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アルデー雷雲



「アルデー雷雲か……あそこは不可侵領域の筈だろ。何故調査をする?」


俺はそう言った



アルデー雷雲


ソルケン王国南東部上空に位置する固形化した異常な雷雲

数百年前に雨が降らなくなり、雷が常に降り注ぐようになった事で雷雲の下は死の大地と化したと言われる

この雷雲の近辺は不可侵領域となっている



「最近アルデー雷雲近辺でA +ランク以上の魔物の目撃情報が多発していてな……この国の宰相からSランクを超える冒険者の手が空いていたら調査に向かわせてほしいと言われていたが、現状誰も手が空いていなかった。そこでお前に調査をしてほしいと思ってな」



カイルはそう言った



「だが、俺はSランクではない…調査に向かえるのはSランク以上の冒険者だけだろ」


俺は疑問に思った事を言う




「そこで、だ。私が特例としてお前をSランク冒険者に認定する事とした。お前は実力も申し分ない」


カイルは真剣に言う



「わかった、調査依頼を受けよう、ギルドマスターの頼みだしな」



(不可侵領域に行けば更にスキルが強化されるかもしれないしな)


実際、大森林の大樹の枝葉はスキルの強化に役立った。今回の雷雲でもスキルが強化されるかもしれない




「受けてくれるのか!?」


カイルは驚いているようだ



「あぁ、受けるって言っただろう」


俺は呆れたように言う



「助かるゲイン……」


カイルは言う



「緊急なんだろう? これから行ってくる」


俺はそう言ってギルドを出ていく寸前に…


「じゃあ、()()()な?」


そう言った


「あぁ………っておい!! 勝手に貸し一にするな!!」


カイルはそう言うも既にゲインの耳には届いていないのだった





〜〜〜〜




俺は今、空を()()()()()


【身体能力強化】と【空力場】の併用だ


これらは魔力の消費量が少ない為、長時間発動していられるのだ



俺は既にアルデー雷雲から40km程の距離にまで近づいていた

アルデー雷雲を近くで見てみるとより分かる

アルデー雷雲は直径100km程の円形だった

しかし内部の状況は、壁の様にそびえる雷雲によって見えなくなっている


俺はその雷雲の壁を結界を貼りながら抜けた


…俺は中の景色に驚いた

雷雲の中は植物が生い茂る楽園だったのだ



俺は驚きながらも地面に降りた

どうやら中は雷が降らないようだ

本当にここは不思議な場所だ



周囲を見渡していると一匹の兎が視界に入った

白い体毛に所々黄色い模様が付いている


俺は少し近づいてみた

しかし何の反応もない


……おかしい

こんな場所にいる割には警戒心がなさすぎる



俺は念の為自分の体に結界を貼った

これは新しいスキル【治癒鎧】だ

このスキルは新しく追加された効果《付与効果》を使ったものだ

自身の体をピッタリ覆うように結界を貼り、内部に自然魔法【再緑】を付与する


【再緑】

損傷した有機物を元の状態に再生する

植物が最も再生が早い



フォレイガーの分身体程の再生速度は植物ではない為、出せないが、そうする事により、自分だけが常に回復効果を受けることが出来る

結界を貫通してダメージを与えてくる敵への対策だ




俺は更に近づいて兎に触れようとしたその時、

兎が突然()()した


それと同時に兎は肥大化し、狼のような姿に変化した



「チッ! そういうことか」


こいつは弱そうな見た目に騙されて近づいて来た獲物に放電して、動きを止めた後に喰らう……そういう狩りをする魔物だったのだ



兎…転じて…雷狼は、雷速で襲いかかってきた

何故()()と認識できたのか…それは俺が奴を()()()()からだ

【身体能力強化】は動体視力も強化する

今の俺は雷速でも問題無く対処出来る



「ガルゥ!!」


雷狼が噛みつこうとしたのを俺が躱したその瞬間、奴の口の更に前に雷の口が形成されたのである


元からギリギリを避けていた俺はその雷口を避け切れなかった


奴の口は俺の左腕に噛み付いた

治癒鎧は破られなかったが、雷の衝撃が俺の左腕を駆け巡る


「ぐっ!!」


結界で衝撃以外を打ち消したとはいえ、その痛みは結構なものだった

俺の左腕は痺れ、動きを阻害する


しかし、治癒鎧がすぐさま痺れをなくす



「【縛界】!!」


俺は雷狼の口を結界で縛った



【縛界】


相手を縛るスキル

伸縮性を上げた円状の結界を最大まで伸ばした状態で形成し、一気に収縮させた状態で形状を固定する



「……ゥゥ!」


口が縛られている為、声も出ず、噛み付くこともできない

雷狼はなす術がないように見られた

しかし……



「バリッ!!バリバリッ!!」


突然雷狼が電気で音を出し始めた

すると……



「ガゥ!!」

「ガルゥゥ」

「ガル!!」


()()()()()()()()()()()()


(仲間を呼んだのか…コイツら少し頭が回るようだ)


俺は戦いを終わらせるべく、新たなスキルを使用した


「【空間切断】!!」


【空間切断】

座標を指定し、その座標にあるものを結界に置き換えるスキル

例えば相手の首の位置に座標を指定して、スキルを使うと相手の首が切断される

しかしデメリットが二つある

一つ目は発動に1秒の誤差が発生することだ

僅かな魔力が流れてから1秒で発動するため、その魔力を察知されると避けられてしまう

しかし、相手の動きが規則的なら、移動地点を予測して発動することも可能


二つ目は魔力消費が多い事だ

このスキルは通常の結界の二十倍の魔力を消費するため、何度も連発する事が出来ない

そのためこのスキルは重要な局面で使用する必要がある



俺は【空間切断】を4体の雷狼の()に座標指定した


雷狼如きにはその微細な魔力を察知することすらできない

次の瞬間には4体の雷狼の()()()()()



「じゃあな 雷狼(獲物)




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