一話後悔からの異世界転生
俺の記憶から聞き覚えある声、そう元カノの声だ。
確かに俺は死んだけど、ついに耳までいかれてしまったか。
「お疲れ様、死に方はアレだけど重い一途だったね。しかも、自分が殆ど悪いのを後から知るってのは尚更痛い。未練があるほど現実逃避しやすくて、復縁したくても生理的無理でキショい。あの子は別の道を歩んでても、君を否定した訳じゃなくて……。君の気持ちが真っ直ぐであの子は何度も君に分からせられて、発言力あるってきっとそっから来てるのよね。ふふ、君達似てるんだね?自己偽悪も他を思う優しさも……そこでぶつかる。いやぁ、いい話でした 」
一冊の本を片手にニヤつく少女、見慣れない空間であるが……それより俺は目を丸くして驚いた。容姿、身長、通ってた制服、全てが俺が知る。元カノ春町燦である。
「嘘だろ…? お前死んだはずじゃ……?」
言葉が出ない、目からこぼれるのは涙。
まさか、こんな早く再会するとは思わない。
色んな言葉と後悔は脳内に巡るのに、上手く言い表せない。
「…貴方の後悔は私に届きました。ですが、私は春町燦ではありません。すみません、貴方の印象強い人をこのまま反映しました。……えっと、泣かないで?」
そう優しい声で慰めないで女神様……俺の脳がバグるんだ。元カノじゃないのは理解したけど、涙が止まらない。
「えっ、いや、あの?! んー。私は女神ちゃん、だから貴方を好きとはいえないけど支える事は出来る」
「女神さん……」
「は、はい?!」
「俺はこれから地獄に行くんですか……?」
「な、なんでそうなるの!? 今から説明するから泣かないで!!」
俺は涙ながら苦しめた声でゆっくりと語る。
「俺は最後まで、別れるあの瞬間まで……。ずっと後悔してたんだ、分かろうとしてなかった。なのに、燦の気持ちも色々知りたかった。あの子は知って得しないってよく言ってたけど、俺はきっと奥底で怖かったんだ。 裏切られるのが、人を信用して数知れないほど裏切れて。それが怖くて自分の弱さを隠して……互いに傷つけ合った。都合いいかもしれない、けど、謝りたかったんだ」
儚い願いがあるならば、この死でもし会えるなら
ずっと言えなかった事を君に言いたいんだ。全部。
「……その気持ちは分かるよ。でも、未練ばっかで嫌われるかもしれないよ?」
「いいんだ、それぐらいのこと俺はしたんだ。だから、嫌われてもいいから伝えたいんだ」
「うん、なら……燦がいる世界に連れて行ってあげる」
「え?」
「私は女神よ、人を導く存在なんだから。地獄なんか向かわせないわよ」
女神はそれから色々教えてくれた、要約しちゃうけど俺の後悔した十年間は閉じこもりだった。
そこで人生をやり直しの意味で世界転生して、魔法学園の教師として転生して欲しいって話だった。
「教師?」
「うん、君は優しいから先生になればきっとリスタートした意味が生まれるからね」
それは嬉しいけど、今気がかりは元カノの居場所だから「女神さん、元カノ燐は何処にいますか?」っと訪ねた。
率直に女神は「これから転生する異世界に居るよ」っと答えた。俺は嬉しさが少し込み上げた。
「ただね、居場所は分からない。転生してからじゃないと……。それにこっちでは死後十年の時が経過してる、異世界だと一年位の時差あるよ」
「え? 」
「だから、異世界転生したら本格的に探さなきゃならないわよ」
ある意味、元カノは不器用な部分もある。
人付き合いが特に下手で、友達から拒絶される。
人に好かれたいって言ってた事があったけど、笑ってて人に皮肉や文句は言わない。それが優しさ。
物事はハッキリしてても、八方美人とか言われてしまう。何故か嫌われて、常に孤立してて……俺はそれも知ってて寂しがり屋なのに強がってたり。
