第二話 : 初めての干渉
手のひらの中で、微かな光を帯びた小宇宙が揺れていた。星も、時間も、空間も、まだ不完全で、ゆらゆらと揺れるだけの存在。だが、確かに自分の意志に反応している――その事実だけで、心は弾んだ。
「よし……じゃあ、ちょっと触ってみよう」
勇気を出して指先を伸ばす。意識を集中させると、小宇宙の中心がかすかに光った。光が揺れ、時間の流れが一瞬早くなったり遅くなったりする。空間がわずかに歪み、星が瞬いたり消えたりする。
初めての干渉――まるで、創造の実験のようだった。
まずは光。意識の波を集中させると、点在する微かな輝きが増幅し、星々の誕生のように小さな光球が飛び出した。手のひらの中の宇宙が、初めて“見るものとしての光”を得た瞬間だった。
次は時間。思考を流れに変えて意識を投げ込むと、揺れる星の運行が安定する。光が走る速度や、星の誕生の間隔が少しずつ一定になり、時間の感覚が宇宙全体に生まれた。まだまだ不完全だが、動きがある世界の手応えは、想像以上に面白かった。
空間の操作にも挑戦する。指先で揺れる虚空を押すと、小宇宙の広がりが変化する。小さな星団が寄せ集められ、重力の流れが生まれる。まだ微細な歪みでしかないが、自分の意思で“世界の形”を変えられる感覚は、何物にも代えがたかった。
星の属性も試す。意識を一点に集中すると、星々が光を放つ方向を変え、輝きが増幅する。小さな爆発や新しい星の誕生まで観察でき、まるで宇宙の神秘を独占しているかのようだった。
最後に、科学の力。量子レベルの調整を意識すると、光や空間の動きが規則的に整う。小宇宙全体が安定し、手のひらの中で秩序ある世界として“存在”するようになった。
「……やっと、少しだけ自由に触れられるようになった」
笑みを浮かべながら、主人公は小宇宙をじっと見つめる。光と時間と空間、そして科学的な秩序が手のひらの中で揃い、まるで本当に“宇宙を創った”かのような感覚に酔った。
だが、同時に気づく。
「これからもっと大きな宇宙を作ったら、どうなるんだろう……?」
無の世界に生まれた小さな光は、孤独を埋める道しるべに過ぎない。まだ見ぬ広大な宇宙の可能性が、胸の奥を静かに熱くした。
――こうして、初めての干渉は成功した。だが、それはほんの第一歩に過ぎなかった。無限の宇宙は、まだ何も語っていない。




