三階建ての宝石店
一週間もすると、お店らしくなっていた。
一階にはバルザックが仕入れてくれた宝石。更にフェイルノートが貴金属を追加。
商品棚に綺麗に並べられている。
これなら明日から開店できそう。
二階は、商品を保管する部屋がひとつ。
空き部屋がいくつか。
そして、三階。
わたくしとフェイルノートの寝室。
一番最上階で広い空間。街が見渡せて眺めがよくてお気に入り。
そんな三階の部屋で優雅く寛ぐ毎日。
でも明日にはお店が始まる。
「いよいよだね、クリス
「はい。フェイルノート様のおかげで楽しい毎日です!」
「俺も楽しい。クリスとこうして商売ができると思わなかった」
ずっと騎士の道を歩んでいくものと思っていたとフェイルノートは、騎士団長時代を懐かしみながら言った。
わたくそもそう思っていた。
彼はずっと騎士道を貫き、騎士団長を全うするのかと思っていた。
けれど、そうではなかった。
フェイルノートは騎士であることよりも、わたくしを選んでくれた。それが何よりも嬉しい。
「バルザックにも助けられました」
「彼のおかげで宝石をかなり仕入れられた。それに、毎日清掃もしてもらっている」
「この先ずっとお店の手伝いをしてくれるそうです」
「いいのかな。ミステル家のこともあるだろうし」
「大丈夫です。我が家にはメイドがたくさんいますから、お父様は気にしていません」
「それならいいが」
明日に向けてお店の開店準備を進めていく。
それに、わたくしにもしなければならないことがある。
お店の宣伝を――!