そんな子だから見捨てられなかった、人は決して強くないし弱いさを見せたくない。争うのも好きじゃない人もいるわけ……それが出来ないだけで拒絶される人のこと考えたことあるのかって言いたくなるんだよね。
まぁ、話はそれだけど……だからこそなんだろうね? 俺は君がいないとつまらない、一人しか愛せない人ってこんなもんだろうな。
「もちろんだ、探し出して君を救うんだ。どうせ、また不運引いてひとりぼっち。人に合わないからって無理して離れて、どこの世界にいても孤独になるぐらいなら一緒にいたら何倍もいいのにな」
そうは言っても俺はやっぱりつれぇよ、馬鹿なのはお互い様なのに……燦も素直じゃないから痛いほどわかるんだ気持ち。
「私は知ってる、君の人生をずっと見てて。君たち二人は似た者同士。助けを素直に言えないのも、ほんと私まで虚しくなるわ」
「だから好きになったんだよ」
「ふふ、なら居場所を見つけて救い出すこと」
「報われないもの同士、俺頑張るよ」
そして、女神に授かった力が与えられる。
淡い光が胸に光る、なんて神々しいんだろう。
「私からの貴方への転生の力は、物理特化チート」
「チート?!」
「無双する為じゃなくて、救う為に必要な力だよ」
「こんな俺でもいいのか?」
「当たり前よ、異世界を舐めちゃダメよ」
少しばかり自信がなかった俺は、この力があれば元カノを救える。嫌な顔されても、笑ってられる。
少しばかり噛み締める喜び。
「まぁ転生先の世界からしたら古代文明とか、勝手に認識してバカにするかもだけど。私の加護や力を甘く見られたら困るわよ。特にあの貴族……見てるだけでイライラスるわ!! キーッ!!」
「な、なんだか女神も大変だなぁ……?」
「そうよ! 私だってずっと一人! だから、貴方と一緒に旅に出るのもありなんだろうけど……規約違反とかもうめちゃゴミ箱に入れたいぐらいクソ規約!! ぬぐぁぁぁぁぁ!!」
まぁ少なくてもこの燦似てる女神が居たおかげでもある。今なんて転げ回ってる。
「まぁいいわ、今から転生魔法するから。じっとしてて」
眩い光が放たれる、ゆっくりと浮遊する体に少しばかり驚く。
「転移!!」
ルミナスはそう叫ぶと、意識は一瞬で飛んで気が付けば森だろうか? 木々が生茂る場所に立っていた。
「ここが異世界か? なんて澄んだ空気。さてと、燦が居る魔法学園って何処なんだろう?」
女神様がいなくなって少し心細いが、まぁいい初めての異世界。一歩前に足を運んで踏んだ。
「ふぎぁっ!?」
あれ? 足からこんな効果音があったのか。
いや、なんか下から呻き声が……?
「……女神様!?」
女神ルミナスは、何故か俺の足に踏まれていた。
しかも、何その格好……教官ぽい服。
ありあぽさは残りつつ、女神様は転生したら何があったんだ。
「うぐっ!?調子に乗ってたら転生先の座標と辞職を押しちゃた…えへ」
「え、つまりあれですか……」
「はい、女神辞めちゃって。えへへ。その、君は教師になるけど試験があってね、そこの教官と魔法学園の副担任に転職しちゃったみたい……」
女神ルミナス、ドジレベルが高いなぁ。
てか、俺の印象強い"燦"の姿のまんまじゃん。えぇ……なんか申し訳ない。
けど、何故だろう。元カノもこんな感じだったなぁって思い出してしまう。
「ふっ、そこまで印象強い再現しなくていいじゃんか」
「あー、絶対ドジって思ったでしょ!? そーですよ、私はドジる女神ですよーだ!」
「誰もそこまで言ってないけどまぁ、ありがとう少しばかり心寂しかった」
「素直でよろしい、とりあえず……試験会場からそう遠くないから一緒に行こ」
「了解だ」
今度こそ俺があいつを幸せにする番なんだっと思いながら新しい世界で一歩を踏み出した。
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