十話アネモス救出作戦・1
それから数日後、アネモスは今日も欠席。
女の子だから、プライドもあるからそれを全部背負ってプレッシャーの中で生きていた。
そう考えれば、褒めてやればいいのにな。
剣を握るのに迷いは不要……か。
そう教科書には書かれてはあるっと、思えば騒々しい声が耳を貫く。
「カイト先生!!」
「なんすか? 今日もパワハラ好調でしたね」
教頭は今日もまた元気に短気でした。
脳内ドバミンすごいんだろうなぁ、血圧大丈夫か不安になる。
「カイト先生、私を教頭って呼ばないとかそれも問題ある!! だが、今やそんな話はどうでもいい。あの四大貴族の主カールド・ラウナ様が本校に来るのですぞ!?」
「丁度いいね」
「なっ!? 何を考えてるんだ君は!?」
「ただの会談ですよ? もちろん、教師ですからね」
そう言って俺は教室から出た、その背後から遅れてついてきたルミナス。
「カイト、まさかだけど」
「あぁ、アネモスをどうにかできないかって直判断してもらうよ」
「あの四大貴族の筆頭で主でもある。しかも、あの西方騎士団第四部隊の隊長カールド。千日戦争の覇者、いくらカイトでも難しいわよ」
「それでもだ、ルミナス。俺は辛いやつの顔を見るのは一番嫌なんだ。わかるだろ?」
「わかるけど、私はただカイトが心配なのよ」
「ありがた迷惑だって昔の俺なら言うけど、今はありがとうって言える」
「けどこれだけ言わせて、カイト君一人で全部背負って自己犠牲にならなくてもいいのよ」
見抜かれてるか、流石女神様だ。
だけど、俺は性格のせいか自分の内心を吐くのが怖い。明かしたところで誰も信用されたことが無い。
バカにするか、否定されるかの二択の人生だった。
だからごめんな、ルミナス。猫かぶるマネになるけど嘘の返事しか出来ない。
「わかってるって」
「ん、なら作戦立てましょうか」
夜通しルミナスと作戦会議、カールドが本校にやって来る日が一日一日指を折りながら進む。
約一週間、どうにか形に出来たのである。
作戦的には偽装結婚として連れ去る、その潜入はカイトとエレクレールとエルデ。
時間稼ぎや状況を伝える役割は女性陣、ここまではいい。
あとは、怪盗らしく招待状をラウナの門番に届けるだけだが……これがかなり難易度高い。
郵便物は基本的に、四大貴族は読まないとされてる。これを考えたら水面下で終わりそう。
そこで、エレクレールが書簡としてカールド宛の文字を新聞記事を破いた文字で貼った。
そして、アネモスが不登校のまま一週間経過。
カールドが本校へ訪れる、張り詰めた空気感で空き教室で俺は会談が始まったのであった。
「ふむ、貴殿が一般教師か?」
「はい」
「中々の面構え、その眼差しは常に何かを恐れて修羅場を潜り抜けたに違いない。私はそうゆう人は好きだが、我が娘に何を言ったのだ?」
「えぇ、生徒を知りたく実力を知る意味で模擬を取りました。その時の威勢や強さは中々でした。しかし、同時に迷いが見えたのです」
「迷い? アネモスが?」
「手が震えてましたよ? まるで何かに恐れてるように」
「ふむ、まだ未熟だな。早く一人前になりたく、姉を見ていくうちに焦りがあの子を背を押した。どうしたいのかさえわかっておらぬだろう」
「わかってるなら何故?」
「ふ、貴族にはプライドがある。誇りもある、故に譲れない高さも誇る。あの子は、我が家の恥である」
自分の子を恥って言いやがった、通りで目の前の事しかわかってないんだな。
古典的でもあるし、否定から入るタイプはいい所を否定しまくる。そりゃ迷うわけだよアネモス、どれが正解で間違えで自分らしさが分からなくなる。
それが無限ループに陥るんだよな、答えがどこにもないのだから。
「今、アネモスは監禁させてる。後に廃墟都市送りだ」
「ちょっと待ってください! 」
流石に俺は焦って声に出す、カールドは冷酷な眼差しで「何かね? 私の子だから何をしても良いのでは?」っと冷えた言葉で聞いてる方が嫌気を感じてしまう程だ。
「そうは行きませんよ、実の子を追放する親なんて何処にいるんですか?」
真っ向正論を俺はカールドにぶつけた、しかし笑みを浮かべるところが完全に見放した視線で「弱いから分からせる。違うかね?」 っとサラッといい吐いた。あまりにも冷酷過ぎる、俺的には正直最低な親だと感じ取れるほどだ。
自分の期待に添えない子、いや、親の気持ちを押し付ける。
それが出来なければ、否定型でプレッシャーや圧力を強める。これが貴族によくある事例なら、間違ってるに違いない。
「違います、強さの本質は心にある。けど、その迷いがある限り人は決して強くなれませんよ」
「青いな、貴殿はそんな甘い考え方で教師か。笑わせるな」
睨み合いが始まる、俺は強い口調でカールドにこう言い放つ。
「青くても構いません、甘くてもいいです。カールドさん、貴方は自分の過ちを認めないで娘に全投げする気ですか? 何故迷って答えが導き出せないのは、親であるカールドさんにあります」
カールドは少しばかり顔をしかめて
「ほう? ならば何故そう言い切れるか語ってみよ」
っとこちらの言葉を何を言って来るかを牙を研いで待つ。 正直怖すぎるし、流石軍人なわけで……俺さおしっこちびるぐらい迫力あるんだよ。
けど、ここで引き下がる訳には行かない。教師として名折れするしな。
「簡単です、親ならば子に寄り添い答えを模索させて答えは教えない。導くのは親の仕事であり、子に押し付けても打開策なんてない。むしろ非行に走るヤツらは親への不満が具現化した存在。アネモスさんは、姉の存在や辺りからのプレッシャーに答えたくて焦り戦えば迷ってしまう。自分がどうしていいのかを見つけられないのはこの子の責任じゃない」
淡々と俺は答えたするとカールドは高笑した、そしてゆっくりとした口で語り出した。
「貴殿は面白い、何故それほどの答弁を持ってるのだ? 親である私が悪い、そうかもしれぬ。だが、何度も言うがそれがやつの未熟さ。優しさや甘えは不要だ期待に応えられなければ、切り捨てるのが筋であり貴族のプライドである。だが、貴殿はまるで私の若い頃のようだ」
なにか意味含めてる様な言葉だ、俺は少しばかり気になる。するとカールドの執事がドアを開けて
「カールド様そろそろ」っと呼びに来る。
「うむ、私は軍に戻らねばならぬ。楽しい会談だったぞ? カイト殿」
「俺もですよ」
熱い手を互いに握り、カールドは俺の目を見て「真面目に真っ直ぐに走り続けるなよ」っと低い声で告げられる。
カールドが手を離して、後ろを振り向き教室を後にした。俺はその背中を、じーっと眺めていた。
そのままカールドは動力車に乗り走り去って行った。
何を言いたかったのだろう? まぁいい、次の作戦に移行しなきゃな。
耳に俺は手を添えて「廃墟都市送りになるぞ、今夜しかない。作戦をフェーズ2へ移行」って言った。




