守ってくれる元騎士団長
ガウェイン騎士団の敷地で式典が行われた。
ガルフォードは正式に騎士団長に任命され、フェイルノートの意志を引き継いだ。
「フェイルノート様、ありがとうございました」
「君の活躍を期待しているよ」
と、フェイルノートはガルフォードの肩に手を置く。
優しい笑みを浮かべ、エールを送っていた。
わたくしも続き、ガルフォードに「がんばってください」と「ありがとう」と感謝を伝えた。
グラストンベリーでは特にお世話になったし、おかげで生きることができた。
「クリス様、いつでも我らガウェイン騎士団を頼ってください」
「はい。頼りにしていますよ、ガルフォード」
今後、もしまたトラブルに見舞われたら助けてくれると約束してくれた。
ガルフォードや騎士たちがいつでも、わたくしたちを守ってくれる。なんて頼もしい。
元モルドレッド騎士団の騎士たちの姿も見えた。
少し気まずい部分もあった。
でも、みんな命令に従っていただけ。
今は手を取り合い、互いに歩み寄っている。
帝国の為に。
* * * * * *
式典が終わり、正式にフェイルノートは『元騎士団長』になった。
その帰り道。
ガウェイン騎士団の外へ出た時に、それは起きた。
「死ねえええええ、フェイルノート!!」
物陰から男が現れ、フェイルノートに剣を向けていた。
「……!」
な、なんなの!?
けれど、常に剣を携帯してるフェイルノートは瞬時に構えて刃を防御していた。
あの男……以前のモルドレッド騎士団の格好。
もしかして恨みを持つ騎士ってこと?
「貴様、貴様ァ! おまえだけが幸せになろうなど!!」
「……なるほど。メドラウトに忠誠を誓う騎士がまだ残っていたとはな」
「私だけではない、まだ数十人といる! お前も……新生ガウェイン騎士団も認めない! 我らモルドレッド騎士団が唯一無二なのだ!」
ガンっと刃と刃が交わっていく。
フェイルノートならきっと大丈夫。わたくしは信じている。
「もう無駄だ。ガウェイン騎士団は陛下公認であり、直属となった」
「認めん! 私は認めんぞ!!」
「そうか」
怒りに任せ、剣を振るう男の騎士。
けれど、フェイルノートは素早い動きで相手騎士を切り捨てていた。
「ぐあああああ……」
騎士は地面に倒れた。
「フェイルノート様!」
「大丈夫だ。彼はすぐに捕まるさ」
新生ガウェイン騎士団の敷地から複数の騎士が駆けつけ、元騎士の男は連行されていく。
「お怪我はありませんか、フェイルノート様」
「大丈夫だ。その男を頼む」
「了解しました」
……よかった。
でも、そうか。
メドラウトに賛同する騎士がまだ残っているのね。油断はできない。




