」
ルミナスの逃げ足は異常なんだけど、転移魔法とかじゃないのかこれ? いやそれより俺は慌てながら逃げなきゃ。
だが、じーさんの速度が異常で「わしの金を鳴らしたのはぁぁぁぁぁぁぁぁ貴方ぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!バーさんやぁぁぁぁぁぁぁーーーーー孫が帰って来たぞーーーー!!」っと意味不明な言葉を吐いてる。
迫力あり過ぎだろ!? 元気過ぎるしボケも元気だしいい所取りな気がするぞ!?
「何十年ぶりかの!? ワシの全力疾走を孫の為に使うのは!!! 」
「俺は、じーさんの孫じゃない!!」
「たわけ! あの鐘を鳴らせるのはただ一人なんじゃ!! 逃さんぞ!!」
「くっ!?」
このままでは、試験会場所に向かう前にじーさんによって孫化されてしまう。かなりまずい。
何処かに逃げられる場所がないかと、辺りを見渡す。ルミナスが茂みから手招きする、何いい顔してんだよこの女神さん!!
まぁいい俺は茂みに向かって飛び込んだ。
じーさんは一直線に走って行った、何だったんだ。
「はぁはぁ。何だったんだよあのじーさん……」
「この町に住む一応神父みたいよ、噂程度だと妻を亡くして、娘亡くして、ショックのあまりにボケが進行。けど何故か、鐘の前に座って誰かを毎日待ってる見たいって話は聞いたよ」
ルミナス、さりげなく情報収集とか俺を見捨てて何してると思えば……。じーさんの話はともかくルミナス頭一発叩かせてくれよ。
とは言えず「いつの間に情報収集してたのか……必死に逃げてる時に何してると思えば流石だな……」っと感心した。俺は優しいからな。
「褒めても何も出ないわよ」
「見返り求めてないのに、なにソワソワしてるんだよ? 」
「な、なんでもないもん」
「まぁ、ありがとう」
「えへへー。あ、それより試験会場早く行かないと」
「そうだな」
来た道を戻り、試験会場となる場所に着く。
バトルロイヤルみたいな石で出来た建造物内に、俺達は入る。辺り周りは皆貴族だけで、一般が入り込めない空気感がある。
大理石のような石畳で赤い絨毯が敷かれてる、天井はシャンデリアで貴族が嗜む空間である。
ごめん、お金持ちじゃなくてコガネムシの豪華さしか俺分からないんだ。やべぇ、入っていいのここ? カツアゲされないよな?っと不安感がつのる。
「な、なぁ? 俺達入っていいのかこれ?」
「うん、君は"教師"としての実力はあるからね。服装を今更気にしても仕方ないわ」
正装着だよなみんな? 俺、普通に学生気取りのなんかヤベェやつなんだけど。学ランだもん。
「いやだってさ"貧乳は希少価値"ってプリントされたTシャツに学ランだそ? イレギュラーじゃん」
「貧乳好きアピールね、ありがとう。ほんと、ありがとう」
「いくら自分がそうだからって自虐ネタにしないでくれよ」
「あはは……ごめん。あ、それよりこの世界では女神なんて呼ばないでね」
「なんで?」
「君と同じ理由で、神という存在も失われた存在なのよね」
ルミナスは切ない顔をしていた、この世界には神が失われている。
その一つがクロノスという家が大きく関わるらしいけど……よくわかんないなぁ。
今はまぁ、いいや。後々知ればいいから。
「まぁ、色々あるんだな事情」
「まぁね。1度には言えない話は尽きない」
「ふーん、そういや話変わるけどさルミナスって女子にしては声は多少低いな」
「なに? ロリボがいいの?」
「それはなんか危ない気配、そもそもルミナス低身長だろ? そんな声されたら小学生と勘違いされて俺が捕まるよ」
「お兄ちゃん大好き?」
「それマセガキだな? なんかやっぱ似合わない」
「ぶー!! せっかく期待に答えたのになぁ」
ルミナスにポカポカされながらも、少しばかり思う。
この世界に流石と言うべきなのか? 魔法文化だけで全てを左右してるだけある。
ある意味面白い、俺が異端児で、ありえない力で圧倒するか。
ワクワクが止まらないなぁ、燦を早く見つけださなきゃだけどさ。
「何考えてたの?」
「試験が楽しみだなって」
「少し笑うようになったじゃん」
「うるせー受付はどこだ?」
「あそこにいる……執事かな? 参加者名簿書いてるみたいだしね」
「行くぞ」
「了解ー」
俺とルミナスは受付にいる執事の前に立つ、少し拍子抜けした顔である。無理もない貴族服ではない一般人であるからだ。
「さ、参加者さんですか?」
「もちろん。なぁ、勝てば教師になれるんだってな?」
「左様でございますが……参加資格お持ちで?」
そんなの聞いてないなっと思いながら、俺はルミナスをチラ見するとポケットから何かを取り出して机の上に置いて言う。
「私が持ってるわよ」
銀色のコインが二枚、描かれてるのはどっかで見たことがある老人だ。どこで見つけたんだよそれ?
執事はその二枚を手に取り目視して話す。
「確かに受け取りました、しかしながら珍しいですね。お二人さん一般ですよね? よく受けようと思いましたね」
皮肉に聞こえるがまぁいいとして、どうしても教師にならないと……燦を探せ出せない感じだな。
譲れない部分だし、何のために異世界に来たか……分からせてやるさ。
「まぁな、俺みたいな一般入ればまた違う風が吹くかもってね」
「それはいい事ですが、良いのですか? 負ければ反を成したとして……追放されます。 この試験会場の運営は名門四大貴族が執り行っており、一般は特に厳しいとされてるのです」
「いいわよ、私達は負ける気がしませんから」
「………私は貴方の身を案じてますが、実力主義なのですね。分かりました……ではこちらへ」




