結婚式は一週間後
わたくしは、ライラから聞いた占いのことをフェイルノートに明かした。
もしかしたら、結婚式をぶち壊されるのではないか……懸念を示した。すると、彼は真剣な表情で聞いてくれた。
「――なるほどね。クリス、結婚式は任せてくれ」
「本当ですか!」
「ああ。新生ガウェイン騎士団に守ってもらう。これならどうだ?」
「その手がありましたね!」
「どにみち、みんな祝福しに来てくれるさ」
そう言われてみればそうだ。
ガルフォードたちが必ず駆けつけてくれる。
だから心配する必要はあまりないのかもしれない。
けれど、それでも少しだけ不安はあった。
「あの、出来れば関係者のみで……」
「そうだね。不審者を入れないよう、招待した者だけを招き入れよう」
「はいっ」
それなら、狙われる心配もないかもしれない。
これで結婚式はぶち壊されない。
きっと大丈夫。
安心したところで、食器を片付けてお風呂へ。
この宝石店の三階に広いお風呂が備え付けられていた。
階段を上がって、寝室とは別の浴室へ。
扉を開けると広い脱衣所が。
そこでドレスを脱ぎ、浴室へ入る。広い空間が出迎えてくれる。
最新式のシャワーが取り付けられ、帝国の街並みが望めるお風呂もある。三人、四人は余裕で入れる円形のバスタブ。
こんな眺めのいい場所でお風呂に入れるなんて、なんて贅沢なのだろう。
シャワーで体を清めているとフェイルノートも来てくれた。
一緒に体を洗い、そして浴槽へ。
「クリス、一緒に夜景を楽しもう」
「そうですね」
彼に身を預け、わたくしは夜の帝国を楽しむ。それなりに明るく、街並みが見渡せた。こんな時間でも中央部は活気がある。
美しい風景を楽しみながらお風呂に入れる。最高ね。
「結婚式は一週間後にしようと思う」
「解かりました。では、招待状を送らねばですね」
「そうだな。しばらくお店を経営しながら書かなければ」
「手伝います」
「ありがとう、クリス」
そうして最高の一日を過ごし、ベッドでも楽しい夜を過ごした。
* * * * * *
翌日以降、わたくしは隙を見ては招待状を書いた
お店は今日も盛況で大変だけれど、毎日が楽しい。
そんな中で、とある女性のお客様がわたくしに話しかけてきた。若い女性だった。
「知っていますか、クリス様」
「なんでしょう?」
「最近、結婚式が襲われているんですって」
「え……」
「しかも、その犯人が分からないそうです」
「分からない? どうして?」
「新郎が突然、倒れるんです。原因不明の……病なのか、なんなのか」
もしかして、結婚式をぶち壊す者ってソイツなの……?
しかも、わたくしだけではなく他にも襲われていたなんて。
いったい、誰がそんなことを。
「解かりました。このことはガウェイン騎士団にも相談してみます」
「お願いします。これでは、私も結婚できなくて……」
「そうだったのですね」
「……はい」
この女性も困っているんだ。
そして、わたくし自身も占いが当たるとすれば……なんとかしないと。




