結婚式をぶち壊す犯人を捜せ
まずはフェイルノートに相談した。
「他の人も襲われてるって?」
「はい。結婚式を台無しにされている被害者が続出しているそうです」
「そうか。それで……」
心当たりがあるのか、フェイルノートは険しい表情を浮かべていた。
「どうすればいいのでしょうか」
「犯人を捜すしかないかもしれない」
「犯人を、ですか」
「意外と身近にいるかもしれないね。少なくとも帝国の人間ではあるだろうけど」
だとしても帝国の人口は数十万人以上はいる。
近辺に絞っても数千人はいるかも。
近所でも数百人かな。
「わたくしは、ガウェイン騎士団にも相談をしに行こうと思います」
「それがいいね。俺も行きたいところだけど、お店が」
「いえ、わたくし一人で大丈夫です。お店はお願いします」
「悪いね。その代わり、今夜も料理を任せくれ」
「はい、楽しみにしています!」
宝石店をフェイルノートに任せ、わたくしは新生ガウェイン騎士団へ向かうことに。
ガルフォードに結婚式のことを伝えなければ。それに、なにかしらの情報を持っているかもしれない。
やっぱり頼りは騎士ね。
バルザックの迎えを待って馬車へ。
「お嬢様、お迎えに参りました」
「ありがとう」
「聞きましたよ、結婚式をぶち壊す不届き者がいるのだとか」
「ええ。犯人を止めないと、わたくしとフェイルノートの結婚式も壊されるわ」
「それはいけませんね。解かりました。私も協力いたします」
「本当?」
「ええ。お二人には幸せになっていただきたいので」
なんて嬉しいことを言ってくれるの。さすが、我が執事バルザック。ずっと、わたくしを支えてくれているし、本当にありがたい。
馬車はガウェイン騎士団を目指していく。
流れる風景の中で人々を観察。
怪しい人物はいないように思える。
ガウェイン騎士団に到着すると、騎士が出迎えてくれた。
「ようこそ、クリス様」
「いつもありがとう」
「騎士団長ガルフォード様でよろしいでしょうか?」
「ええ。お願い」
「ではこちらへ」
すっかり顔なじみなせいか、騎士はアッサリ通してくれた。
通路を歩いていると、ふと気になる騎士がいた。
「…………」
女性騎士のようね。
なんだろう、ちょっと怪しい雰囲気。
なぜか、わたくしを見ているような。彼女はいったい……。いえ、気のせいよね、多分。
そのまま騎士団長室へ向かい――到着。
扉を開けるとガルフォードの姿があった。
「クリス様、来て下さったのですね」
「話したいことがありまして」
「それでは紅茶を淹れて、ゆるりと」
「そうしましょう」
それから結婚式のことを、わたくしは話した。
被害が出ていることも含めて。




